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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
三章「名状しがたい感情」

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八話『3つの任務』

「う――――ふあ」

「ゴビ起きたか!」

「…………名織か」


 総理官邸への憑依を終えた後。

 目を覚ますと、目の前には名織がいた。


「収穫はあったか?」

「ああ」


 無論、桃李も共にいる。

 彼が聞くのは、総理官邸のこと。


 俺は思い出す。

 目的の少女。

 彼女が眺めていた巨大な靄。


「…………桃李、頼みたいことがある」

「どうした、示杞?」


 そして、総理官邸内の男――――ユズリハから3つのことを頼まれたこと。

 その3つの任務を達成するために俺はすべきことがある。


「――――()()()()()()()()()()()()



 ※ ※ ※



 俺は桃李に頼んで『奪回者(リキャプチャラー)』のトップである森ノさんに会わせてもらうことに成功した。

 今は『奪回者』の拠点のとある一室で森ノさんと二人きり。

 椅子に座って対面している。


「それで、何用だ?」


『まず一つ目は、森ノという人物に協力してもらうこと』


 俺は森ノさんの仲間だ。

 だけど、敵と思われる組織に属している人に協力をしようなんていう要望は通りがたいだろう。


「あの――――」



 ※ ※ ※



 それでも、俺は事情を包み隠さず話した。


「ふむ。悪いが我は協力できそうにもない」

「…………!」


 森ノさんの返答は予想通りだった。


――――まあそうだよな。森ノさんからしたら怪しいし、トップがそんな簡単に動くことなんて――――


「――――我はすぐには動くことはできない。リーダーとしての責務がある」

「そう、ですよね」

「だが、応援を寄越す。少しではあるが、人員をその任務に割こう」

「…………! ありがとうございます!」

「何。もとより我が頼んだことだ。気にするでない。細目に報告を頼む」

「はい!」



 ※ ※ ※ 



 俺は森ノさんとの話を終え、部屋を出て廊下を歩く。


 最善とはいかないが、一つ目の任務はこれでクリアだ。

 少なくとも、ユズリハと『奪回者』が対立することはない。


 問題は二つ目以降だ。


『君が追跡していた彼女を戦闘不能すること』


 赤髪の男を撃ったホワイトブロンドの髪の少女。

 どうやら彼女は、相手の戦力となる部隊のトップ。

 彼女を戦闘不能にし、士気を落とすのだとか。

 彼女については外見しか知らない。

 戦闘力も、男が撃たれたあの一瞬では理解できない。


『あの子を舐めてかからない方がいい。実際には戦っているところを見たことはないが、戦闘力が傑出しているらしい』


 だが、ユズリハが言うには、一筋縄ではいかなそうだ。


 そして、三つ目。


『僕たちの周りで起きた失踪事件について君たちも注意すること』


 官邸内部で時々、人が失踪することがあるらしい。

 これに関しては全く検討もつかない。

 注意勧告のようなものだと思うから、クリアすべき事柄があるわけではないのが救いだ。


 ひとまずは、二つ目に専念しよう。


「示杞」

「おお。桃李か。あと…………」

「俺もいるぜ!」

「名織」


 歩きながら考えている途中でばったり桃李と名織に出会った。


「急に森ノと会わせて欲しいと言ってきたが、どうしたんだ?」

「ああ、それはな―――」



 ※ ※ ※



 俺は官邸内でユズリハと話したことを二人に伝えた。


「なるほど。あと二つやることがあるのだな? 示杞」

「ああ、二つといっても一つは注意しておくだけでいい。ひとまずは()()を対処しよう」

「わかったぜ! ゴビ!!」

「……………………?」


 俺が伝えた二つ目の任務。

 それを達成しようと意気込む名織に違和感を覚えた。

 どこか、落ち着きがないような。

 いや、いつも落ち着きないけど。

 そうじゃなくて、どこか危なっかしい感じがする。


「ゴビ? どうした?」

「いや、大丈夫だ。早速明日から行動しよう!」

「あ、ああ、また明日な!」

「示杞、名織。睡眠はしっかり取るんだぞ」


 少し不安が残るけど、明日からやるべきことがある。

 それに集中しないといけない。

 つぐもを助けるためにも。

 俺の体の居場所を突き止め、示杞の生活を取り戻すためにも。

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