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限界

 ヘテロへ進級してから二ヶ月が経過していた。

 俺は理由がない限り訓練をサボっていない。訓練をするだけ強くなれたからだ。

 特にあれ以降は時間が許す限りは……


 だが、ある日から違和感を覚えた。


(……やっぱり)


 ある実力に達してから俺の成長が止まった。

 訓練をしても筋力、速度、感覚、そして魔力。魔力に至っては回復するスピードも遅くなった。

 休んでいる時も戦っている時も魔力の回復が遅い。


 これは致命傷だ。

 魔力の回復が遅いとなると闘い方は今まで以上に考えないといけない。闘いの最中に魔力切れなんて起こせばそれこそ終わりだ。

 防御も攻撃にも魔力を乗せるのが当たり前になってきている。

 元々の魔力が多いとはいえ無くなればヘテロの誰にも勝てないだろう。


 何かが俺の身体に起こった。

 そう考えるのが普通……だった。

 今年で俺は16になる。考えに考えた結果、とある結論に至った。


(成長限界……)


 俺が成長出来る限界点に到達した。

 魔力の回復が遅くなったのはどういう事か分からないが止まったっという事はそういうことだろう。


(器が満たされた、寧ろ壊れたのか……?)


 それなら魔力の回復が説明がつくが。憶測できめる事は良くないが考え得うる可能性はそれくらい。


 ゲームのキャラにレベルや能力値に上限があるように、人間にも限界が存在する。

 鍛えようが訓を重ねようがヒトでは及ばない領域に手を伸ばす為には人間では辿り着けない。

 上限により成長が止まった、事実は変わらないが悔しさが拭えない。


 これからという時にコレは正直悔しい。

 悔しさはあるが、戦術次第でどうにか出来ない事はない。


「和田、もう一戦頼めるか?」


「あゝ、大丈夫だ」


 武器によるいなし、隙を伺いながらの攻撃。

 空間把握、武器道術による反撃、柔軟性、工夫工作、感覚。それこそ全てを活かして闘いに勝つ。


「【黄昏流抜刀術 夕闇】」


 姿形が影に包まれ見えなくなる。


 見えなくなった事により視覚情報は遮断した。

 感覚による反撃に徹する。


(右ッ、後ろッ、左ッ、もう一回後ろッ!)


 僅かに感じる風の揺らぎを肌で体感した。

 本当に僅か揺らぐ感覚。

 後は俺の直感でカバーする。


「……よく分かったな、今の」


「殆ど勘だが分からない事はないからな」


 魔力で感覚を研ぎ澄ませればいいんだが、今は素の感覚を全力で研ぎ澄ませないと殆ど感じない。

 それだけ和田も成長している。魔力に頼り切らない戦術……


 魔力の回復が遅い今、白獅の時みたいにやたら滅多ら魔力によるゴリ押しは出来ない。


(訓練も以ての外。魔力は全て最小限でこなす!)


【黄昏流槍術 燦然趾足】


 これは訓練であり武術のルールを守る必要は無い。

 技名をわざわざ言葉に乗せる必要も無い。武道を重んじる?必要無い。

 卑怯下劣上等。全てを使い勝利する。


 それが闘いにおけるたった一つの絶対。


「……」


 魔力は乗っていないが威力としては何時も訓練で出しているくらいの攻撃だ。違和感を抱くだろう。疑問を感じるだろう。

 しかしそれでいい。


「【黄昏流牙突術 没日】」


 俺の連撃による攻撃を簡単に受け流して次手に出る。

 だがさっきの攻撃より単調且つシンプル。


 タイミングと反射神経を活かせれば避けられない攻撃じゃ無い。


「ッ……」


 避けると同時に槍を軸に回転し、カウンターを入れようとしたが防がれた。


 牙突の勢いのまま振り返り回し蹴りか……


 身体能力もさながら、どういう動きをしたらそういう反撃を行えるのかがイマイチ分からない。

 簡単そうにやっているが、関節や骨というのを全く感じさせない動きをする。


「【黄昏流抜刀術 薄暮】」


(間髪入れずにか……!)


 僅かに距離はあるが、そこまで離れている訳でもない。

 魔力を纏っていない今攻撃を喰らえば訓練用とは言えダメージになる。


(何としても避けないといけない)


【黄昏流槍術 宵の川】


 受け流しに特化した槍術。

 魔力の流れ……は今回読めないけど、何十戦と闘っているんだ癖は分かる。

 それに、使っているのは同じ黄昏流。

 教わってはいないモノもあるが系統はどれも同じ。それなら十分対応出来る筈。


「っ……ふっ!!」


 動きはゆっくり。それも束の間、急激に瞬発力が発揮したように動き出す。

 多少なりとも離れていた距離も一瞬にして詰められた。


(魔力無しだったら間に合わない。ならそれ以上の工夫を凝らす)


 緩急をつけリズムを乱すつもりだったが流石にバレているか……

 微量な量の魔力を使い視覚を強化する。

 他は強化していないが視覚強化をする事で攻撃に喰らいつく。


 切先がぶつかり合う。


 刀の剣先と槍の矛先、一ミリたりともズレずにぶつけ合うのは至難の業だ。


「……」


「……」


 静寂。

 訓練所の大広間に静けさが訪れた。引くことも押すことも無く立ちとどまる。


 キーンコーンカーンコーン


 最終下校時間を報せる鐘の音が響き渡る。

 訓練で残っていたとしても寮へと帰宅しなければならない。


「ここまでだな」


「そうだな」


 72戦48敗10勝14引き分け。

 今日の訓練で闘った試合数……今まで魔力でゴリ押していた悪い癖が出たな。

 魔力を存分に使っていた時でさえ勝率は半々だった。


 魔力を制限する今、勝率も落ちるのも当たり前だが酷い確率だ。


「……」


「なんだ?」


「何でも無い。それじゃ、俺は帰る」


「あゝ、また明日」


 無言の間があったが、そういう事だろう。

 和田だってここまで上り詰めているんだ、そこまで頭が回転しない訳が無い。


(魔力の回復方法考えとかないとな……)


 最近は考え事をする時は通学時が増えた。

 一秒だって無駄に出来ないんだ、何もしない時間が惜しい。



 翌日、教室ヘテロ


「交流会も終わり、暫く学園は強化月間に入る。学園としても遊ぶという時間も惜しい気持ちだ」


「私正直文化祭とか学園祭とかしてみたかったな〜」


「そんな時間も期間もこの学園にはない」


「そっかー……」


 前の席で藍沢さんが項垂れる。


「強化月間期間はそれぞれのクラスで学園の敷地内に泊りがけで行う。強化期間と言っても先生が各二人体制で執り行うがこのクラスは私が受け持つ以上、生半可なものではないと思って貰いたい」


 強化月間……魔力を使わずに闘う練習には充分だろう。


「通常、この学園に入学しては島から出られない事は周知だろう。しかし、このクラスは違う」


 何……ッ?


「強化月間期間を利用し、他学園へ親睦会として行ってもらう」

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