宮部勝久、生徒会長になる
新連載です。
初めての復讐系ですが、暖かく見守って下さい。
僕は宮部勝久高校二年生、好きになったクラスの女子の宮本雫に昼休みの時間に今まさに告白する。
「好きです、付き合って下さい!」
「……」
彼女は女子サッカー部のエースで、とても可愛くてクラスでも明るく人気者だった。
僕が彼女とあまりつり合ってないのは分かっているが、それでも勇気を振り絞り告白した。
「ど、どうかな?」
「……」
彼女は髪をくるくるとイジって何も喋らない。僕は彼女の顔を見ていると突然、
「プッ、あははははっ」
と彼女は笑い始めた。
「ウケるーーっ。あんたがあたしに告白するなんて傑作ねっ!」
「え?」
「あんたみたいな陰キャに告白されるなんて私も墜ちたものだわっ」
「……は?」
「全くー、あんたみたいなのと付き合う訳ないじゃないっ。じゃあね~~」
彼女はかん高い声で笑いながらこの場から去って行った。僕はあまりの彼女の対応のひどさに立ち尽くしたままだった。
しかしそのひどさはここだけで済まなかった。
翌日、しょぼくれながら僕は学校に登校してクラスに向かったら、ほとんどの生徒がニヤニヤしていた。
僕は不思議になりながら席に着くと、宮本と仲の良い中西と笠木がこっちに来る。
「雫に告白するとは身の程知らずも大概だな」
「え? どうして……それを?」
彼はスマホを取りだし、画面をタッチする。
『……好きです、付き合って下さい!』
え?
少し声がこもってて聞きとりにくかったが、昨日僕が言った内容と同じだった。
「こ、これって……」
「宮部の告白した声がグループチャットに流れているんだよ」
「え!?」
いわゆるボイメだった。
「ということは……」
「クラスのほとんどは知っているぜ」
「!?」
それから僕は周りから笑い者にされた。別に悪いことなんかしていないのに、後ろ指を指される気分で嫌だった。
「大丈夫か? カツ?」
こいつは中学からの親友で、加西健司だ。
「加西……」
「ったく、それにしてもヒドい女だな宮本さんは」
「あぁ……」
「まさかそんな女だとは思わなかったよ」
「全く……」
クソッ、絶対許さないぞ……宮本雫!
「もし何か彼女を懲らしめる方法でも思いついたら、俺が力になるぞ!」
「う、うん……」
懲らしめる……ねぇ。……そうだ!
「加西、少し耳貸せ」
「ん? 何だ? ……え!? お前マジか!?」
「あぁっ」
それからというものの僕はとある目標の為に自分磨きを始めた。外見を整え、喋り方を気をつけて、日々の生徒達の観察を行い、元々得意だった勉強をさらに頑張った。
そして、
「……えー、続きまして宮部君の発表です」
「……はい、皆さん初めまして、生徒会長立候補の宮部勝久です……」
そう僕は生徒会長に立候補したのだ。皆が肯定しやすいような公約を掲げた。
「校則や法に反しない程度の学校での自由は確約します。お洒落ok、髪を染めるのもok! 日本は自由や民主主義を謳っているのですから、そこまで制限するのはおかしい。学校は教員の私物ではない。それに生徒会長は生徒が投票で決める。これは民主主義であり生徒が主人公である証拠ではないですか!? 皆さん、この学校の自由と民主主義を守るために、清き一票を僕に下さい!」
そして投票をして、結果……、
「ふふふ、あっはははっ。これは当然の結果だなっ!」
僕は他の立候補者に圧倒的な差を付けて当選した。
「そして次は……」
生徒会副会長、書記、会計を決めなければならない。
「役割に適して、僕の陣営に相応しい人間を置かねば……」
とは言いながら、あらかたその人材は決めている。
まずは生徒会副会長 2-4青山翠。
「どうして敵だった私が副会長なの?」
彼女は公平と平等をモットーに公約を掲げていた生徒会長立候補だ。しかし公約は堅苦しく、今時恋愛禁止とかあるか普通?
「良きライバルは時にその有能さゆえに、味方として引き入れられるものだ。僕は君の公正さ具合に惚れ惚れした。どうか生徒会副会長になってくれ」
「……そんなに私の公正さが良かった?」
「! あぁ。そこまできっちり物事を対等に判断出来るのは君しかいない! もし僕が暴走したとしても、正しい方向に促してくれると思った。是非、僕の副会長になってほしい」
「……仕方ないわね。副会長になってあげるわ」
そして次は生徒会書記 1-8紺野あかりだ。
「……どうして私なんですか?」
「勉学の頑張りで目をつけていたのだ。うちは成績上位は張り出されるからな」
「……」
「そんだけ1年から勉強を頑張っているんだ。さぞ難関大学を目指しているんだろ?」
「……」
「生徒会に入れば組織の仕組みも分かるし、色んな学校の生徒とも人脈が広がるぞ。序でに内申評価にも繋がる」
「……分かりました」
そして生徒会会計は、
「本当に俺でいいのか!?」
「あぁ、勿論!」
「俺そんなに金銭管理得意じゃないぞ?」
「大丈夫だ、責任は僕が持つ。お前は名貸しと雑務だけで良い!」
「……やる気だなっ」
「あぁ、勿論だ!」
こうして決まったのは2-7加西健司。
(良し、これで生徒会の陣営は揃った。見ていろよー、宮本雫ー。この恨みはらさでおくべきかーーーっ!)
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