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いつもの朝

「ワンッ ワンッ」


「キャンキャン」


まだ空が青白い頃、いつものように愛犬のアストレオとメリッサに起こされた。


「……もう朝か、おはようレオ、メリー」


僕が名前を呼んで挨拶をするととても激しく尻尾を振ってこちらに飛びかかってきた。


「わかったって、散歩だろ?準備するから少し待ってて。」


僕がそう言うと僕の言葉を理解しているかのように大人しくなりお座りをした。

いつも思うがうちの犬達は天才なのではないだろうか?


「よし、じゃぁ行くよ!」


「ワンッ」


「キャン」


「あんま遠くまで行くんじゃないよ!暁人」


「わかったよっ!」


僕が家を出ようとした時に珍しく姉が声をかけてきた。

本当に珍しいので何かが起きるのではないかとか心配になってしまう。



「今日はどこまで行こうかな?」


うちの犬の散歩ルートは決まったものがない。

その日の気分によってルートは決まる。


「なんだ?そっちに行きたいのか?」


なぜか二匹とも横断歩道のその先を見ている。

信号が変わったのを確認して横断歩道を曲がる。


「キキーッ!」


気がついたら青空を見上げていた。

それに、かなり着込んできたはずなのに寒くなってきた。

眠くもなってきた。


両手には二匹の感触を感じ安心した。

ーーーーそのとき目の前が真っ暗になった。

不思議とそれまでの寒気や睡魔がなくなり立ち上がることができたが、目を開けるとそこは先ほどの横断歩道ではなかった。ただ真っ暗な空間。

そこにいても仕方がないのであるかもわからない出口を探すことにした。


「ここはどこだろう?」


そう言うと愛犬達の声が聞こえた。


「ワン」


「キャン」


それを聞いただけで僕は心が温まった。



「どんっ!」


しばらく歩いていると何かにぶつかった。どうやら壁のようだ。

壁を触りながら歩いていると何か突起のようなものに触れた。恐る恐るながらもしっかり触ってみるとそれがドアノブだという事がわかった。

もしかしてという気持ちが勝り、警戒をせずに開けてしまったドアの先には草原と湖、森があった。

さっきまで真っ暗な所にいたということもあり、ドアを開けた瞬間外の明るさに目を瞑ってしまった。

再度慣らすように目を開けると既に草原の上にいた。


「あれっ?えっ?」


さっきはドアを開けはしたが出てはいないはずなのに既に草原の上にいて、出てきたのならばそのドアもない。

そんな状況にパニックになっていると人の声が聞こえた。


「主人よ、落ち着いてください。」


「そうですよ、主様。」


全く聞いたことのない声なのにどこか懐かしいような声がした。

その方向を見てみると地上から二メートルはある背丈の常識では考えられないほどの大きさの犬とこれまた常識では考えれない犬耳、犬のシッポを生やした少女がいた。

どちらも初めて見るはずなのになぜか見たときあるような気がする。

その時、二匹の愛犬がいない事に気がついた。

僕は、目の前のデカ犬と犬耳少女に対する恐怖心より愛犬を心配する気持ちが勝り、気がついた時にはその二匹?に質問をしていた。


「ここら辺でこのくらいのオスの犬とこのくらいのメスの犬を見ませんでしたか?」


「主人よ、ご安心ください、私がアストレオです。こっちのがメリッサです。」



状況が理解できなかった。僕の愛犬達はどこにでもいる普通の犬だ。馬鹿でかくも人間風でもない。

僕はその場に座り込んだ。それから5分ほどが経過した。その間その二匹?は、お座りをして待っていた。


「あの、少し良いかな?」


「はっ!何なりと。」


「もし、君たちがアストレオとメリッサだったとしたら、その証拠を見せてくれないか?」


自称俺の愛犬達は二人してなにやら相談をし始めた。

その相談はすぐに終わった。


「主人どの、これまでのアストレオとメリッサに関わる事で何か質問していただけないだろうか?」


「わかった、それじゃぁ、昨日の散歩で交通事故に遭ったはずだ。それはどこで、どんな車にはねられたか…とかは?」


「簡単すぎます主人様。私たちが振り向いた方向に行こうとして、横断歩道を渡る時に信号を無視してきたトラックに跳ねられてしまいました。」


その犬耳少女は少し笑った後に淡々と答えた。

その後にデカ犬が付け足すように答えた。


「我々は元々この世界の者でした。しかしこの世界の超人と呼ばれる類のもの達に追い詰められてしまい気がついたら主人どのの世界で犬となっていたのです。そこで貴方に出会いました。主人どの。」


「そうです、わたし達はいつかこの世界に帰るために力を蓄えていました。ですがあなたに出会いあなたに育てられていくうちにわたし達はあなたが好きになってしまいました。いつしかもといた世界に帰りたいという気持ちも消え主様の世界で朽ち果てるつもりでしたが、主様がトラックにひかれてしまったのです。」


「我々は、主人どのがその世界ではもう助からないと思い帰るために蓄えていた力を使いこの世界に連れてきました。世界を渡る時に全ての状態異常や怪我が治ることを我々は世界を渡った時に知りました。その力で主人どのの怪我を治そうと思ったのです。」


「体に異変はありませんか?主人様?」


デカ犬と犬耳少女による長い説明が終わった。どうやら本当にアストレオとメリッサらしい。


「あぁ、大丈夫だよ。ありがとうアストレオ、メリッサ。」


目の前の二匹がレオとメリーと分かると不思議とさっきまでの恐怖心は無くなり。とても可愛く見えてきた。


「それで、レオ、メリー、なんでそんな姿になっているんだ?」


「はい、わたし達は元々この世界の者でしたがこの世界でも犬という事ではなかったのです。

私は亜人の犬耳族でした。レオは森に住む狼の精霊、精狼族でした。種族間の仲が良かったわたし達は協力し合いながら森で生きていました。」


「そうか、そこで超人とかいうやつに襲われたのか。」


「流石は主人どの、ご理解が早い。」


どうやら、この世界で犬耳族、精狼族として種族間で協力し合いながら過ごしていたら超人に襲われ気がついたら僕がいた世界で犬になっていたということか。

なんとファンタジーなんだ。


「でも、これからどうしようか…。レオとメリーはなんか良い案ある?」


「はい、この世界は我らが消えたから何年経ったのかも分かりませぬ。まずは村などを探して情報を集めるべきかと。」


レオの言う通りだな。


「そうだなまずは情報を集めに行くかっ!。僕はこの世界に来たばかりだから色々とお願いねレオ!メリー!」


「「はっ!」」


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