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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
四章「咲きたい花」

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十話『心配事』

「――――それで、桃李っち、アタシたちは何をすればいいの?」


 森ノさんを助けるための話し合い。

 早速、Tsuguさんがこれからすることを桃李に確かめる。


「私はこれから森ノに再び話をしてくるつもりだ」

「!」

「…………だからTsuguには私たちがいない間、ここの警備にも戦力を回してほしい」

「…………ん、わかった!」


 Tsuguさんに任されたのは、TAFという隊による拠点の警備。


「それとこれは戌佐さんもだが、知恵を貸してほしいんだ」

「何の?」

「儂が知ってることならいいが…………」

「…………実は森ノが行く場所なら見当はつく」

「本当!?」

「…………!」


 既に、森ノさんの目的地がどこか桃李にはわかっているらしい。

 Tsuguさんと戌佐さんが驚いている。


――――というか、二人と話してるから黙って聞いてたけどそれ俺も初耳だよ?

 

 隣にいる南陽も体が震えている。

 驚いているんだろう。

 

「…………」


 そう思ったけど、俺はあることを思い出した。

 南陽が初対面の人に会ったことに。

 彼が初めて会った人にすることは一つ。

 彼が『ネーム魔』と呼ばれる所以。


――――あだ名つけるの我慢してるなこれ。


 以前、疲れている森ノさんにネーミングの話をしてしまったことを反省しているのか、あだ名をつけようとはしていない。

 気になりはするが、問題はなさそうだ。

 桃李の話を聞こう。

 桃李も一瞬南陽の様子を見て、本題に戻る。


「…………おそらくは『略奪者(プランダラー)』の本拠地と思われる総理官邸だろう。森ノの状態からして今すぐにでも事件を解決させたいはずだ」

「なるほど」

「そうか、それでは儂らは何を?」


 戌佐さんの疑問ももっともだ。

 森ノさんが総理官邸に向かうのならば、俺たちもそこに向かえばいい。

 なら、桃李の言うように、彼に知恵を貸す必要はないはずだ。


「…………その、森ノと会ってしっかりと連れ戻せる自信がなくて…………アドバイスを」

「え」


 桃李がその疑問の答え。

 それを聞いたTsuguさんと戌佐さんは、同時に困惑したような声を出す。


「あははははっ!」


 そして、Tsuguさんは笑い出し、戌佐さんは桃李に我が子を見守るような笑みを見せる。


「そんなことね! 大丈夫だよ桃李っち、アンタが言いたいことを言えばいいよ。というか、君がダントツで森ノッちと付き合い長いじゃん!」

「そうだが…………」

「そうだ。儂らが言う必要もあるまい。それは自信を持っていい」

「…………あ、ありがとう…………話したいことは以上だ」

「うん、後は任せてよ!」

「儂も少しばかりは手伝おう」


 桃李の悩みも杞憂だったのかもしれない。

 桃李が一番森ノさんのことを知っているというのだから。

 心配していてもしょうがない。

 今は森ノさんを連れ戻せることを信じて、先に進もう。



 ※ ※ ※



――――総理官邸にて。

 ある男が彼の前に立つ人々に何かをしながら言葉を投げつける。


「――――能力の使えなくなった部隊なぞ、要らん。良いように使える駒にしてしまえばいい。さあ、行くんだ。この私のために――――」


 人々は何かに取りつかれたように、歩き始める。

 それはまるで、傀儡。

 次第に数が増えていく。

 一、十、百…………千。


 男に言われるがまま、歩み始める。

 街の端にある山へと――――。


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