総力戦6
修正
……フィナーレ、っていうことは終わりにしようとしているのか。
それはこちらとしても有り難い。体力も消耗しているし、これ以上は泥試合になりかねない
ただ一つ。
氷城さんの様子がおかしい……
初めは冷静に場の雰囲気に見ているかと思っていると、急にこの戦いを楽しんでいる。単にこの空気に流されているのかと思ったけれど、それは今も続いている。
戦闘狂なのかもしれないが、僕は氷城さんを知らないが多分違うと思う。
……チャンスかもしれない
氷城さんがどういう訳か冷静さを失い、戦いを楽しんでいる。
その隙をついて攻撃を仕掛ければ勝てるかもしれない。
だったら……
僕は見えない攻撃を勘と身体能力で避け、肉薄する。拳の届くその距離まで……
足場の悪い砂利場だが、踏ん張りが利かない訳じゃない。
僅か一メートルまでの距離に近づく。
ここまで近づいたのなら拳が届く。
胴ッ!そして、足元ッ!
足を引っ掛けてバランスを崩させる……そうと思ったけど、そう簡単にはいかず、跳んで躱される。
クソッ!そう簡単には行かないか……
それなら……一旦距離を取り、攻撃を躱す為に川辺辺りまで下がり走りながら再び隙を窺う。
ここまで来たのなら一か八か検証無しで確証は無いが試すまでだ!
「これまでも様々な殿方と戦って来ましたが、ここまで私に迫って来れたのは貴方が始めてです!」
「そうですか!それは、光栄ですね!」
躱しながら話しているが、正直そんな余裕はない。猛攻撃氷槍の攻撃に加えて見えない攻撃を躱すというのは至難の業だ。
目を凝らすと見えない事は無いがそうする程、今は出来ない。
これまでよく素手で躱せていると自分でも思う。何か……ナイフでも有れば多少強引にでも突破する事は出来たんだろうが……
次の瞬間、水面が揺れた。