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零話『天の癇癪』
はじめまして。炭本 良供です。
少しずつ投稿します。気長にお待ちくださると幸いです。
あらゆる場所で、人が一人、また一人と倒れていく。
何が起きているのか、何故倒れたのか、いつ自分がそうなるのかも理解することなく。
ただ、一つわかることがあった。
彼らはこの異変が起こる前にとあるものを見た。
だから、この異常は、それによるものなのだと。
あの謎の光のせいなのだと。
けれど、それがわかったところで、状況は変わらない。
人々は皆、抗うことを諦めた。
ある人は、振るえながら願うように跪き助けを乞う。
またある人は、狂乱して暴徒と化す。
多く街は崩壊寸前。
得体のしれないたった一つの混乱が、この日本に多くの被害と恐怖をもたらした。
後に、突如としてあらゆる場所で無作為に起きたこの悲劇は、『天の癇癪』と呼ばれた。