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CLASSIC CARAVAN FANTASY  作者: じっくり
第一章
4/99

マナト、ミト、ラクト

 ――ツ〜。


 「……えっ?」


 マナトの右頬が少しだけ切れて、血が流れた。


 ラクトを見ると、左手で逆手持ちにダガーが握られ、その刃は空を向いている。


 「うわっ!?」

 マナトはビックリして尻餅をついた。


 まばたきよりも速いスピードで、ラクトは左腰のダガーを逆手持ちに引き抜いて、その勢いのままマナトの右頬をかすめ切っていた。


 「おぉ、確かに。ジンじゃねえわ。血がちゃんと出てる。てか、反応おっそ」

 ラクトが言った。


 「やめなよラクト!」

 ミトがサッと、マナトをかばうようにラクトの前に立った。


 「すまねえ、すまねえ。自分で確認しないと気が済まないタイプでな。もう、大丈夫大丈夫」

 「マナト君は、はるか遠くの、ニホンっていう、争いのない、とても平和な国からやって来たんだ……あっ、そうでもないんだっけ?」


 ミトが振り向いて、マナトを見た。


 「ええと、そうですね、武器は必要のない世界でした」

 「そういう事だよ、ラクト」

 「なるほど〜」


 ラクトがマナトをまじまじと眺めた。


 「目に見えて弱いからなぁ。俺がダガー抜いてから3秒くらい、反応遅れてたからな、はは」


 ラクトが笑った。


 ……バカに、されている。

 一瞬、マナトは思った。


 ……いや、どうしようもない。本当に速すぎて、切られたことすら分かっていなかったのだ。……それと、この世界では、それなり強さが、人間には求められるってことなのか。


 「あと、きったねえけど……すごい変わった服着てるな」


 ラクトがマナトの着ているカッターシャツ、またスラックスを、服の生地を確認するように触った。


 「俺達の村は、衣服やその生地を交易しているからな。長老がお前の服を見たら喜びそうだぜ!」

 「そ、そうですか、はは……」

 「お~い!ミトぉ~!」


 遠くから、ラクトが歩いて来たほうから、声が聞こえてきた。


 3人がその声のほうを向くと、一人の青年が立っていて、ミトとラクトがおぅ〜という感じで手を振っている。顔見知りのようだ。


 「どうしたの~?」

 ミトがその青年に聞いた。


 「やっぱここにいたか!大変だぞ!村にグリズリーが出たんだ!」

 「えっ!」

 「マジかよ!みんな大丈夫か!?護衛たちは!?」

 「いや、それがさ、長老が何を血迷ったか分からないんだけど、ミト、お前のキャラバン最終試験を、村襲ってきたグリズリーの退治に決めちまったんだよ!」

 「えぇっ!?」

 「とにかく村に戻れ!」

 「わ、分かった!」


 ミトが慌てて草原の傾斜を下ってゆく。


 「マジか~大変なことになったじゃねえかよぉ~!」

 ラクトが苦笑しながら歩き出した。なぜかちょっとテンションが上がっているように見える。


 ラクトについて、マナトも草原の傾斜を下りてゆく。


 「おぉっと……」


 草原は、途中から崖となっていた。


 「おぉ……!」


 下を眺めると、石造りや木造など、様々な種類の建物が建ち並んでいるのが見えた。


 「俺達の住む村、『キャラバンの村』だ。こっちから村に行けるぞ」


 ラクトとマナトは、ミトを追って、階段を下りて行った。

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