実技試験②
「えいっ!」
リヴィアも同じく雷槍へ掌を向ける。
すると、瞬時に水流の膜が出現して、俺とリヴィアを大きく包み込んだ。
雷槍が膜に触れると同時に爆発。
「うわっ!?」
修練場全体を揺るがしたが、こちらには何のダメージもない。
リヴィアが手を振り払うと水流の膜が消える。
「そんな……! 水属性で雷属性を防いだ!? 詠唱も無しにそこまで強力な防御魔術を……!?」
ミアが高速で詠唱を開始する。
「本気で行くわよ! 〈サンダーボール〉!」
ミアの両手に一つずつ電雷の球が生み出された。
「行け!」
ミアがそれを投擲すると、雷球はドームの壁を複雑に跳ね回りながら俺に迫ってきた。
「うわっ……!」
「召喚師本体を狙うのは、基本中の基本よ!」
二つの雷球がそれぞれ別の方向から襲いかかる。飛び退く間も無い。
「〈炎隔結界〉!」
リヴィアが手を振り上げる。
すると、俺の周りに灼熱の炎の壁が立ち昇った。
「な、ななななんだ!?」
突然のことに慌てふためいていると、炎の壁はすぐに消えてなくなった。
飛んできていた雷球はどこにもない。今の壁が守ってくれたのだろうか。
「〈炎隔結界〉……!? 超高等魔術じゃない! 私の雷球をかき消すなんて……」
ミアが呆然と立ち尽くしている。
「さあ、今度はこっちからいくよー!」
リヴィアが両手を頭上にかざした。
「……!」
身構えるミアの眼の前に、さっきミアが放った〈サンダーランス〉によく似た水の槍が出現する。
合計20本も。
「こんな感じかな? どう?」
リヴィアが楽しそうに笑う。
それとは対象的に、ミアは絶望的な顔をして水の槍を見上げていた。
「お、おい。リヴィア、やり過ぎるなよ?」
「大丈夫、大丈夫!」
心配する俺に、リヴィアは振り返って会心の笑顔を浮かべた。
だからそれ怖いって。
「いっくぞー! えいっ!」
「……っ! きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
リヴィアが腕を振り下ろすと、水の槍が次々とミアに降り注いだ。
まるで大型の攻城兵器だ。
しかし、その槍の先端はミアに当たる直前で水の飛沫に変わり、殺傷力が大幅に落ちるように調節してある。
消防車の放水のように頭上からミアへと大量の水がぶっかけられ、水の槍20本が発射され尽くした後には、水浸しで床に倒れ込むミアが残されていた。
「こ、これはさすがに可哀相な気が……」
俺は、そろりそろりとミアに近づいて声をかけた。
「おい、大丈夫か……?」
同時にリヴィアが「あっ」と声を上げる。
俺が無事を確かめようと腰をかがめた瞬間、
「……〈サンダーアロー〉」
気絶したふりをしていたミアが倒れたままの状態で雷弾を放った。
「がっ――!?」
全身を強烈な衝撃が叩き、俺はそのまま数メートル吹き飛んだ。
あれ? 床が眼の前にある。平衡感覚が狂ったのか。
身体も言うことを聞かない。
ぼやける視界の端で、リヴィアがカードに戻るのが見えた。
そうか。召喚師がやられると召喚獣もカードに戻るのか……。
俺は、薄れゆく意識の中でなんとか片腕だけ動かして、ふわりと飛んできた【リヴァイアサン】のカードをキャッチした。
「勝った……。勝ったわ……!! 私の勝ちよ!」
全身びしょ濡れのミアが、床にへたり込んだまま勝ち名乗りをあげる。
同時に、修練場に試験終了の鐘が鳴り響いた。
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