歩き疲れたボクは宿木と成る
新しいものが好き
みんなと一緒に歩みたい
置いて行かれたくない
気持ちはあるんだ
本当なのに
ボクはみんなより不出来みたい
歩いても歩いても
前ゆく人の影しかみえないや
(お願いみんな、止まって)
みんなを眺めながら
くたびれた足が絡まるまで
前を見続けなければ
目標地点まで行かなくちゃ
ボクの存在意義はなくなっちゃう
(前へ前へ先へ……)
それしかないから
ポンコツなボクの足は
歩幅も小さくなってきた
周囲が暗く感じる
みんなが光に包まれている中で
ボクは未だ影を見てる
(やだ。置いて行かれたくない!)
必死に前へ
先へ進む
みんなと一緒に進みたいから
それでも
輝く人たちの輪に入れないボクは
いったいどこに行けばいいんだ
影を睨んだ
影に笑われた
光を奪おうとした
光がボクの目を焼いた
影と光に挟まれ意気消沈
ボクは歩くことを止めた
息切れしながら周囲を見渡す
暗闇は案外心地がいい
でもずっと居てはいけない場所
自分が何者か分からなくなっちゃうからね
もと来た場所へ帰ろうにも
憶えてすらいない
目を閉じて耳を澄ました
暗闇にも風はあるらしい
びゅーと誰かを押すように吹いている
ボクは風に任せて流れることにした
みんなと方向が違うけれど
どこか心地が良かった
こっちの方が『ボク』って感じだった
綿毛のようにふわふわと流れてゆく
着地した先に光はあるのだろうか
まだ分からないけれど
身体が軽くなった
誰をも僻まなくなった
まるで悟りをひらいた人のように
心穏やかになった
冷静に今を視る
影が見えるのなら
ボクの居る場所は光のはずだ
光は決して途絶えないものだから
後ろをゆく人たちも同じ
ずっとずっと
光を歩んできたんだな
ボクはそんな人たちの安らげる
宿木に成りたい
そんな木が見渡せばたくさんあった
新しいものが好き
(それは今ここに在る)
みんなと一緒に歩みたい
(同じ方向じゃなくても)
置いて行かれたくない
(深く根付けば心揺るがないはずだ)
だいじょうぶ
ボクはここで
誰もが安らげる宿木に成る




