表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
三章「名状しがたい感情」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/244

十三話『戦力の当て』

「…………」

 

 俺は目を開けて、静かに体を起こす。

 元のホテルに戻ってきたようだ。


「――――?」


 南陽にはまた何も言えなかったけど、進歩がなかったわけじゃない。 

 それに、今の南陽はつぐもの居場所を探していたときの俺とそっくりだ。

 自分で言うのもなんだが、止められてもやめないだろう。


 アイツは知らないんだ。

 あの時、俺のそばに楓やつぐもがいてくれたこと。

 そして、南陽がついてくれたことがどれだけ俺の心を救ったかを。


 正直、あのとき俺の心は楽になった。

 一人でやる必要なんてないと。

 皆で助け合えばいいと。

 そう思えるようになったから。

 

 どうやら、南陽はそれを()()()()()()()らしいけど。

 なら、今度は俺が教えてやる。


「――――!」


 ()()()()()()()()()()()()


「癒川くん!」

「?」


 綿さんが少し呼吸を乱した様子で俺の名前を呼んでいるのに気づいた。


「どうしたんですか?」

「どうかしたかって、ずっと話しかけてたんですけど!」

「え? ごめんなさい?」


――――あ、確かに途中で何か聞こえてたような? 必死に考え事してたから気づかなかった…………。


「まあいいでしょう。それで何か成果はありましたか?」

「は、はい。実は――」


 俺は憑依先で、南陽を発見したことを綿さんに話した。


「――そうですか。彼と会ったんですね」

「でも、南陽はそう簡単に戻る気はないそうです」

「では、どうします?」

「もちろん、行きます。場所も突き止めた。問題は――」

「――戦力差ですよね?」

「……そうです。あの炎を扱う男のような奴が何人もいるなら、正攻法では無理です。森ノさんの能力も、些か制限があるようですし」

「?」


 そうだ。森ノさんも無敵じゃない。

 俺が『奪回者(リキャプチャラー)』の拠点に潜入したときに感じたように、彼女の能力に制限がなければ、この戦いは()()()()()んだ。

 だから、何か制限がある。 

 無意識下でしか発動できない俺の能力のような何か。

 

 例えば、装置。

 襲撃から拠点を守るときに、能力とともに使っていたあの装置。

 あれが何か鍵を握っているのかもしれない。

 それは後々聞くとして、何か方法を考えないと。

 戦力を探すのが手っ取り早い。

 だけど、当てが…………あ。


 ふと、ある者のことを思い出した。


「…………期待薄だけど」

「?」


 それは、僅かな希望。

 俺はさっき憑依先でとある名簿帳を見た。

 それが、本当だとしたら可能性はある。

 けれど、それは今にも千切れてしまいそうな糸のようで。

 もしも、間違えていたら取り返しのつかない賭け。

 でも、今はこれに賭けるしかない。


「…………行かないと」


 俺は、ベッドから立ち上がり、ある場所に向かう準備をする。


「ど、どこに行くんですか?」

「南陽を助けるための人探しです。俺に対してはわからないけど、アイツはきっと心優しいやつです。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「? よくわからないですけど、私も行きます!」

「わかりました。じゃあ行きましょうか」


 正直、()()が俺たちの頼みを聞いてくれるのかわからない。

 もしかしたら、敵意を向けてくるかもしれない。

 でも、これしか方法がない。

 俺たちが、南陽を助けられるかは彼女にかかっているんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ