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SF作家のアキバ事件簿198 お宝U-boat SOS

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第198話「お宝U-boat SOS」。さて、今回は東京湾岸でダイバーの死体が打ち上げられます。


捜査線上に浮かぶ、終戦直後に東京湾で沈んだ遣日潜水艦の謎の任務、積んでいた"お宝"を狙うトレジャーハンター、元"喜び組"、武器商人…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 この人、死んでます

 

「はい、静かに!今日の校外授業では、都会の川にいる生き物を調べよう。今から神田リバーは、僕達の水族館だ!」

 

万世橋の下、川面に近い船着場跡にキッズの声が弾ける!


「今日のために、先生は昨夜、網を仕掛けておいた。今から引き上げるぞ。網に入った"いきもの"を出来るだけ多く観察ノートに書き出そう!」

「センセ!観察ノートに書き出すのは"いきもの"じゃナイとダメですか?」

「と言うと?」


網からゴロリと転がり出たのは…ダイバーの死体w


「この人、死んでますけど!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)に捜査本部が立ち上がる。


「警部!死体の身元が判明しました!ヴァン・クンツ。元海自のダイバー。5ヶ月前からモッズ社に転職…うーん就職先を間違えたカモ」

「あら?どーして?」

「経営者は、クリラとロバナのモッズ姉妹です。窃盗に暴行の前歴アリ。看板はサルベージ会社だけど、所詮は湾岸のゴロツキ」

「警部。聞き込みの結果です。どーやらゴロツキ連中は、お宝探しで殺気立ってるようです」


お宝探し?


ココで、元"時間ナヂス"で、今はヲタッキーズのマリレが咳払い、話に割り込み蘊蓄を御披露。

あ、"時間ナヂス"は、1945年、陥落寸前のベルリンからタイムマシンで脱出して来た連中だ。


「U-007。第2次世界大戦末期に東京湾で沈んだ遣日潜水艦です。敗色濃いドイツを脱出して地球を半周、万世橋ブンカー到着寸前に撃沈されました。排水量769t、全長67.1m。オープンクラス外洋巡航艦隊の主力潜水艦Ⅶ-C2型の7番艦です」

「戦時中にドイツと潜水艦で行き来してたの?」

「U-007が東京湾に浮上したのは、ちょうど東京大空襲の夜だった。炎上スル東京を目指し、手探りで神田リバー河口へ向かう途中、久我山の新型15cm高射砲の直撃でバラバラにされたB-29の垂直尾翼が直撃。河口の32キロ沖で沈没した」


世界を半周して秋葉原を目前にして撃沈?ココでラボから会議アプリで参戦中のルイナが割り込む。


「当時のエレクトロU-boatは、世界でも最先端の潜水艦だったわ。設計には最新の数値流体力学が使われてた」

「空気力学みたいなモノ?」

「空気を薄い液体と考えてる。水中を移動する物体には摩擦が生じる。でも、数学的に設計すれば摩擦を極限まで低減させるコトは可能。抗力を減らし、イルカのように水中を滑らかに移動スルわ」


ココでマリレが咳払いを連発し主導権を奪還。


「さらに、終戦間際にドイツ本国から出航したU-007には、枢軸陣営の敗戦処理に必要な2千万マルク相当の財宝が積まれていたらしいの」

「ソレでみんなが血眼なワケね」

「海事法では、財宝の所有権は発見者にアルんですって」


全員が億万長者になった自分を妄想←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


で、早速僕も捜査に参戦←

リバー河口に近い船着場w


「こんにちわ。私は万世橋警察署のラギィ警部。コチラはテリィたん。モッズ社の人は?」

「今日は見てないな。でも、モッズのサルベージ船なら、昨夜帰港したようだが」

「あら」


油まみれで船外エンジンを修理してた男が河口対岸を指差す。僕達は、ふれあい橋を渡り対岸に渡る。


「どう思う?」

「ダイバーの殺害時、サルベージ船は東京湾に出てた。テリィたん"黄金"って映画、見た?みんなで宝探しの旅に出るけど、次第に疑心暗鬼になり、宝の配分をめぐって殺し合うストーリー」

「今回は、3人で出掛け、1人殺して2人で山分けって感じw」


サルベージ船は、無人のようだ。だが、キャビンの中の無線機のマイクにベッタリと血がついているw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


海、財宝、トレジャーハンター、ビキニ!

目の前にカチューシャ装着のビキニ美女…


「おかえりなさいませ、テリィたん!」

「やぁジョナ!元気してたか?」

「トレジャーハンターカフェ"ラー"へようこそ!微乳のミユリから話は聞いてるわ」


ディープな谷間を魅せるのはジョナ。お宝系ヲタクの集まる御屋敷(メイドカフェ)のメイド長だ。


「徳川埋蔵金の次は断然"U-007"がキテル。国家予算を積んだママ沈んだンでしょ?トレジャーハンターがハエのように群がって盛り上がってるわ。アラン・ドロンも死んじゃったけど、確かU-007も艦長さんだけドロンと消えて、行方不明なのょね?」

「U-007のサラン艦長?良く知ってるな」

「YES。沈没直前まで超長波無線でドイツ本国の"狼の巣"と連絡を取り合ってた最後のU-boatエース…実は私のおじいちゃんでした!と言う"ウワサ"をSNSで発信中ょ。私はU-boatエースの孫娘って裏設定」←

「…沈没の原因はB-29の残骸直撃だろ?」

「うーんU-007の航海日誌がオカルト雑誌"ラー"のお盆特大付録で付いてたけど、ボンベイの秘密ブンカーを出て3日目までは順調だったのに、突然キールが軋んで浸水し始めたとあるの。でも、おじいちゃんは引き返さなかった。東京湾で全員退艦を命じた後も、おじいちゃんは最後まで艦に残ったの」

「乗組員の数は?」

「全部で70人。救難信号を受けた帝國海軍の駆潜艇が救助に向かった。でも、艦長は見つからなかった。7分後、無線は途絶えビーコンも消えた。勇敢なU-boatエースの伝説は、東京湾の波間に消えたわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「警部、新情報です!モッズ社のサルベージ船にあった血痕の予備分析では3人の血液が出ました!死亡したダイバーと残り2人はモッズ姉妹です。血液型が一致」

「マジ?モッズ姉妹も殺された?一体誰が殺したの?お宝目当ての別のサルベージ会社?」

「ソレともトレジャーハンター?」


第2章 CIA(カンパニー)がやって来た


ルイナが捜査本部とリモート会議してると、ラボにスーツ姿がヤタラとキマってる外人2人組が登場。


「Ms.ルイナ。私はCIA(カンパニー)のジャッ・ライアだ。問題が起きた。協力して欲しい」

「ええっ?!CIAって…あのピッグス湾事件の?」

「古いな。アレから色々やってルンだが…」


顔をしかめるジャッ・ライア。


「喜んで、と言いたいけど、今は秋葉原の事件で手一杯なの。その後なら空いてるけど」

「承知している。実は、我々も貴女にU-007を見つけてもらいたいのだ」

「あら。良く御存知というか、筒抜けなのね。霊南坂アメリカは最大の同盟国だから、ま、いっか」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「え。あの東京大空襲が陽動だった?」

「YES。知られざる事実だ」

「そんな…許されるの?1晩に10万人が死んだのょ?!」


ジャッ・ライアは、驚愕の事実を語り出す。


「第2次世界大戦末期、連合国側は日独の暗号を完全に解読してた。最後の遣日潜水艦となるU-007の航海も全て筒抜けだった。問題は、積載される"重要戦略物資"で、コレをナキモノとするため、特殊作戦が起案された。東京大空襲を陽動とし、東京湾に浮上するU-007を超低空精密爆撃で仕留める"東京ゴースト作戦"だ。しかし、可変翼爆撃機B-1.5は、旧軍が久我山に配備した新兵器により撃墜され、プランBで東京湾内でスタンバイしてたガトー級潜水艦"江戸フィッシュ"がU-007を仕留めた。しかし、直後にコントロールを失ったB-1.5が"江戸フィッシュ"に突っ込み、同艦は轟沈。B-1.5からの脱出者もなく、作戦部隊は壊滅、生存者は皆無だった。コレが"東京ゴースト作戦"の顛末だ」

SSR(戦略科学予備軍)最大の黒歴史ね」

「…先月、我々は横須賀の第7艦隊から空母打撃群(CTF-70.5)を出航させ、24時間ソナーを使って東京湾の海底を捜索した。我々は"U-007"が最後にベルリンと交信した超長波ビーコンの発信地点を突き止めており、集中的に捜索したが、何も見つからなかった」


鼻で笑うルイナ。


「あのね。アンタ達は、探す場所を間違えてる。もう1度聞くわ。第7艦隊が探した"重要戦略物資"って何?」


沈黙。だが、CIAは薄気味の悪い笑いを浮かべる。


「Ms.ルイナ。我々は、貴女が秋葉原のヲタクを賭け、負けられないチェスの試合に出るとの情報を得ている」

「スゴい情報力w」

「今年度の世界チェス選手権のチャンピオンは、実はCIAのエージェントだ。当日、彼の指示どおりに指せば、理論的には貴女に勝てる相手は存在しない」


思わズ身を乗り出すルイナ。


「マジ?チェスの世界チャンピオンがスパイなの?まるで、007の世界じゃないの!」

「今回のストーリーに合わせて思いついた小細工だ。因みに、ターゲットの弱味につけ込むのはCIAのお家芸」

「…その企みにミユリ姉様は、どうハマるの?」

「ハマらない。何処にも」


首を振るCIAを見て、露骨に喜ぶルイナ。


「あのね!恐らくU-007は東京湾内の水中を移動しながら沈没した。ソレもかなりのハイスピードでね。U-007のような精巧な設計の潜水艦は、水中を飛ぶように進むの。超概算だけど、30cm沈むゴトに4.3mは前に出る。数値流体力学の知識とU-007の設計図がアレば、ある程度の位置は計算出来る。東京湾底に着底スル直前までの移動距離がわかれば、第7艦隊の水兵さん達が探す範囲はかなり変わるハズょ」


大きくうなずくジャッ・ライア。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「ダイバーの検視報告書が上がって来たわ。先に魚網に引っかかったヴァン・クンツの足首に圧迫痕ですって。モニターに写して」


捜査本部のモニターに水死体のふやけた足首が映る。


「あら、縄目?ロープによる圧迫痕ね」

「足首を縛られて重しと一緒に沈めたけど、ヴァン・クンツだけロープが外れて東京湾内を漂流、漁網に絡まったンだわ。コレって東南アジアの麻薬シンジケートが使う手ょ」

「もしそうなら、モッズ姉妹は、未だ東京湾の何処かに重しと一緒に沈んでそうね。何処かしら?」

「ルイナ、遺体の場所を計算出来る?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ルイナ!聞こえてる?何で応答しないの?」


いつもなら、オンラインで繋がってる会議アプリから即答なのに、今回はヤタラと歯切れが悪い。


「…あ、ごめんなさい。忙しくて」←

「何か進展があったの?」

「え。いえ、別に。あ、サルベージ船の航路分析だけど、後でOK?」


ラギィが噛み付く。


「あのね!ルイナがサルベージ船の航路を割り出すって言ったのよっ?!」

「わかってる。なるべく早めにヤルわ」

「なるハヤ?」


ラギィは絶句。SATOのレイカ司令官も呆れ顔だ。


「レイカ!私、やるコトがアルんだけど、内容は言えないの」

「わかったから、落ち着いて。貴女は超天才。何をスルかは、貴女が決めれば良いわ」

「待って、レイカ!マジ?どーゆー意味ょ?」


アプリ越しにレイカとラギィが対立スル。


「え。ケンカしないで!あんなに仲の良いお友達同士だったのに、なぜケンカするの!」


第3章 乙女の弱味につけ込んで


「SATO司令部。コチラ"死海ダイバー"。浦賀水道に侵入。湾奥部に向かう」


"死海ダイバー"。ソレはSATOの海底部隊。その前部には"死海1"と呼ばれるロケット機が装備され…

まぁつまり最新式の原子力潜水艦ナンだが、今回はロケット機は出番ナシ。東京湾底で深夜の死体探しだ←


因みに艦影(シルエット)はU-007と同じU-boat7Cの艦体、前部にMe-163をドッキングした"メカ"。


「SATO司令部。グリッド4に侵入。水中カメラの画像をアップリンク」

「"死海ダイバー"、画像は極めて鮮明」

「ROG。今から面舵を切りルート072を回る」


SATO司令部の全周モニターに東京湾底の画像が写り、リアルタイムで万世橋(アキバポリス)にも流れる。


「次はグリッド4ね…艦長(キャプテン)、今のは何?」

「YES mom。私も気づきました。ニィナ、3番カメラをズーム」

「アイアイ、艦長(キャプテン)。カメラを回します」


海底に立つ不気味な人影?2体のゾンビ?


「水死体か?」

「3番カメラ、も少し右に振れ…"死海ダイバー"からSATO司令部。海底に2体の死体を確認!」

「モッズ姉妹だわ!スゴい!私、ズッと貴女を信じてたわ、ルイナ!」


ハシャぐラギィ。シラけるルイナ。


「艦長、水中レーダーに別の反応。2時の方向」

「別の死体?艦長、カメラを回して!」

「ヘドロで水中が濁ってる。サーチライト点灯!」


ソーラレイのような図太い光芒が暗い海底を貫く。


「沈没船のようです…ま、まさか?」

「…U-007?」

「そんなバカな!計算では…」


ルイナの顔に困惑が広がる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


東京湾岸。第3新東京電力LNG火力発電所の構内。U-007は、深夜の内に引き揚げられ発電所の体育館に引き揚げられている。自分の目で確認したいとルイナが言い出したので、国宝級天才ルイナの護衛部隊が緊急出動。


「ねぇ"モッズ・サルベージ"ってロゴが入ってるけど…」


ルイナが舷側に引っかかってる浮き袋を指差す。


「沈没した船を引き揚げる時に使う浮き袋ね。誰かがU-007を1度引き揚げ、2千万マルクの財宝をゲットし、再度沈めた?」


その時、体育館の入口でモメごと発生w


「責任者は?我々は嶺南坂(アメリカ大使館)だ。ルイナ!アンタ、ズルい手を使ったな!」

「えぇ何ょ?」

「我々にはニセの情報を流して撹乱し、その間に国益を優先させるとは。最低の腐女子だっ!」


たちまちヲロヲロするルイナ。


「違うわ。私も驚いているの!ソレに腐ってナイ…」

「アンタの機密情報アクセスの特権を剥奪スル。もちろん、チェス名人の話もナシだ。フラれろ、バカ」

「そんな!」


ワッと泣き出し、ルイナは駆け出す!その瞬間…


「逃げるな!射殺スルぞ!」


アメリカ大使館、実はCIAが拳銃を抜くのと、ルイナの護衛部隊が短機関銃、音波銃、擲弾筒、手榴弾、ロケットランチャーを構えるのがホボ同時だw


「ふ、腐女子たった1人を護るために、ココまでスルのか?この国はcrazyだ!」

「この国をcrazy呼ばわりスルのは東京裁判で終わり。ねぇ追ってるのは同じ事件でしょ?CIAがU-007を追う理由は何なの?あ、両手はそのママで。全然信用してないし」

「やれやれ」


ホールドアップしたママ顔を見合わせるCIA。


「ソレから、ウチのルイナは飛び級で、アンタ達のラスボスとはハーバードで同窓だから。今でも電話でタメ口聞いちゃう仲だけど?」

「我々のラスボス?誰だ?CIA長官?」

「大統領」←


CIAは、恐らく来日して以来最も長い溜め息をつくw


「OK, you win。我々が追ってるのは、国際的な武器商人ハシナ・アジズだ。世界中のテロ組織とつながりを持ち、あらゆる戦争の陰にいて大儲けをしている女」

「この件とは、どういう関係が?」

「2ヶ月前。モッズ姉妹からハシナに国家予算レベルの送金があった」

「国家予算レベル?モッズ姉妹って、湾岸ゴロツキのサルベージ屋じゃナイの?」

「違う。彼女達は、元"喜び組"の秘密工作員だ。送金理由は不明だが、半島の北半分にあるテロ国家は、何か重大な買い物をしたようだ」

「そして、ハシナ・アジズはU-007を引き揚げ、積荷の何かを姉妹に売ろうとした?」

「恐らく。シナリオでは、そうだったのだろう。だが、何かトラブルが起きて姉妹は殺され、積荷は消えた」

「どーやら、U-007が運んでたのは金銀財宝では無さそうね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(メイドバー)のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて常連が沈殿、収益は急降下だw


で、今宵は僕が沈殿してるw


「ミユリさん。CIAが出て来たょ。そして、2週間前に横須賀の原子力空母"ロナルド・老眼"が東京湾底をドブさらいしたけど空振りだった。その時、捜索海域を特定した根拠はタダ1つ。U-007の超長波ビーコンが途絶えた地点だ」

「テリィ様。ソレは後世の私達の目をクラます策謀だったのでは?」

「だょなー。U-007のサラン艦長は、なるべく浅瀬で沈めれば、後々の回収もスムーズに行く。そして何より、自分以外の全乗組員からも、U-007の沈没場所を隠すコトが出来ると踏んだんだ」

「ソレで総員退艦させ、ビーコンを切り、神田リバー河口を目指した…果たして、U-007は河口で発見されました」

「一方、元"喜び組"のモッズ姉妹は、誰かからU-007のホントの沈没場所を聞き出して…」

「誰かからって…あ!テリィ様。私、思い当たるフシがあります!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ルイナはラギィとリモート会議。


「"ラー"お盆号付録のU-007の航海日誌を読むと、ボンベイ出港時からキールが軋んだとアルの。キールが軋むのは、積載量オーバーのモノを積んだからだと思う。あと、U-007は、ボンベイ寄港後に著しく航行速度が減速してる」

「やっぱりボンベイで何か積み込んだのね。ルイナ、何を積んだかワカラナイかしら?」

「航行速度やらナンやらから積載量の増加分を算出は可能だけど、ソコから先は、みんなで妄想して」

「ROG。妄想なら…あら?テリィたんは?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆⭐︎


案の定、大統領執務室(オーバルオフィス)から直々のホットラインが入ってCIAはSATO司令部を表敬するハメになるw

ところで、SATO司令部はゲーセンの地下にあり、表敬にはゲーセン店員のコスプレをスル必要が…


「ええっ?貴方達がCIA?プ、プフフ…」


ゲーセンのトイレが秘密のエレベーターになっているのだが、中から出て来たのは…黒装束の忍者だ。


「実はソレがしは、幼少の頃より忍者に憧れていた…でござる!」

「似合って…ござるわwそりゃ秋葉原に来たらコスプレょね」

「いかにも。汝らも何と艶やかな…」


ラギィはミニスカポリス、ルイナはトレードマークのゴスロリ、レイカはロマンスカーEXの車掌さんw


一気に場の空気が和む。コスプレは国境を超えるw


「ねぇU-007は、ボンベイで何を積んだの?出港後のU-007の巡航速度が落ちてるの…でござるけど」

「なーるホド!ゴスロリ姫。マコトか?」

「え、姫?私が?」


マンザラでもないルイナ。


「立派な"ヲタサー姫"でござる。拙者(CIA)に心当たりが…第2次世界大戦当時、英連邦軍ボンベイ要塞の秘密武器庫には"爆縮レンズ"が…」

「"爆縮レンズ"?原爆の起爆剤のコト?」

「YES。"爆縮レンズ"は、原爆のプルトニウム・コアを爆薬で包んだモノ…でござるょ。爆薬を爆発させた時の衝撃波がコアに対し瞬時かつ完全均一にかかり、コレにより核分裂連鎖反応がスタート、つまり核爆発が起きるのでござる。まさに原爆の起爆剤であり、マンハッタン計画のキーとなるテクノロジーでござる。しかし、極めて高度な数学理論を駆使した計算が必要であり、実はロス・アラモス秘密研究所は、ボンベイに分所を設け対応していたでござる!何しろ"爆縮レンズ"は超高等数学の産物ゆえ!」

「左様か?!で、でも、なんでインドなの?…でござるの?」

「ガンダーラ!古くはゼロの発見、最近では2桁の掛け算九九。インドは昔から人類の最先端をゆく数学王国なのでござる!欧米人もビックリ!」

「何と!カレーが美味しいだけではナイと?」

「いかにも。たった4回の核実験で水爆の開発に成功した国でござる。水爆の起爆剤は原爆。原爆の起爆剤は"爆縮レンズ"と心得る」

「しからば"爆縮レンズ"の目方は?」

「容器も入れると180kgを超えるでござる」

「拙者の計算では190kg」

「ドンピシャ!サスガは姫!アッパレ!」

「かたじけない!」


スッカリ打ち解けてるw


第4章 SEX AND THE AKIBA


ミユリさんは、アキバメイドの大御所なので不思議カフェ"ラー"のジョナとも古い付き合いだ。


「わぁジョナ!ホントにビキニなのね?」

「おかえりなさいませ、お嬢様…あら?ミユリ姉様なの?早くビキニに着替えて手伝って!」

「ビキニ?去年の"沖縄フェア"は、確か全員スク水だったじゃない?」


いつものメイドが全員ビキニとあって"ラー"は大繁盛!炎天下、御屋敷(メイドカフェ)の外には行列がトグロを巻くw


「忙しそうね。じゃ手短に済ませるケド…ジョナ、貴女ってリアルでU-007サラン艦長の孫娘ょね?」

「え。…ヤメてください姉様。"ウワサ"です。あくまで"ウワサ"」

「ヤメて。貴女、谷中の墓地でおじいちゃんのお墓に"テスラー総統、バンザイ"みたいな挨拶をしてたわょね?アレってナヂス式のハイル…」

「アレは"ジーク・ジオン!"ですっ!おじいちゃんは、ファースト・ヤマトの世代だから!」

「ファーストの時は、ジョナは生まれてナイし、おじいちゃんは亡くなってる。ねぇジョナ、おじいちゃんを庇えば、貴女もテロリストになり、当局は貴女を(ビキニのママでw)拘束スルわ」

「え。ビキニのママで(ウレしいw)?」

蔵前橋(けいむしょ)でメイドカフェでもヤル気?ソコまでして庇うおじいちゃんなの?おじいちゃんなら、貴女をソコまで庇うかしら?」


ハッと目線を上げるジョナ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室(にビキニ美女がいるw)。


「ごめんなさい!ミユリ姉様に言われて、目が醒めました!おじいちゃんは、どーだか知らないけど、私はテロリストではありません!逮捕しないで!」

「わかった!わかったから落ち着いて!私はラギィ警部。貴女からは事情を聞くだけ。で、先祖伝来の"重要戦略物資"は今、何処にアルの?月夜の晩に謎女子が現れたトコロから、話してくれる?」

「彼女は…数日前から"ラー(御屋敷)"に何回か顔を出し、あっという間に私の太客になった。よくいるトレジャーハンター気取りの巨乳好きな百合だと思ってた」←

「ソレ、顔を見た人間は24時間以内に必ず殺されるという"ウワサ"の国際武器商人のハシナ・アジズだから」

「でも、黒のサングラスにコロナのマスクで、人相とかは全然ワカラなかった。満月の夜、谷中の墓地に忍び込んで、おじいちゃんのお墓を掘り起こし、中に埋まってたモノをクレーン車で吊り上げ、黄色いバンに積み込んで走り去ったわ」

「え。何を掘り起こしたの?行き先は?」

「行き先は聞かなかったけど、埋まってたモノが何かは知ってるわ。だって、今際(いまわ)(きわ)に、おじいちゃんから教えてもらってたから」

「ナンでイバるのか謎。で、お墓には何が埋まっていたの?」

「原爆の起爆に使う奴」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


原爆起爆剤の"爆縮レンズ"が死の商人の手に。半島の北半分が原爆で核武装を画策?


「ハシナ・アジズはプロだ。恐らく最高値をつけた奴としか商売しない。恐らく元"喜び組"は、最後の最後で価格が折り合わズ、消されたのね」

「現時点で、新たな買い手がついてるのかしら?」

「…ジョナの話では黄色のバンだそうです」


ムーンライトセレナーダーだ。僕の推しミユリさんがスーパーヒロインに変身した姿。白のヘソ出しセパレートのメイド服。


「ジャッ・ライア。確か、アジア上空には同盟国を監視スル衛星ネットワークがあったわょね?」

「YES、ムーンライトセレナーダー。だが、情報量が多過ぎて、絞り切れない」

「ルイナ、聞いてる?」


アプリから即答。


「聞いてます、ミユリ姉様…じゃなかった、ムーンライトセレナーダー」

「何とかなるかしら」

「目標識別アルゴリズムがデータを識別します。不要な変数を除き、ノイズをとれば、目的の黄色いバンを探し出せるわ」


ラギィ警部が捜査本部から話に割り込む。


「ルイナ、必要なモノは?何でも揃えるけど!」

「CIAのコンピュータネットワークへのアクセス権」

「拙者にお任せを」


黒装束の忍者がスマホを抜く。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「識別フィルタに条件を追加したら、捜索効率が72%上がったわ…現在、画像を取得中。出たわ。神田リバーの艇庫前に黄色いバンが止まってる」

「え。リアルタイム?間違いナイの?」

「タイムスケールを遡ると、そのバンはモッズ・サルベージに立ち寄ってる。間違いナイわ」

「OK。ヲタッキーズGO!全員出動(アルファストライク)!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田佐久間町。昔からアル古い艇庫。


ヲタッキーズに警官隊にSATOの特殊部隊にCIAがゾロゾロ出撃、思い思い?の武器を手に突入準備。

艇庫前には…黄色いバンが2台。既にバックドアが開いてる…特殊部隊が張りつき、荷台の中を確認!


「クリア!」

「爆縮レンズがナイ。艇庫に運び込んだ後だ。南東の角に2人」

「アルファチーム、南東の2人を排除し裏へ回れ。残りは、正面から突入。戦闘工兵、前へ!」


ドアノブに火薬(デトコード)を巻き付けて点火し爆破!中の武器商人一味とたちまち激しい銃撃戦!


「ヤバい!逃げろ!」


エンジンをかけ強行突破を図る黄色いバン。その前に平然と飛び出すムーンライトセレナーダーw


どっかーん!


ムーンライトセレナーダーの必殺技"雷キネシス"一閃w

萌える車から転がり出る男にラギィが拳銃を突きつける。


「死の商人ハシナ・アジズ、万世橋警察署(アキバP.D.)が所轄の意地で逮捕スル!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「…はい。チェックメイド、じゃなかった、チェックメイト」


ルイナのラボで行われている、レイカ司令官とルイナのチェスの盤面を、みんなで覗き込む。


「ああっ!私が手加減してあげたのょ」

「まぁ司令官、お優しいコト」

「お洒落なトキメキに楽しいデートか。まるで、半世紀前のSEX AND THE AKIBAの世界だね」



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"宝探し"をテーマに、死体で打ち上げられるダイバー、元"喜び組"の秘密工作員の姉妹、トレジャーハンターカフェの巨乳メイド、後に大統領になる?CIAエージェント、遣日U-boatの艦長、ダイバー殺しを追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。


さらに、元カノ達のチェス大会騒ぎなどもサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、お盆明けでインバウンドの潮目が変わった秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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