怪奇
さっきの会話でも僕はあいつ等としか言ってないのに、どうして僕を虐めていたのが3人って知っていたんだ?
昨日も今日もそこまでの会話はしていない。
それなのに、彼女はその事を知っていた。何処で知ったんだ?
「……」
その事を一上さんに聞こうと振り返ると……
そこにはもう誰も居らず道の真ん中で立ちすくむ僕だけが取り残されていた。
(……まぁ、また今度会った時に聞けばいいか)
そう思い、僕はまた止まっていた足を進め、歩き出し家に向かって歩き出した。
翌日、翌々日と時間が過ぎていき3ヶ月の日々が過ぎていった。
そして、中学最後の日。つまり卒業式。
結局、あれから3人が学校に来ることは一度もなかった。
流石におかしいと思い、教師陣は家へ電話や家庭訪問を行ったがその保護者すら居らず、警察案件だと考え通報をした。
だが、ここまで何の情報も無く時間だけが過ぎていった。
そう思い、僕はまた止まっていた足を進め、歩き出し家に向かって歩き出した。
能力が扱えない状態ではこれから入学する学園では流石に厳しいだろう……。
あの学園では各学校でもトップクラスの猛者がゴロゴロ。それどころかそれ以上の怪物達がごまんといるだろう。
これまで試験を終えてからも家で能力を発動しようと何度も試してはみたが……
それでもまだまだだ。能力を当たり前の様に使いこなせる様になるまで、思う様に能力を発動出来る様にならないと……
そうして、夏が過ぎ、秋が過ぎやがて冬も越し春が訪れた。
それと同時に僕たち3年生は卒業式を迎えた。
卒業式が終わり、各々が友達同士で話したり写真を撮っていたりする中、僕は帰路に着いていた。
「よぉ、ちょっといいか」
と、後方から声を掛けられ振り返ると男たちが十数人薄ら笑いを浮かべながら立っていた。
そしてそのグループのリーダー格の男がいきなり……
「ぉら!!」
振り向いた瞬間、1人の拳が飛んで来ていた。
「っ!!」
それをなんとかギリギリ腕を交差させ、後ろへ数メートル下がったがガードする事が出来た。
「……いきなりなんですか」
少しいきなり殴られた事への怒気を孕ませながら、後ろにいた集団に向けて放った。
「いや何、彼奴等が消した奴がどんなのか人目見ておこうと思ってな……」
「消した?……」
「惚けるな。彼奴等の事知ってる奴等に聞いて回るとお前の事わ話してくれたぜ。お前彼奴等に遊んでもらってたみたいじゃねーか。」
「……それで?」
「往生際の悪い奴だな。お前だろ?彼奴等を消したのは。どうやって消したのかは分からねーが。」
「なぁ最後に教えてくれねーか?能力も使えない雑魚が、どうやって彼奴等を消したのか。」
「知らないって言ったら?」
「っは!力尽くで聞き出すまでだ!」
「「「「「「はぁ!」」」」」」
そう言い、男達は一斉に僕に向かって拳を振り上げ走り出す者もいれば能力を使い、炎や雷、水を出し、僕に向かって放ってきた。
炎や雷や水は槍の様な形状に形を変え、かなりのスピードで僕に向けて向かって来ていた。
そして、先に恐らく肉弾強化能力によって強化された拳が僕に向けて飛んでいき、空かさず能力によって生み出された炎と雷の槍が後から被弾した。
桜が舞い落ちながらその現場があった。
紅い血が飛び、ピンク色の桜の花びらが染みながら花弁を紅く染めあげる……
辺りには数十人が倒れており、その中央には僕だけが立っていた。
僕の目に見えた光景は襲って来た男たちが全員突っ伏して倒れている現場だった。
リーダーの男は目の前の光景に唖然としていた。