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指名依頼

 冒険者登録した日にBランクに上がってしまった俺は休みの日にはギルドに行って依頼を受けている。

 「今日はいいのがないな・・・。帰るか」

 ギルドを出ようとすると、シャルに肩を掴まれる。

 「デュラント様、指名依頼が入っています」

 「え?指名依頼ですか?」

 「会議室へお越し下さい」

 「はい」


 会議室に入ると依頼書を読み上げる。

 「依頼内容、娘との婚約、報酬は次期国王の座」

 ブーッ

 お茶を吹き出す。

 「な、なにを言ってるんですか?陛下からですか?お断り致します」

 「はい。では断った時の代案と言う事です。依頼内容、ランクS赤闘馬獣(レッドバトルホース)の討伐、群となり王都北の草原地帯に生息している模様との事です。期限は10日、報酬は5億イエンです」

 「え?ランクSですよね?」

 「はい。陛下の指名依頼ですからお断り出来ません」

 「あれ?国とは独立した組織ではありませんでした?」

 「独立しているとは言えその国の王ですよ、逆らえる訳無いじゃないですか」

 「ですよね。しかも最初の依頼はなんですか?」

 「十中八九断るから気にしなくていいよーって仰られていました」

 「婚約を断る代わりにSランク討伐とは・・・俺まだ10歳だよ?」

 「ええ、10歳ならお酒も飲めますし女も抱ける立派な青年です」

 この世界のこう言ういい加減な所が嫌いだ!!


 「わかりました。依頼受けます」

 「どちらの依頼を受けますか?」

 「勿論、赤闘馬獣です」

 「わかりました。因みに上の書庫にいる司書に赤闘馬獣の事を聞けば本を探してくれますよ」

 「上に書庫があるんですか?」

 「はい。はっきり言って誰も使いませんが、一日の利用料は掛かりますが読み放題なんです」

 「ありがとうございます」

 そんな場所があるなんて知らなかった。

 直ぐに2階に上がる。

 2階は1階と同じスペースに本棚が並び入り口には受付だろうかメガネを掛けた初老の男性が座って本をよんでいる。

 「こんにちは」

 「はいこんにちは。久しぶりのお客様ですね」

 「ここの本は大まかにどんなジャンルがありますか?」

 「そうですね。魔獣、魔物、動植物などの図鑑、歴史書、魔導書、絵本、物語、小説、薄い本、古代文明本などです」

 薄い本・・・。

 「図鑑と古代文明本が置いてある場所を教えて下さい」

 「はい。図鑑は手前2段、古代文明本は一番奥の5段です。その前に、利用料が一日200イエンです」

 「安っ」

 「このスペースはギルド規定にあるのですが・・・何せ冒険者の識字率はとても低くてね。無料でもこないのでどうせならと200イエンになったそうですよ」

 何がどうせならなのかイマイチわからないが200イエンをギルドカードで支払うと図鑑から読み始める。

 

 赤闘馬獣、出現場所草原、普段はとても大人しい魔獣だが警戒心が強く敵は徹底的に排除する。

 群れである事が多く戦闘は集団で行う。

 主な攻撃は蹴りで超長距離をかなりの速度で駆け抜けられる足での蹴りは即死する

 テイム可、馬車や騎乗馬用に貴族、豪商がいくらでも値を付ける。

 死体からは上質な皮、生でも食せる馬肉が手に入るが生きたまま連れ帰った方がより高値となる。

 その為、テイムするか調教するのをお勧めする。


 へぇー厄介な相手だな。

 でも馬車に騎乗として欲しい。

 テイムのスキルは持っているが未だに使った事がない。

 いや、使い方を知らないと言った方が正しい。


 魔導書。

 これは読むと魔法やスキルを覚える様な代物ではない。

 基本的に高位の魔法使いが書き記した魔法とスキルについての本のことである。


 「司書さん、テイムの事が書かれた魔導書はありませんか?」

 「テイムですか?少しお待ち下さい」

 そう言って司書は3冊の魔導書をもってくる。

 「この3冊にテイムについて載っていますよ」

 「ありがとうございます」


 読み進めると・・・

 1冊目にはテイムは他の魔法と同じイメージが大切だと。

 2冊目はテイムは優しさが大切だと。

 3冊目に至っては気持ちが大切だと言う。

 

 何が正解かわからない。


 その後、古代文明本を読み漁るもこれといった本は見つからなかった。


 後日の早朝、デュラントは草原にいた。

 赤闘馬獣は10頭以上いて雑草を食べているようだ。

 

 こちらが敵意を出さなければ大人しい魔獣である。

 ゆっくりと近づく。

 ゆっくりとゆっくりと。


 そして1匹づつテイムを始めた。

 イメージしながら、優しさと気持ちを大切に。


 「せ、成功したのか?」

 赤闘馬獣達は草を食べるのを止め、此方を見ていた。

 「こっちへおいで」

 デュラントがそう言うと近づいてくる。

 巨大な馬が10頭、近付いてくるのは相関だ。


 ロープで10頭の赤闘馬獣を結び、王都を目指す。

 当然門番に止められた。

 「こ、これは赤闘馬獣ですかい?」

 「そうだ。テイムしてある。依頼主は陛下、これが依頼書だ」

 「これはワルキューレ家の御子息でしたか。いえ、今はご当主でしたね。依頼書確認致しました。たた、テイムされているか確認させてください」

 「わかった」


 簡単な命令をする。

 進め、止まれ、右向け、左向け。

 「はい、確認しました。問題ありません」


 冒険者ギルド前に並ぶ10頭の赤闘馬獣。

 ギルド内は騒然としている。

 「依頼完了しました」

 「は、はい。あの数をテイムしたのですか?」

 「はい」

 「わかりました。依頼完了です」

 

 王城へと入ると門番から聞いていた様で待っていた。

 「おおーこれが赤闘馬獣か」

 「はい」

 「では、1頭1千万いや、2千万だそう。半分売ってくれ」

 「勿論です」

 「礼を言う」

 「そんな、頭を上げて下さい」

 「構わぬ。では金はすぐに用意させる。少し待ってくれ」

 「はい」

 使いきれない金がまた増えた。


 次の日、今日は久しぶりに領へと戻る。

 今まで本当に世話になった馬車を引く馬を実家にある牧場へと送っている。

 赤闘馬獣達もロープで繋ぎ領地へと向かうっていた。


 ゆっくりと帰ったので2日半掛かった。

 学園は連休だ。

 初代からの国王、王妃の生誕の日は休みとなる。

 だからちょくちょく休みがあり、休みの日に被れば振り替えとなる。

 因みに今回は王2人と王妃ま1人の生誕祭日だ。

 

 牧場へ着くと馬車から外して誘導する。

 この子達の為に広大な放牧場を作ってもらったのだ。

 「お前たち、また遊びに来るよ」

 ヒヒーン

 

 赤闘馬獣4頭引きの馬車はとてつもなく早かった。

 王都まで半日、休みなく走る。

 素晴らしい。


 学園ではそろそろ男は騎乗の勉強、訓練に入る。

 貴族は戦争で馬に乗って移動したり戦闘する為である。

 槍や長剣で歩兵や騎乗した敵と相対する事となる。

 そしてリーダー格の赤闘馬獣を俺の騎乗用に学園の牧場へ預けてあった。

 こいつは俺の心を読める様で、声に出さなくても動いて欲しい場所に動く。

 テイムしてから寮にいる時は牧場へ足を運んで触れ合っている。

 

 その頃、ルーメリア共和国は隣国を落とし六国同盟の一つ、タドール帝国に宣戦布告を行った。

 そして六国同盟に緊張が走りルーメリア共和国との泥沼の戦争が始まろうとしていた。

ご覧頂きありがとうございました。

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