転生からスキル取得迄
「ここは?病院・・・?」
「違いますよ」
「うわっ!」
「驚かせてしまいましたか?」
人の様で人ではない何かが戯けて笑う。
「あなたは?」
「私は管理人です、あなた方は神と呼ぶ」
「神様?俺は死んだのですか?」
「そうみたいですね。輪廻を外れて宇宙に漂っていたので私が管理する世界に連れてきてしまいました」
「え?」
「貴方には私の管理する世界で記憶をそのままに生まれ変わってもらいます」
「え?・・・私は宇宙人になるのでしょうか?」
「宇宙人・・・。大丈夫。この世界は貴方と同じ種族が暮らしています」
「そうですか」
「勿論、この世界で暮らしていくのに必要なスキルや魔法、身体強化等は用意させて頂きます。後はスキルの習得をしやすくしましょう」
「ま、魔法ですか?」
「はい!その他にもこちらからスキルや魔法を選んで下さい。一応制限は設けてあります。あとこちらに無いものは相談に乗りますよ」
「わかりました」
どれくらいの時間が経ったのだろう?
よく考えて選んだ。
魔法は火、水、光の3属性、スキルは鑑定、錬金術、テイムだ。
これと神様が土属性、空間魔法、回復魔法、言語理解、身体強化、身体能力、記憶能力を付けてくれた。
神様はあと一つくらいならと言い出したので、また時間を掛けて悩んだ。
「因みにですか、錬金術は素材が無いとやはり作れませんよね?」
「はい。当然無からは何も作れません」
「では、好きな物を自分の目の前に出せるスキルと言うのは出来ませんか?」
「好きな物をですか?それは全宇宙から選べるという事ですか?」
この神様は地球にどれほど技術があるのか知らないのな。
「はい、全宇宙からお取り寄せして欲しいです」
「この星からなら簡単ですが全宇宙からとなると少し時間を頂きたい」
「わかりました」
「ではそろそろですね。ではいってらっしゃい」
俺の体が光に包まれて消えた。
と言う記憶を思い出したのが3歳だった。
俺はデュラント・フォン・ワルキューレ、アストラベル王国の子爵の長男だ。
父はガゼフ、母はミリスティア、そして妹のアリシアの4人家族だ。
記憶を取り戻した日から毎日、剣や魔法、勉強と忙しい毎日を過ごしている。
魔法は直ぐに発動した。
火、水、土、光を扱う俺に父は「遂に我がワルキューレ家に天才現る!」と大騒ぎだ。
勉強に付いても小学校低学年生の問題ばかりで間違える気がしない。
掛け算、割り算と言う計算はない様で極端な事を言えば20個のビスケットを2人で分けるにも同じ数だけ取っていったりする。
普段の言葉や文字は勿論、古代文字や古代魔法言語も周りには理解出来ていない言葉も俺には日本語で聞こえたり読めたりする。
娯楽のないこの世界では身体を動かしたり本を読む事しか出来ない。
家の本は読み漁り全てを記憶した。
暫くすると天才から神童になり周りの領主や領民にまでも浸透している。
5歳になると弓と剣のスキルを習得し父と一緒に狩りに出掛ける様になる。
ワルキューレ領は土地こそ広大だが、ド田舎だ。
冒険者ギルドもなく畑を荒らす獣害や魔物を狩るのは領主の仕事だ。
対処出来ない魔物等は隣の伯爵領の冒険者ギルドへ依頼を出す。
「デュラント、右から回り込め。私は左から追い込む」
「わかりました」
父が猪を追い込んでくる。
俺は引きつけて弓を放つ。
矢は猪の眉間の奥深くに刺さり即死、直ぐに血抜きをする為に木にロープで吊るして土魔法で穴を掘った。
「デュラント、素晴らしい弓捌きだ。魔法も大事だが、剣や弓、槍等も一流となれ」
「わかりました」
血が抜けると、吊るしながら内臓を取り出して食べる所と食べない所に分け、俺のストレージにしまう。
「父上、終わりました」
土を魔法で元に戻して声を掛ける。
「しー、静かに。熊だ、血の匂いに誘われてきたな。ゆっくり馬を引いて静かに後退するぞ」
「わかりました」
大型の熊は弓では太刀打ちできない。
レベルの高い魔法使いと盾使い、槍使いがようやく勝てると言う所だ。
あんな熊と対峙するなんて大魔法かボルトアクションライフルでも欲しい所だ。
まぁこの子供の身体では両方とも扱えたいが・・・。
そして未だにお取り寄せは習得できないでいた。
他は全て習得し神様に貰ったスキル以外も習得していた。
錬金術はポーション等の薬を作ったり、経験を積めば剣や防具迄作る。
初級、中級は液体を、上級、最上級になると金属、鉱石を操る事ができる。
ポーションは薬草を揃えられても初級に必要な固定材や安定剤といった都会の大店でしか消えない様な材料もある。
早くお取り寄せスキルが使えないと困る。
スキルと言えば、最近覚えた空間魔法は特殊な魔法で初級はなんの能力もない容量有限のストレージ、中級は時間停止や容量無限のストレージ、上級はテレポート、最上級は調べてもまだわからなかった。
もしかすると空間魔法だけは上級までなのか、まだ誰も到達出来ていないのかもしれない。
有限のストレージでも今はありがたい。
スキルではないが神の加護を持つ者は少なからずいるらしい。
恩恵はさまざまで、風邪を引きにくいから不老、ちょっとやちょっとでは死なないとか当たり外れがあるらしい。
神様から貰ったものに当たり外れとか言っちゃダメだろ。
俺も加護を貰っていた。
恩恵は必要経験値が半分と、HP、MPの回復率50倍だ。
上級回復魔法を当てられた続けているようなものだな。
HP、MPは人より高いが魔法使い続けても回復が消費を超えていくので減らない。
HPは試しにナイフで指を切ったがHPは最大値のまま傷は癒えずに痛いままだ、流石にそこまで便利ではなかった。
これは回復魔法のスキルを上げていかないと。
6歳のある日のこと。
朝、目覚めと共に激しい頭痛に襲われた。
頭をドカンドカンとバッドで殴られている様な感覚で目眩や吐き気を伴った。
父と母は慌てて回復魔法を使える神父の元へ俺を連れて行く。
創造神像の前に寝かせると神父は祈りを捧げて回復魔法を使用する。
俺は意識を失った。
頭痛が消え、目を開けるとそこは神様と会った場所だった。
直ぐに神様が声を掛ける。
「申し訳ない。かなり膨大な術式だったから君の脳が悲鳴を上げてしまった。教会へ運び込まれたからこちらに呼んだのだ。ここなら頭痛は忘れられるだろう」
「術式ですか?」
「そう、全宇宙からお取り寄せスキルの術式だ。スキルや魔法を習得すると言う事は管理人である私が一人一人の脳に術式を組み込むと言う作業が必要となる。勿論、その為の鍛錬や勉強をした者でないといくら術式があっても使う事は出来ない」
「そうだったんですか?それは大変ですね」
「基本的に半自動だ。習得条件を満たした者に私の中の無意識が勝手に術式を組み込む。勿論、君の様な特別の存在には私自らが術式を組み込んでいるよ」
「ありがとうございます」
「まぁ今回は全宇宙という事で膨大な術式になってしまった。すまない。脳が焼き切れてパーにならない事を祈っている。さぁ時間のようだ」
「えっ?不穏な言葉が聞こえたような・・・」
目覚めると薄暗い自室で目を覚ました。
まだ少し頭が痛い。
「34+89=123・・・うん多分大丈夫だ」
ステータスを確認すると全宇宙お取り寄せを習得していた。
先ずは試しにおにぎりをお取り寄せしよう。
この身体になって6年、ずっと我慢していた日本食が食べたい。
「おにぎり、おにぎり、おにぎり、おにぎり」
ポンッとおにぎりが目の前に現れた。
「美味い。塩がいい塩梅で米の甘味を引き出している」
泣きながらおにぎりを食べてそのまま横になって寝てしまった。
次の日、頭痛も治まり錬金術を始める。
薬草は揃えてある。
固定剤、安定剤をお取り寄せする。
何度かのお取り寄せの後、安定剤10コと願えば10コ出てくる事が判った。
先ずは魔法で作った水に固定剤、安定剤を「溶解」させ薬草から「抽出」、「浄化」をして固定剤、安定剤の入った水と魔力を込めながら「攪拌」し、ポーション専用の容器に入れて栓をすれば低級ポーションの完成だ。
中級になれば固定と安定も錬金術で賄える。
今はいっぱい練習して中級、上級に早く上がりたい。
そしてお取り寄せスキルは凄い。
地球の全てを取り寄せられる。
食べ物は勿論、自転車、貴金属や鉱石まで名前を知らなくても、形や用途を思い出すだけで取り寄せられた。
ただ、こんなオーバーテクノロジー、見つかったら何を言われるか・・・自転車や貴金属、鉱石は直ぐにストレージへと食べ物は胃の中へと仕舞い込んだ。
神もデュラントも知らなかった、お取り寄せが及ぼす影響を、大事件に発展する事も・・・。
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