市役所と市役所のお兄さん2
座りながら、周りを見回すと何人もの職員さんが忙しそうに走り回ったり、電話したり、パソコンを打ったりしている。
ちゃんと人がいる。それだけでも、一人で不安だった気持ちが、ほぐれたみたいになった。
良かった。俺、誰もいない世界に転移させられたかと思った。
そんな事を思いながら、ぼーっとしていると2メートル向こうが光った。
え?なんだ?びっくりしていると、急に一枚のドアが現れた。木で出来た、どこの家にもありそうな回すノブの付いたドアだ。カチャとドアが開いた。
市役所職員さんなのか、疲れた顔をしながら、一緒に出てきた女性に「あー、疲れた。今はどこででも会議が出来るのに、なんで顔合わせを現地集合にするかなー?」と、愚痴っている。苦笑いをしながら一緒に出てきた女性は「まあまあ、1年に一度の事ですし。それに今年はまだ運が良いですよ、だって隣の県でしたしね。」と、言っている。
二人が出たあとはドアが閉まり、すぅっとドアが消えた。え?ドアが消えたけど?!なにあれ?すげぇ!他には無いかな?と、キョロキョロしていると、向こうからオレンジジュースを持った市役所のお兄さんが現れた。
「お待たせ。はい、オレンジジュース。嫌なら、お茶もあるよ。」
「いえ、オレンジジュースがいいです。ありがとうございます。」つめたいジュースを一気に飲むと
疲れが取れるみたいに元気が出てきた。
「あの、ここは何処なんですか?」思いきって聞いてみた。
「ここは、河内長野県だよ。地図で言うとここだね。」と、地形は多少変わっているものの、日本地図の大阪を指していた。