March 22 AM13;11
過去の事である。
一人の断罪者がそこには居ました。
断罪者と言うのは文字通り罪を裁く事の事を表し、男もまたその一人でした。
しかし断罪者はとある事件により落ちぶれて路頭に迷う毎日を繰り返していました。
変わらない毎日、変わらない世界。
繰り返される日常、繰り返すことしか出来ない日常。
それに男は絶望していました。
しかしそこに一人の人物が現れます。
その人は断罪者に一言告げました。
「 」
その断罪者がどうなったか、真実は永久の闇の中。
…………
◆◇◆◇
廃ビルから出て暗い路地裏を一気に突っ走る。
迂闊だった。
まさかこんな事態になろうとは登場人物及び読者、さらには作者も予想できたであろうか? ……できてない気がする。
残念ながら彼女は携帯を所持していない。
彼女が行きそうな場所なんて全く知らない。
ふと立ち止まり空を見上げる、鉛色の空がこの世界を覆い尽くそうとしていた。
「何でこんな事になったんだっけ」
ぼやく。
ぁ。
良く考えたら俺を気絶させた原因は刹那の音速チョップだった様な気がする、今更気づくのはどうかと思うが。
(くそッ、尚更探さなきゃいけねぇじゃねぇか!!)
頭を掻き毟り路地裏をダッシュ。
同時に携帯電話の軽快な着信メロディが鳴り響く。舌打ちをして携帯を取る、見知らぬ電話番号だった。
「もしもし、面倒臭いんで用件は手短に」
『何だそのぶっきら棒な言い草は、もしもし位言えないのか?』
「苦楽か、俺は呼吸するのに忙しい、後トラウマが蘇りそうで怖いから電話を切りたいんですが」
電話主は俺の言うとおり苦楽だった、俺の返答にケタケタと笑っている。
「切っていいか? 刹那が何となく危険な予感がするんだ」
『お前は借金執事か? もしくは親だな、テラ親子、髪の色が違うのが非常に残念だ』
「ツッコミの必要性は無さそうだから止めておくけどコレだけは言っておこう、俺は今回シリアスに徹したい&本気で忙しい」
『まぁ待て、これはお前達にとってはおそらく重要だぞ?』
俺は足を止めて廃ビルの方を振り返る。
『九条瀬名殺人事件の手がかりが欲しいんだろう? 一応知ってる物は言っておこう、ぁ、帰ってこなくていい、お前がこのビルに一旦戻ろうと振り返って此処を見た事は把握したから』
「どこで見てる?」
俺の低い声での問いに苦楽はケラケラと笑い出した、不愉快だ。
そして冷徹なる声でこう返してきた。
「戯け、私は『魔女』だぞ?」
◆◇◆◇
「 」
空白がそこには在った。
私は一瞬世界が空白になった気がした。
さっき殺した男の肉片から目を離し路地裏を見回す。
暗くて湿った路地裏だった、時々悪臭がして気分が悪くなる。
血塗れの自分の格好を見て思わず笑みが零れる。
「嗚呼……」
「これで良かった」
「これで私は幸せになれる」
「もう二度とあの人を奪いたくない」
「奪われたくない……」
「だから、」
『だから殺したのか?』
肩がビクリと震え上がりゆっくりと後ろを見る、そこにはゴシックロリータ……つまりゴスロリを着た少女が立っていた。
◆◇◆◇
私は血塗れの白ローブを着た少女を一瞥するとその傍らに放置された肉塊を見る、肉と血で描かれた血肉を見て気分が悪くなる。
そして私は問う。
「だから、殺したのか?」
自分でも驚くほどに平坦な、感情の籠っていない声だった。
女性はキョトンとした顔をしたままだった。
苛々する。
胸の奥で泥の様な嫌悪感が湧き上がりそうになったが無理に沈める。
やがて血塗れの少女が口を開いた。
「貴方……誰……? 何でこんな所に居るの……?」
少女は何も知らない。
この状況を知り決定権を掴んでいるのはこの状況で私だけだ、無理も無い。
「私の問いに答えろよ、お前が殺したのか?」
嫌悪感と苛立ちを込めて再び問う、また少女の肩が震える、何だが私が一字喋る度に震えてる気がする、いい気はしない。
少女の眼球は焦点が合わない様な感じで忙しなく動いていた。
やがて震える唇で言葉を紡ぐ。
「わ、わた……私は何も、何、も知らない……」
「なら、その肉塊は何だ?」
少女がハッとして自分の隣に転がっていた血塗れの肉塊を凝視する、直後、彼女の体がビクリと痙攣し『吐いた』。
嘔吐した物が肉塊の上に降り積もる。
「私……何も知らない……何も」
「ならこれだけには答えろ、お前は……誰だ?」
その言葉に少女は答えなかった、嘔吐し体全体をビクビクと痙攣させ息を切らしながら私を見つめる、私はそれを腫物を見る様な目で見下していた。
言葉を紡ぐ。
「お前は……誰だ?」
その問いに彼女は蹲り頭を抑える、そして。
殺意を込めた目で彼女を見ると同時、『跳んだ』。
(は……?)
直後、腹に鈍痛。
見ると自分の腹に小さな穴が空いていた、そこから空気でも抜けるように鮮血が溢れ出る。
苦痛に顔を歪める。
目の前には少女が立っていた。
少女は汗まみれの顔で唇が裂けるのではないかと言うレベルで笑っていた。
苦痛に意識が遠のきそうになる。
成る程、コイツは明確なる『殺人鬼』だった。
(終わるな……)
第ニ激目を発動せんと少女が動く。
この時点で終わりを予感していた。
が、
直後路地裏に声が響き渡る。
「刹那!!」
聞き慣れた声だった。
何と言うかバトル偏に突入。
そして初の刹那ちゃん視点w
で、問題が一つ、この小説かなり長くなるかもしれない可能性が発覚。
読者が着いて行けるかどうかが激しく不安。