あおの羨望
初投稿の拙い詩ですが、頑張って書いてみました。
深い海の底で、ある魚が空を見上げている
視線の先には輝く太陽があり、その光は海面の波によって、絶え間なく揺らめいている
魚はため息をついた
ああ、あの明るい場所に近づけたなら
この藍色の海の世界から、あの青色の光の空に飛び出せたなら、どれほど幸せだろう
いま自分のいる海は重い水に満ちて暗く、息苦しい
しかし魚の自分には、その夢は叶わない
どんなに願っても、この海で生きていく他無いのだ
魚は大きく、ため息をついていた
広い空の下で、ある鳥が飛んでいる
視線の先には水平線があり、日の光を反射しながら、どこまでも続いている
鳥は翼を羽ばたかせた
ああ、あの彼方までいけたなら
この空色の大気に自分の肢体を委ねる幸福感を、いつまでも感じていたい
地上で待ち受けている様々な危険が、その願いに拍車をかける
しかし、いま自分のいるこの空には食べ物も水もない
生きていくためには地上に降りなければならないのだ
なまじ空に近しいからこそ、その悲しい事実に打ちのめされる
鳥はもう一度、翼を羽ばたかせていた
遠い宇宙の中で、ある人が立ちつくしている
視線の先には地球があり、太陽に照らされ青く輝いている
人は、手を伸ばした
ああ、あの故郷に帰れたら
緑の自然をどこまでも見渡し、その空気を思う存分吸い込んで過ごせたらいいのに
いま自分のいる濃紺の宇宙はとても淋しく、無重力の状態は心の安定をどこか乱す
そう思っても、詮無いことだ
独断で地球に戻ることなど許されていないのだから
人はずっと、手を伸ばしていた
いかがでしたでしょうか?ご感想など頂けると大変ありがたいです。