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March 22 AM08;48

それは一昨年の十月の秋だった、まだ少し夏の暑さが残っていたが間違いなく秋だった。

世間的には受験手前のクライマックスシーズン(約四ヶ月弱)に突入するのが普通だったが私こと浪野飛鳥は大学に進学することも無く普通に働こうと思っていたので周りの状況に流されることも無くのんびりとした無気力時間スローライフを送っていた。

大学に行ってもやる事は高校と同じだろうし目指す事も無い、むしろ学校と言う名の苦痛から逃れたいほどだった。

 

そんな時だった、彼が来たのは。


「ぁー……まだ大丈夫か?」

茶髪のボサボサの髪に黒の制服、どうみてもこの高校の男性だ。

(あぁ、何だ)

そう、九条瀬名だ。

一見ふざけている様にも見えて正義感が熱く人徳もある彼はクラスでも慕われる存在だった、噂では他校の生徒にカツアゲされている生徒を助けるために集団に対して単身で突っ込んだこともあったらしい。





「……ゴメン、ちょっといいかな?」

俺は色々あって止めてみる、正直止めておきたい。

当の本人はキョトンとした顔をしていたがやがて怪訝そうな顔を浮かべて。

「なんですか?」

「それはこっちの台詞だ、戯け」

俺が何か喋るより刹那が口を開いた、言葉のトーンとかを聞くと若干苛々しているようだった。

俺は決意をすると音速のスピードで台所へ向かって走っていく、怖い。

(刹那があーなると結構怖いからなー……なるべく関わりたくなかったりそうでも無かったり、あぁでも怒ってる刹那も可愛いよ、俺大好きだよ、本人の前で言うと間違いなくフルボッコだけど)

予め用意しておいた紅茶を淹れて盆に乗せる、シュガースティックを数本摘み更にスプーンも付け足す、緊張している時には紅茶が一番だ。普通に落ち着ける。

別に依頼主の飛鳥の意見を却下したのはそういう理由ではない。

あくまでベタな恋愛話を聞きたいのではなく事件の証拠になるような事を聞きたいのである惚気話は本当にどうもでもいい。

「あのな……やっぱり、そうしよう」

刹那はソファに寝転がるとニーソックスを履いた脚を組んで、ふん、と鼻を鳴らした。

「事件に関連性のある事だけを言ってくれ、私はコイツ(忘却)の話と長話と辛い物が大嫌いだからな」

「何言ってんだ、毎回ウットリしながら聞いてるじゃないか」

「黙れっ!! お前の目は節穴かっ!?」

「なっ……俺の視力は3.5ですよ?」

「視力の問題じゃない、お前の人間性の問題だ」

「酷い! 責任者を出せ! 色々言ってやる」

「私が紅魔術事務所の所長こと刹那だ、文句があるなら言ってみるがよろしいよ」

刹那が無い胸を張って踏ん反り返る、もう何か色々嫌だ。

「あ、あのぉー……」

飛鳥が至極申し訳無さそうな顔をしていた、本当に申し訳ないのは俺達のはずなのに。

「話してもらっても良いかな?」

俺の声に飛鳥は頷く、良い子だ……いや、早く事件を解決してほしいと言うだけなのかも知れないが。


◆◇◆◇

 

数分ほどして九条神弥の素性と殺害までの一週間の過程が解った。


まず、九条瀬名は大学に進学してからも恨まれる事は無かったらしい、人柄も良かったせいかむしろ慕われる人間だった。

クラスからの殺人は薄くまたトラブルその他も無かったらしい。

そう考えると殺人の可能性は若干ながら薄れた。


「いやーそれにしても」

顎に手を当てて俺は呟く。

「まさか君が九条君と共に大学へ進学するとは予想外だった」

そう、飛鳥は九条瀬名と共に大学へ進学していた、理由は彼と幼馴染であるのは勿論、惚れたらしい、合格し卒業すると同時に告白し付き合うことになったそうだ。

その事実に飛鳥は頬を朱色に染めていた。

「いや、良いんだよ。恋愛とは良い事だ、恋心を持つということは優しさを持つ事と同じだよ」

俺はフォローを入れておく、普通に事実だ。

「それで……その九条とか言う奴は恨まれるような事はしてなかったんだな?」

ソファに寝転がったままの刹那が問う。

「はい……その通りです」

「本当だな?」

刹那の声が低くなる。

「本当ですっ!! 瀬名はそんなヤツじゃっ……」

飛鳥が立ち上がり叫んだが、すぐにソファに座る「すいません」と呟き俺は無言で苦笑する。

「ふむ……そうだな、また明日来い」

不意に刹那がそう呟いた。

「今のお前じゃ詳しい事まではわからないしな、一旦落ち着いて来る方が……まぁ効率はいいだろうし」


その一言で今回の事情聴取は終わった。



京都に旅行に行ってました。

うん、良いですよね、旅行。

清水寺に入れなかったことを地味に後悔してますが(爆

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