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部の勧誘

またしても新キャラです


8話です

「えっとー、部の活動?」

「はいっ♪」


 彼女は笑みを浮かべながらこちらを見てくる。何か良く分からんが部活の勧誘だった。

 部活かぁ、そう言えばいままで入ろうと考えたことなかったな。彼女は一体何部に入っているのだろうか。というかそもそも、


「ど、どちら様?」

「あ、これは失礼しました。私は2-4の蜷川(にながわ)みなみと言います」

「蜷川さん……」

「はい、そうですっ」

「部活というのは何部?」

「科学部です」


 科学部! これはまたマニアックな。科学部にもこんな可愛らしい女子がいるんだな~。

 僕はその意外性を感じながら彼女をまじまじと眺める。


「私、昔から植物が好きで、将来は生物学系の大学に行こうと思っているんです」

「ほぉ……」


 なるほど、なかなかしっかりした目標を持っている女子だ。ところで、


「そ、それで僕のことに興味あるんだって?」

「はいっ」

「そのー、どこら辺が?」

「うーん、そうですねーっ」


 そんなこと始めて言われたから、どう気になったのかどきどきするな。彼女は上を向きながら考える素振りをする。


「やっぱり頼りがいがあるところですねーっ」

「そ、そうかな~」

「はいっ! そうですっ!」


 彼女は気になるモノを見るようなキラキラした純粋な目でこっちを見てくる。いや~、そんな顔で言われると初めてで照れるなーっ!


「まるで雑草のような感じです!」

「へ?」

「見た目はそんなにしっかりして無さそうなのに、大切なことはちゃんとする。出来そうでなかなか出来ないことです!」

「褒めてる?」

「はい! もちろん!」


 そ、そうなのかな~と思いながらも、嘘偽りの無さそうな彼女の顔を見ると、僕はつい微笑んでしまう。


「それで科学部に入って一緒に活動しませんか!?」


 彼女は僕にぐいぐいと近寄ってくる。顔が近い……。顔のどこかと触れそうだ。


「けどなんで僕に部活の勧誘を?」

「それはー……」


 すると彼女は戸惑った顔になる、何でだろうか。


「……貴方の様子を色々観たくなりましてっ」

「はぁ……」


 観察対象か何かなのか?


「それで、どうしますか?」

「えっと……僕は」


 放課後、生徒会室にて雑談がてらさっきの話をした。


「え!? 部活に勧誘されたんですって!?」

「あぁ、そうなんだよーっ」


 青山は茶を持ってきた湯呑みを震わしながら、珍しく驚いた。


「お、おい。危ないぞっ!」

「あ、すみません……。で、どこの部活なんですか!?」

「お前にしてはやけにぐいぐい来るな、科学部だよ」

「科学部……な、何でまた?」

「いやー、それが……」


 生徒会室のメンバーにかくかくしかじかと説明した。


「何!? あのカツに興味のある女子が!?」

「へー、先輩にそんな方が……隅に置けませんね~っ」

「……」


 加西と紺野はニヤニヤしているが、青山はなんか不満そうだ。


「で、会長。もちろん断ったんですよね?」

「え?」

「え!? まさか入部を!!?」

「まさか断ったよ!」


 まだ宮本雫に復讐が終わってもないのに、吞気に他の部活なぞ入れるか。

 なぜか青山は安堵した様子で、


「そうですか、さすがは会長です。女子に現を抜かさず、真摯に生徒会に取り組む姿勢、私は尊敬します」

「ははは……」


 何だろう。あまり嬉しくない。そして僕はいつものように生徒会室で作業をしていると、ノックする音がした。


「はい、どうぞー」

「よっ」

「岩崎先生」


 彼は生徒会執行部の顧問である。それ以上でもそれ以下でもない。


「で、どうしましたか?」

「あぁー、部活の予算についての資料を見させてくれ」

「あ、構いませんよ。そこにあります」


 そして僕はその場所に誘導し、先生はその書類を読む。しばらく読んでいると、むむむという声が聞こえてきた。


「どうかしました、先生」

「うーん、実はな。人数が不足していて廃部になりそうな部活があるんだ」

「そうなんですか」

「そうなんだよ。けど廃部にしないと来年も予算がそこに回るだろ? だから廃部にするか検討してて」

「あ~、なるほど? ところで青山、部活の最低人数って何人だっけ?」

「5人です」

「5人か~。先生、一体何部が廃部しそうなんです?」

「ヒンデュー語部と科学部だよ」


 ヒンデュー語部というのはよく分からんが。もう一方は、か、科学部か……。


「科学部は一体何人足りないんです?」

「昨日辞めた生徒がいるから一人だ」

「……」


 一人かぁ……。一人ぐらいなら僕が入れば大丈……。


「駄目ですよ会長」


 青山は珍しくこっちを睨みながら言う。


「もし単に廃部させないために科学部へ入ろうとするのであれば、公平性に欠けます」

「え?」

「ヒンデュー語部も廃部の危機にあるのに、そっちにどうして入らないのかということになりますから」

「……」


 まぁ、そう言われればそうか? まぁ、生徒会長としての責務を果たさないといけないし、宮本雫のことも……。

 しかしあの純粋な目をした蜷川さんの顔を思い出す。科学部が廃部になってしまっては彼女の居場所が減ってしまう。それは可哀想だ。僕がモヤモヤと考えていると、青山が諦念のような口調で言う。


「はぁ……、まぁ数日考えてみて下さいよ……」


 そして僕は生徒会をしながら一応科学部について考えてみた。

ヒンデュー語部は一体どうなるのか。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 僕の知っている科学部は実質、パソコンでプログラミングを学ぶだけの部活でしたから...... あと、科学部でもメチャクチャ可愛い子は実在します!
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