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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
三章「名状しがたい感情」

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十話『能天気な彼の苦しみ』

「ゴ、ビ?」

「っ! どうしたんだ!? 名織。こいつらに何かされたのか!?」


 ショッピングの最中に見かけた名織。

 彼は普段からは想像もつかない表情をしていた。


――――名織が、こんな負の感情に塗れた顔をするなんて。


「おや、()()()()()()()()()かね?」

「っ、誰がお前のことをっ」


 呼んでいない隣の男が俺の呼びかけに答える。

 既にこの男の印象は最悪。

 それに名織にここまでつらそうな表情をさせた。


「……………………いや、違うんだ。ゴビ」

「?」


 でも、俺の言葉を静かに名織が訂正する。


()()()()()()()()()

「!?」


 隣のこの男もまた、名織なのだと。


――――この人が、名織…………いや、南陽の祖父!?


 でも、だとしたら疑問が生まれる。

 何故、南陽はこの人に敵意を向けているのか。

 ただの反抗期の目じゃない。

 まるで醜悪なものでも見るかのような目。


「…………若くないか?」


 それに、年齢もおかしい。

 南陽の祖父であれば70は越えているだろう。

 なのに、()()()()()()()だ。


「ホッホッホ。若さの秘訣があるんじゃよ」

「……………………」


 自らの祖父の言葉に南陽は不機嫌そうに黙り込む。

 南陽の祖父の言う若さの秘訣にも裏がありそうだ。


「ふむ。邪魔したな。()()()()()()。南陽よ」

「……………………さよなら」


 南陽の祖父と俺たちが探していた少女は、この場を去っていく。

 追おうともしたけれど、つぐもたちをこれ以上待たせるわけにはいかない。

 それに、南陽が心配だ。


 そうして、俺は去っていく彼らを目で追うことしかできなかった。



※ ※ ※



「大丈夫か、南陽?」

「……………………ああ、問題ないぞ」

「……………………大丈夫そうな顔には見えないけど?」

「気にしないでくれ。あったのは、ただの家族のすれ違いだ」

「……………………」


 南陽の表情は少し落ち着いたけど、まだあの表情が残っていた。

 調子が悪いのも丸見えだった。


 でも、俺は何も言えなかった。

 何も相談に乗ってあげられなかった。

 何かつらいことを背負っているとわかっていたのに。

 『気にしないで』の言葉もただの虚勢に過ぎないとわかっていたのに。

 南陽が何に苦しんでいるのかわからなくて。

 何があったのかも知らなくて。

 言うべき言葉が見当たらなかった。

 

 ただ、「またな」と別れの挨拶をする南陽に、「…………ああ、また」と言葉を返すだけで。


 つぐもと莱夏と一緒にいるのに帰り道は落ち着かなかった。

 南陽のことが心配で、頭から離れなかった。







――――数日たって、森ノさんから、ターゲットを見つけたと召集がかかった。

 アイツだって呼ばれているはずだった。

 けれど、()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()

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