総力戦8
「…………」
喋ろうとしても言葉が出ず、息をしようとしても酸素を取り入れる事が出来ずに徐々に苦しくなってきた。
両者呼吸が出来ずにいると、いずれ酸欠で意識が無くなるだろう。
「……こ、これで……あな、たもこ、呼吸が、でき、無いですね」
僕が上に乗っかっているせいで途切れ途切れになっているが、氷城さんが話しかけて来ている。
「わ、私と、あな、た、どちらが、先にダウンするのか、勝負、です!」
「…………」
どちらが耐えられるのか、それがこの総力戦の最終局面だろう。
それから何分が経過したのだろう
息も出来ず思考もままならくなり、これ以外の方法をどうにかしろと言われてももう無理だろう。
徐々に苦しくなっていき、やがて意識を失う。それがどちらが先かの勝負。
それによって氷城さんAクラスが勝つか、僕たちFクラスが勝つかの二つに一つ。
ここからは意地と根気の勝負だ!
段々と頭がボーッとしてきた。
これ以上は意識を保つのもそろそろ限界だ。氷城さんも同じだろう。
だけど……能力が一切解ける気配がない。
氷城さんだって僕に首を絞められてからそろそろ数分が経つだろう。それなのに、能力が解ける気配はなく意識を保っている。
可怪しい。人間気道を何分も閉められていると意識を保つのも怪しいくらいなのに……それを何分も維持し続けるなんて。
いや、それはあっちも同じか?僕が息が出来ない空間で何分も力を緩めないでいる。それも本来可怪しいのだ。
そして、この戦いはもうすぐ終わる
「…………」
「…………」
互いに無言。だが、確実に時は進んでいく。
(もう……すぐ…………ぉう………少しぃ……)
意識がある内は、保てる間は、この人を……
やがて僕は、意識を失った。
それと同時に氷城さんの能力が解ける。
僕の体を引き剥がそうと引っ張っていた手が力なく地に落ちる。
ガサガサッ
草木を掻き分ける様に誰かが寄って来る。
「……終わったかな~?近くに居るとあの氷の槍が飛んで来るから離れていたんだけど……良かったのかな?」
倒れている二人に近づく。
そして、ヨルが覆い被さっている氷城の胸元に着いているバッチを取り破壊する。
「これで、私達の勝ちだね!」