総力戦
氷城さん曰く、
ハンデとは総力戦は氷城さん一人に対してクラス何人かによるサバイバル戦に決まった。
無人島によるサバイバル戦……
各生徒は胸にそれぞれ所属のバッチを着け敵に取られれば負け、いたってシンプルなルールである。
「……と、言うわけで選抜メンバーを決めます……」
経緯をクラスメイト達に話したものの賛否両論と別れた。
氷城さん一人なら勝てると言う者達。
氷城さん一人ででも相手はAクラス、勝てる筈が無いと負けると言う者達。
相手がどんな能力を持っているのかも現段階では分からない。そんな状況でどうやって氷城さんに勝つのか……
作戦を練らないと……か。
数十分口論が続き、やがて選抜メンバーが決まった。
出場するのは十人。
先ず最初にこうなった責任として僕は強制的に決まった。
残りは九人。
メンバーは、主力としてFクラスでも上位メンバー。
そして、他に援護と補助を兼ねて後方支援メンバーも数人。
その中には、どういうことか藍沢さんの名前があった。どうして?
「……じゃ、じゃあ、コレでメンバーは決定ということで……」
総力戦は数日後それまで作戦を考えないと……
数日間もあれば何か良い案も思い付くかもしれない……かもしれない。
「頑張ろうね!ヨル君!」
藍沢さんがそう僕に言いに来た。どういうわけか満面の笑顔でそう言って来た。
やがて、数日が経過し約束の総力戦の日になり僕らは、開催する島までやって来ていた。
総力戦をする島は学園が保有する無人島らしく、この島で勝負するらしい。
島一つ丸々を有効活用し、三日間で総力戦をする。
(冷静に考えると島一つ保有しているって凄いな……)
そんな事を考えながらその無人島に向かっている船に揺られながら考えているのだった。
潮風を感じながら船に揺られ約数時間何事も無く無事到着した。
「もうすぐ、島に着くね!」
ふと、後ろから声を掛けられそちらを向くとそこには藍沢さんの姿があった。
「……そうだね」
と、僕は言い返した。それから特に話が弾むこと無く、ただただ時間が過ぎていく。
それから数十分後、船は無人島へと到着した。
乗っていた生徒が降りると船は出港し、もと来た航路へと帰っていった。
……島には自然が広がっており、船が着く港以外は人工物は見当たらない。
だだっ広い自然。木々が生い茂り、植物が群生地となっている。
「……ここか」
港から皆散り散りとなり、それぞれが動き出す。
氷城さんは一時間早くこの島に着いているらしい。
やはりAクラスは僕ら(Fクラス)よりも優遇されている。
一時間、一時間もあればある程度のことは出来る。
島を見て回る事もトラップを仕掛ける事だって出来る。
氷城さんがトラップを仕掛けているとはあまり考え難いけど、警戒するに越したことは無い。
草木を躱しながら進んで行くと、吹き抜けた場所に出た。
川が流れ、キャンプするにはうってつけだと言わんとしているところだ。
「……ここで、今日は過ごすか……」
誰に言うのでも無くそう独り言を呟くのだった。