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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
三章「名状しがたい感情」

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十九話『戦う意味』

「南陽ッ!!」


 俺は扉を開け、南陽がいると思われる部屋へと飛び込む。


「……………………」

「…………あ」


 部屋に入る前に感じた悪い予感。

 それは的中していた。

 

 目に映る南陽の姿。

 でも、彼は俺の呼びかけには一切答えない。


「…………みな、ひ?」


 南陽は壁に鎖で繋がれていた。

 全身傷だらけで、意識もない様子。

 急いで南陽の下へ駆けつける。


「おいッ! 何があったんだ!?」

 

 肩を掴んで少し揺らすと、気がついたようだった。


「……………………ご、び。来るな…………って」

「はあ。俺もお前に研究所見学しに行った時同じこと言ったよな」

「…………それ、は」

「だったら、()()()()()()()()()()()()()()ぞ?」

「……………………!」

「じゃあ、あとは()()()に任せろ、行こう、コルウス」

「……………………」


 コルウスは俺の言葉に静かに頷く。

 俺らはホワイトブロンドの髪の少女にゆっくりと近づく。


「――――やっと、会えたな。ペルフェ、だったか?」

「…………貴方には一度しか会っていないはずだけど?」

「お前にとっちゃな」


 俺は何度も彼女を見て、聞いた。

 炎を纏う男が撃たれた時。

 憑依して調査した時。

 そして、()()()()()()()()()()


 コルウスが言っていた()()()の特徴に完全に一致している少女。

 コルウスとの約束は彼女を()()こと。

 それは、()()()()()()()()()()()ことだ。


 コルウスは思い出したくもないような過去を、彼女のために俺に話してくれたんだ。




 ※ ※ ※



 コルウスのいた高層ビル。

 俺が彼女に南陽のことについて聞いた時だった。


『01が戦っているところを見たことがあるならわかるはず』

『…………教えてくれ』

『01は()()()()()()()()

『!』

 

 南陽の異常な身体能力。

 コルウスに放ったという必殺技。

 何故、そんな能力を持っているのか不思議だったが、実験によるものだと聞いて納得した。

 

『彼って南陽の祖父のことか?』

『そう。ある日01はいなくなった』

『…………』

『そして、01の代わりとなったのが…………』


 コルウスは徐に指で自身を指す。


『! けど、そのもう一人のペルフェって子を助けたいんだろ? その子とはどういう関係なんだ?』

『あの子は()()()()()

『そんな…………!』

『私が彼の期待に応えられなかったから、彼女は犠牲になった。だから、あの子を解放したい』


 彼女が話をしているときは心苦しそうで、重荷に押しつぶされてしまうかのように弱っていた。

 だから俺は、この子を助けてあげたいと、心の底からそう思ったんだ。



 ※ ※ ※

 

 

「――――ペルフェ。お前はここでいいのか?」

 

 ペルフェの意思を確認する。

 コルウスから聞く限り、コルウスとペルフェの仲は良さそうだ。

 命がけで救いに来るほどなのだから。

 ここでコルウスと戦うのにも、それなりの理由があるのかもしれない。


「どういうこと?」

「ここを離れるつもりはないのか?」

「……………………もう、何もわからないの」

「…………」

「ある時点より前の記憶が途絶えてしまった。まるで()()()()()()()()()みたいに」

「!」

「でも、私はここで指示に従えばいい」


――――記憶がないから、従ってればいいと思ったのか。


 でも、それは洗脳に他ならない。

 知らないことを良いことに、思いどおりに操られているだけだ。


「――――おい、聞いてるか!? 南陽の祖父?」

『聞こえておる。黒荻(コクジャク)でよいぞ』

「ああ、黒荻。俺たちがペルフェに勝ったら、彼女を外に連れ出してもいいか?」


 だから、俺は問う。

 彼女に自由を知ってもらうために。


『ああ、良いとも。勝てたらな?』

「言ったな? ――――じゃあ、始めようか、ペルフェ」


 だから、俺たちは戦う。

 コルウスとの約束を果たすために。

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