十九話『戦う意味』
「南陽ッ!!」
俺は扉を開け、南陽がいると思われる部屋へと飛び込む。
「……………………」
「…………あ」
部屋に入る前に感じた悪い予感。
それは的中していた。
目に映る南陽の姿。
でも、彼は俺の呼びかけには一切答えない。
「…………みな、ひ?」
南陽は壁に鎖で繋がれていた。
全身傷だらけで、意識もない様子。
急いで南陽の下へ駆けつける。
「おいッ! 何があったんだ!?」
肩を掴んで少し揺らすと、気がついたようだった。
「……………………ご、び。来るな…………って」
「はあ。俺もお前に研究所見学しに行った時同じこと言ったよな」
「…………それ、は」
「だったら、俺も無理やり手伝わせてもらうぞ?」
「……………………!」
「じゃあ、あとは俺たちに任せろ、行こう、コルウス」
「……………………」
コルウスは俺の言葉に静かに頷く。
俺らはホワイトブロンドの髪の少女にゆっくりと近づく。
「――――やっと、会えたな。ペルフェ、だったか?」
「…………貴方には一度しか会っていないはずだけど?」
「お前にとっちゃな」
俺は何度も彼女を見て、聞いた。
炎を纏う男が撃たれた時。
憑依して調査した時。
そして、コルウスから聞いた時。
コルウスが言っていたあの子の特徴に完全に一致している少女。
コルウスとの約束は彼女を守ること。
それは、彼女をここから解放することだ。
コルウスは思い出したくもないような過去を、彼女のために俺に話してくれたんだ。
※ ※ ※
コルウスのいた高層ビル。
俺が彼女に南陽のことについて聞いた時だった。
『01が戦っているところを見たことがあるならわかるはず』
『…………教えてくれ』
『01は彼の第一の被験者』
『!』
南陽の異常な身体能力。
コルウスに放ったという必殺技。
何故、そんな能力を持っているのか不思議だったが、実験によるものだと聞いて納得した。
『彼って南陽の祖父のことか?』
『そう。ある日01はいなくなった』
『…………』
『そして、01の代わりとなったのが…………』
コルウスは徐に指で自身を指す。
『! けど、そのもう一人のペルフェって子を助けたいんだろ? その子とはどういう関係なんだ?』
『あの子は私の代わり』
『そんな…………!』
『私が彼の期待に応えられなかったから、彼女は犠牲になった。だから、あの子を解放したい』
彼女が話をしているときは心苦しそうで、重荷に押しつぶされてしまうかのように弱っていた。
だから俺は、この子を助けてあげたいと、心の底からそう思ったんだ。
※ ※ ※
「――――ペルフェ。お前はここでいいのか?」
ペルフェの意思を確認する。
コルウスから聞く限り、コルウスとペルフェの仲は良さそうだ。
命がけで救いに来るほどなのだから。
ここでコルウスと戦うのにも、それなりの理由があるのかもしれない。
「どういうこと?」
「ここを離れるつもりはないのか?」
「……………………もう、何もわからないの」
「…………」
「ある時点より前の記憶が途絶えてしまった。まるで最初からここにいたみたいに」
「!」
「でも、私はここで指示に従えばいい」
――――記憶がないから、従ってればいいと思ったのか。
でも、それは洗脳に他ならない。
知らないことを良いことに、思いどおりに操られているだけだ。
「――――おい、聞いてるか!? 南陽の祖父?」
『聞こえておる。黒荻でよいぞ』
「ああ、黒荻。俺たちがペルフェに勝ったら、彼女を外に連れ出してもいいか?」
だから、俺は問う。
彼女に自由を知ってもらうために。
『ああ、良いとも。勝てたらな?』
「言ったな? ――――じゃあ、始めようか、ペルフェ」
だから、俺たちは戦う。
コルウスとの約束を果たすために。




