最後のたたかい
な、なぁ、なんでそこにいるんだよ。
そんなのってないよな、俺嫌だよ、泣いちゃうよ。
「よくここまで来たね。勇者サマ」
「なんで、なんでなんだよ。お前は俺の幼なじみだろ。そうだよな、?そうだって言ってくれ!」
勇者サマと呼ばれた男は悲痛な顔で訴える
"敵じゃないよね?仲間だよね?" と。
しかし、" 女の子 "は容赦なくその希望を打ち砕いた。
「そうだね。幼なじみだよ。でもね、それと"これ"は話しが違うよ、イツキ君。」
「どういう事なんだよ。説明してくれよ!魔王を倒したら終わりじゃないのかよ?なんで魔物は減らないし、動きも落ちつかないんだよ。それになんで " そっち側 " にいるんだよ。お前にそんな事させたくないよ!」
「…………」
「お前がそんな事をする必要はないだろ?それに、お前とたたかいたくない!もう辞めてくれよ!!」
勇者サマことイツキ君はまだも訴え続ける。
" たたかいたくない、仲間でいてくれと。"
なぜこんなことになってしまったのだろうか、
彼らはこの世界に産まれておちてからの幼なじみだった筈なのに。どうして。
どうして、こうして彼らは幼なじみでありながら向き合って、敵対しているのだろう。
今も尚、勇者は訴え続ける。自身の幼なじみに、
幼なじみはわなわな震えながら黙っている。
しかし勇者は訴え続ける。
「五月蝿いっ!貴方に何がわかるって言うの?簡単に辞めてなんて言うな!この星を護るため、この世界を護るために、私はここに立っている!貴方が周りにっ勇者サマ勇者サマって持て囃されて調子に乗るのがいけないのよ!」
「どういう事だよ!?」
「本当にわからないのっ!?毎回毎回問題を起こしてるじゃないのよ!」
勇者サマがいったい何をしたのだろうか。この星の、この世界を救うための存在な筈なのに。
「わからないよ!俺がお前に何かしたのか?」
「呆れた。本当にわからないのね、いいわ説明してあげる。まず、貴方の持ってる剣ね。」
剣とはなんの事なのだろうか。どう見ても勇者が持っている剣は由緒正しき剣に見える。
「その剣に貴方はお金を払った?答えは否よ。つまりその剣は盗品だわ。その当時、その剣を打った店主はとても怒った。それはそれは手を付けられないほどにね。王様がお金を倍以上だし、勇者サマが使うのはとても栄誉な事だと、店主をなだめ権力で押さえつけた。」
「次に女の子についてね。見境なさすぎる。女の子はみんな自分のためにいるとでも思っているの?1人目は村1番の美少女ね。彼女あの後ずっとずっとずっと泣いてたわ。勇者サマだから仕方ないと、名誉なことだから喜ばないとってね。あの子、結婚まじかで婚約者がいたの!でも、貴方のせいで結婚が出来なくなった。結婚する運命だったのに!貴方のせいで!」
「2人目は、貴方の冒険のためにパーティに入った聖女様よ。貴方は危険な目に合わせたく無いからって置いてきたつもりかもしれないけど、実際は違う。力を使うためには純潔が必要なの。でも貴方のせいで力が使えなくなった、だからあの子は不良品となったの。だから表舞台から消された。もう貴方と会うことはないわ。あそこまで力が強い子は歴史的に見ても珍しいのにね。ちなみに女神様の怒りも買ったわ。」
一方的な勇者サマの断罪はまだまだ続いた。それはそれはずっと続いた。あまりにも勇者サマのせいでおきた出来事が多すぎた。その時間は、なんと10日もあったそう。世界に悪くも良くも多すぎた。良い事だけしていれば、世界に悪い影響を及ぼさなかったのに。
勇者サマはどんだけクズだったんだろうか。
どれだけ時間がたったであろうか。
女の子は宣言した。
" これより勇者 イツキサマの討伐を開始します "
この言葉で勇者と幼なじみのたたかいが始まった。
勇者 イツキ は、幼なじみとの死闘(本当は幼なじみの圧勝)により人間としての生を閉じ、魂は地獄に堕ちた。
転生することはきっとないだろう。
女の子は女神様に報告をした。
" 世界に仇なす勇者サマの処分が終了致しました "