二十二話『隠然たる光輝』
桃李が辿り着いた扉の奥。
そこには巨大なスクリーン、情報機器が多く配置されていた。
「時間がない」
『PICM』の情報を得るのに時間をかけていられない。
今でも南陽があの得体の知れない女と戦っている。
「頼む、保っていてくれ」
※ ※ ※
桃李のいる部屋の扉の前。
南陽は目の前の女の拳に後退る。
「どうなってんだコイツ!」
南陽が何度攻撃しても倒れない。何度躱しても攻撃が止まらない。
「ぐっ」
そして、一発一発の威力が重い。
「俺の体は頑丈だってのに。この体じゃなかったら、なんて考えたくもないな」
南陽の体の耐久力があるからこそ、戦いを続けられている。
女の猛攻に、南陽は防戦一方。
「?」
だが突如、女の動きが止まった。
「ああ、まだ晴れない。この体に誰がいる?」
「!」
女の言葉は、まるで彼女の体が誰かによって制御されていることを示しているかのようだった。
(そういえばゴビは――――!)
南陽はそれができる存在を思い出す。
そして、彼が使っていた体を見つける。
(なるほど、ゴビがアイツに取り憑いてんのか)
彼が共にいる。
その事実が南陽の背中を押し、力を与えてくれる。
「ゴビ、一緒に闘おうぜ!」
※ ※ ※
扉の向こう側。
情報機器に対峙する桃李。
「あと数分。それで決着する。わざわざアレと闘う必要はない」
『早くしてくれよ。あの子達限界そうだ』
「わかってる。これが精一杯だ」
連絡を取りながら、作業に集中する。
南陽が限界を迎える前に、情報を得られるように。
※ ※ ※
「――――くっ。ゴビの憑依の時間はまだあるか!?」
ただでさえ、一発一発の破壊力、俊敏さにおいて卓越している能力をもつ、目の前の女。
それが、もし彼の憑依によって抑制されたものだとしたら。
「いや、どちらにしても、か」
闘い始めて数十分。
目の前の彼女には疲れている気配は全くなく、少し本調子ではないように見えるだけ。
一方、南陽の体力は底をつきそうだった。
「仕方ない、奥の手を――――」
「遅い」
態勢を整える暇なく、女が南陽の背後に回る。
女の拳が南陽の顔に接近する。
「――――」
「どんなに速くてもこれは躱せないだろ?」
だが、南陽は左手でその攻撃を防ぎ、掴む。
こうなっては、女がいくら速かろうと南陽の攻撃を躱すことは不可能。
南陽が渾身の右手を構える。
その腕は人のものではない。
腕は変形し、形作るは重量感のある大砲。
「――――喰らえっ!」
大砲から生じる光と莫大なエネルギー。
それらが束となって強烈な光線となる。
「『隠然たる光輝』!!!」
「ぐッ」
放たれた一撃は女を壁に打ちつけ、その壁すらも破壊する。
壁をいくつも突き破り、ようやく音が止まる。
女は最早、南陽からは見えない。
「……終わった、か」
残った南陽の右手からは煙。
体力は既に限界。
南陽は膝から崩れ落ち、その部屋で倒れ伏した。




