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March 22 PM15;48

「なぁ、苦楽さんよー大丈夫なのかい?」

机にグデーッと寝転がったまま俺は魔女である苦楽くらくに問う。

当の本人はソファの上に血塗れになった刹那せつなを運んでいた、意識は無いのだろうがソファに置いた瞬間刹那の顔に苦痛の色が見えた。

そして腹に開いた赤黒い風穴を見て嫌悪感と後悔が芽生える。

溜息をつきたくなった。


ハァ……。


ついてしまった、つかない方が良いのだけれど

「溜息をつくな馬鹿者、此方の気が滅入る」

五月蝿うるさい、それより本当に治せるんだろうな?」

「それが人に物を頼む態度か? ん?」

「わかりました、お願いします。それより苦楽って白魔術を形成できるのか? 一昔前に聞いた風の噂では黒魔術専門だと聞いていたけど」

俺の問いに苦楽は此方を振り返りキョトンした顔で此方を見た。

「今も昔も専門は黒魔術だが?」

顔を伏せるのをやめて苦楽を見る、妖艶なオーラを纏った苦楽は相変わらずキョトンとした顔を浮かべたままだ。

「じゃあ誰が治すんですか? 俺黒魔術特化ですよ?」

それを聞いて俺の言いたい事がやっと理解したらしく苦楽さんは「あぁ」と大袈裟に相槌を打ってニヤリと冷笑を浮かべる。

「私が治すのでは無い、治すのはアイツだ」

と、言って苦楽が奥の部屋へと続く扉を指差した。音も立てずに扉がゆっくりと開く。

扉の奥から出てきたのは白いドレスを着た苦楽よりも少し童顔の少女だった。

髪の色は黒い漆黒のロングヘアー、瞳の色は蒼穹。病的に白い肌が何と言うか綺麗だった、大雑把な表現にも聞こえるがその他に言葉が出てこないから仕方が無い。

少女は薄い唇を開く。

「御呼びでしょうか……お姉様」

その言葉に俺の脳内に火花が散る。

と、言うか言葉の意味が良く分からなかった。

オネエサマ?

意味不明なんですが。

俺を置いてけぼりにして苦楽と少女が話を続ける。

伯楽はくらく、この子を治してくれないか? お前ならできるだろ?」

「はい……でも御姉様……何ですかこの子」

「嫉妬の目で私を見るな、ただのお得意様だよ」

「では……この人は?」

少女、伯楽は俺を指差した、何だろう目が怖い。

苦楽は再び苦笑を浮かべて宥める様に頭を撫でる。

「だから嫉妬の目で見るな、そいつは私の性欲処理に――」

「ちょっと待てコラァッ!」

全力で止めに掛かる、小説家になろうではやってはいけなさそうなネタである事は確実なのだから。

苦楽は怪訝そうな顔で俺を見て一言。

「何だ」

「何だじゃねぇよッ! 俺がいつからお前の性欲処理人形になったんだよ、何時だ!言ってみろコラァッ!!」

「お前の童貞を奪った瞬間」

「キッパリと言うな! トラウマが滲み出る!!」

何と言うか思い出したくない過去が一瞬頭を過ぎった、悪寒で背筋が震え吐き気がする。

「それで、その子……誰なんですか? 御姉様とかって……」

俺は伯楽を指差して問う、苦楽の情報屋を利用してからまだ数ヶ月しか経ってはいないがこの廃ビルで苦楽以外の者に会うのは初めてだった。

苦楽は暫く無表情で居たがやがてハッと気づいて俺と伯楽に交互に視線を向ける。

「そう言えばまだ紹介してなかったな、伯楽は私と血の繋がった妹だ」

時間が凍結した。

いや、この瞬間少なくとも凍結したのは俺だけだろう。

聞いてはいけない言葉を聴いてしまったのは間違いない、言語機能が麻痺している云々ではなく苦楽が喋った言葉を今の俺には理解する事ができなかった。

数秒耳が痛くなるような静寂が部屋一帯を包み苦楽がゆっくりと口を開く。

「そんなに驚く事か?」

苦笑を浮かべた顔には呆れすら混ざっていた、呆れたいのはこっちだ。

「驚くって……そりゃ驚くさ、妹が居るなんて聞いてないし」

「私は情報屋だぞ? タダで情報をホイホイと明け渡す訳が無い、いいかい忘却ぼうきゃく、情報屋って言うのは個人情報は勿論存在自体も隠蔽しつつ仕事をしなければいけないんだ、お前は偶然にも私を誘拐事件から救って偶然にも私の情報商売を頼る様になっただけだ、それ以上それ以前の問題でもない、お前達が誘拐事件に接触しなければ街角ですれ違う程度だったと思うしさ」

そこで苦楽の表情に少し陰りが出る、誘拐事件は惨状だった。

タチの悪い悪魔は次々にあらゆる者を誘拐し凌辱し飽きたら虐殺、そして次の女を捜すの繰り返し。

苦楽は単純に偶然にもその一人に選ばれて凌辱されかけていた所を俺と刹那が気まぐれで特攻し気まぐれで冥界へと送った。

よく考えれば苦楽の言っている事はもっともかもしれない。

俺達が此処に居る理由は所詮偶然に過ぎない。

あの時刹那が悪魔を見つけなければ苦楽は死んでいた。

あの時俺達が助けなかったのならば苦楽は死んでいた。

その場合、俺達は何も知らずに日常を生きていた筈だ。

何だ、偶然とは此処まで恐ろしいものなのか。

神が一瞬でも偶然の糸を狂わせるだけで人が一人死ぬ可能性もある、なんて皮肉。

再び重い沈黙が室内に走り俺は額を押さえる、正直こんな空気は苦手だった。

「……あの」

次に言葉を発したのは伯楽だった。

俺が顔を上げると伯楽はソファの上に寝かされた血塗れの刹那を指差していた。

「……この……」

「あぁ、名前は刹那だ」

ギョッとして横たわっていた刹那の方を見る、彼女は虚ろな目で天井を見上げていた。

「刹那、意識が戻ったのか?」

「まぁな」

俺の問いに刹那は気ダルそうに答えた。そして伯楽を見上げて苦笑を浮かべる。

「すまないがまだやる事が有るからな、早めに治してもらえないか?」

俺は刹那が真面目に懇願する所を初めて見たような気がした。

いつもは堂々と獅子の様なオーラ(少し言いすぎかもしれないが)を出している刹那がそんな言葉を言う光景は中々レアだった、ビデオカメラ持ってきたらよかった、多分殺されるけど。

刹那の言葉に少女は苦楽に似た微笑を浮かべると右手をかざす。

そこから光の魔力が収縮し、開放。

刹那の腹の風穴に向かって放たれ、同時に閃光。暫くすると風穴は完全に塞がり痕すらなかった。

「ほー……」

俺は無意識に間の抜けた声を出す、白魔術を使う者は数回見た気がするがここまで完璧な回復系統の魔術を見た事は無かった気がする。

真面目に尊敬する。

当の本人は無表情のまま翳した手を戻し苦楽を通り過ぎて俺を見てくる。

「…………終わりましたので」

「ぇ、あぁ、ありがと」

結構簡単に終わった、てっきり姉の苦楽と同じ様に色々払わされる予感がしたのだが妹の方が真面目らしい。

伯楽は「それでは」と丁寧なお辞儀を見せて奥の部屋へと戻っていく。

「なぁ、苦楽」

「言いたい事はわかる、皆まで言うな」

「お前らって本当に姉妹か?」

「人語を理解できないのかお前は、まぁいい、姉妹だよ、血の繋がった双子、妹は父の遺伝子を受け継いだらしいな蒼穹の瞳と黒髪が父にそっくりだ」

苦楽が自分の白髪はくはつを撫でて苦笑を浮かべた。

「姉妹で凄い差が出るんだな?」

「差?」

「欲求不満で人を襲ったりしないんだなって意味だよ」

「あぁ、その事か……言いことを教えてあげようか忘却」

「ぁん?」



「伯楽は生粋の同性愛主義者だ」


「お前の家の血筋はそんなのばっかりかぁっ!!」

廃ビルに絶叫が響く。



はい、テスト期間から開放ー、と言う事でまぁ載せます、水曜日でも無いけど載せます、おそらくいないと思いますがファンの方々お待たせしました。


後ペンネーム変えました、イェイ♪(タヒ

心機一転がんばろうかと思います。


では本編の事を触れておきましょう

伯楽さん、百合要因ですねwww

さて、彼女の濡れ場シーンはあるのかッ!?


……いや、これってそんな小説だったけ?…作者自体も断言できないんですが…w


後ひとつ心配なのが、10部まで書いているのに2万文字すら超えていない事。

前半が二日に一回更新だったので少なかったのかもしれません

これからは大体一週間更新位になるので内容的には厚い(熱い)かもしれません


それでは、契約のラヴェリタを宜しくお願いします



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