序章 普通な俺の普通じゃない一日
お久しぶりです?
これは前書いていたものを消し書き直しているものとなります。万一前作品を知っていればその差も含めて楽しんでいただければ幸いかなと思います。
俺の名前は瀬戸島風人。うん、今日もいつも通り何もない平凡な一日が始まったようだ。
ちなみに年齢は18歳。最近誕生日を迎えたばかりだから当分はこのまま18歳だ。
俺は日課になった確認を済まし時計を確認。
「9時!?」俺は驚愕のあまり叫んでしまった。いつもなら8時ぐらいには目が覚めるよう健康的な生活だけは心掛けているというのに......
今日はゲームの発売日である。あの事件からほとんど家を出ていない俺が珍しく家を出る日である。そもそも俺がいつもゲームを買うときはネットを使っているのだが、今回は予約が取れなかったから仕方が無く......まあこんな話は重要じゃないし時間がない今、する話でもない。そもそも思い出したくもない話だ。
ちなみに俺の家は2階建ての一軒家である。部屋は2階。
1階に降り親に外出することを伝えようとするが見つからなかった。恐らく仕事だろう。なので仕方がなく家を出た。
家から店までは10分ぐらい歩く。
いつもと変わらない道。だが、その道を歩く人に生気を感じられない。何かがおかしい。そんな気がした。
ゲーム店は数人客がいた。だが、やはりというべきかどの客にも生気が感じられない。ただここにいるだけのNPCの様な......
俺は怖くなり欲しかったゲームを買い店を出る。初めて話しかけた店員はなんだか決まった応答をしている気がした。
薄気味悪い道を早足で家に帰る。この不気味な世界で唯一平常な場所。早く親を探し出さなければいけないのかもしれない。
俺は鍵を開け家に入る。そこには......小さな少女らしき人が立っていた。
「お風呂にする?ご飯にする?それとも......?」
平常なはずの家に映る異常。俺はその質問に答えることなどできるはずもなかった。
そして今、あれから10分経ったところだが、謎の少女と食卓を囲んでいる。何故だ......
「ほら、お兄ちゃんあーんして?」その少女が上目遣いでこちらに箸を差し出す。突っ込みたいところはいっぱいあるがとりあえずこれだけは言っておく。
「今、10時だぞ!?飯食う様な時間じゃないだろ!?」
「だって朝ごはん食べてないでしょ?」少女がもっともらしいことを言う。まぁ、間違ってはいない。だが俺は小食でこの豪華に並ぶ食べ物を食べきれる気がしない。いつもの夕食の2〜3倍はあるぞ......?
「ちゃんと食べないと大きくなれないよ?お兄ちゃん」よし、もう一つも突っ込んでおこう。すごく今更だが。
「お前だれ!?」俺は少女にビシッと指をさし聞く。
「そんな......私のこと覚えてないの......?」少女が涙目になる。
「知らないどころかあったこともないと思うのだが。そもそもここ数年は外にも出てないし。ネットで出会った人にも個人情報は一切漏らしてないしな」俺は澄ました顔で答える。泣いてるのも演技なのだろう。俺はそうたかを括る。
「そっか......もういいよ。じゃあ私のーーでもう一回」少女は涙を拭きながら言う。俺は一気に意識を失い、最後まで聞くことはできなかった。
朝、目が覚めいつもの確認をする。時間を確認し盛大に驚く。なんだろう、前にもやった気がする。
そう、この後親がいなくて俺はゲームを買いに行く。
1階に行っても親がいなかった。このままゲームを買いに行っては何も変わらない。変えられはしない。そんな気がした。
なので朝ご飯を食べた。質素な食パンは『あの朝食』よりも美味しく感じた。
時間がないので自転車を使うことにした。
道行く人は皆、生気がなく死人の様で......俺は自転車をこぐ足を早める。
だが、俺はこの道を最近自転車で走ったことがある気がした。その時の俺は確か......この道を曲がった後暴走車によって轢かれてしまう。そんなことがあれば俺は今ここにいないはずなのにそう感じた。道を曲がる前に急ブレーキをかける。何故こう思ったかはわからない。だがこうしなければいけない気がした。
止まった俺の前を暴走車が駆けていく。そう、俺は『過去』この車に轢かれている。
その後の道は安全だったはずだ。俺は店まで駆けていく。
俺は欲しかったゲームを買い、家に帰る。この時は何も起こらないはず。
俺はあるはずもない『過去』を超え正しく家に帰ることができただろうか。だがまだ終わりではない。
俺は一度深呼吸をし扉を開ける。そこには知らない『過去』にいた少女が立っていた。
「ご飯はもう食べたみたいだし、お風呂って時間でもないね......じゃあちょっとお話ししよっか?お兄ちゃん?」
「ああ」俺は直ぐに承諾した。
家の居間のソファーに座る。
俺がなかったはずの『過去』を知っている様に彼女もきっと知っているのだろう。俺の『過去』の終わりには必ず少女がいた。その少女なら原因を知っているはず。
「まず聞いておかなければいけないことがある。名前を教えてくれるか?呼ぶ時に不便だ」俺は冷たく言い放つ。
「瀬戸島風音。風人お兄ちゃんの妹だよ」少女は笑って言った。違う。そんなはずはない。俺には妹などいない。
「そんなはずはない。俺には妹などいなかった。少なくとも今日までは。本当の名前を教えろ」俺の態度はさらに冷ややかになっていってる気がする。
「風音だって言ってるのに......でも、その感じだと色々と『知ってる』んだね?」少女は笑みを絶やさない。
「ああ、『覚えて』いるさ。俺に何の用だ」俺のどこからこんな声が出たのかわからない様な冷たい声だった。だが少女は狼狽えることもなく、
「ただ僕はお兄ちゃんの妹になりたいだけ。そしてこれからの日々を二人で楽しく過ごすの」少女は何か楽しいことを想像しているのか今にも踊り出しそうだ。そう、この世界では正しく生きている人は俺と少女のみ。本当に二人しかいない。それが『前回の俺』が手に入れた情報。多分ゴールは直ぐそばにある。
「この世界はお前の思い通りなんだな?」
「......そうだよ?」彼女の表情が一瞬歪んだ気がした。
「やっぱりお兄ちゃんは僕のこと名前で呼んでくれないね......?こっちのお兄ちゃんは」少女は少し残念そうに言う。
「当たり前だろう。俺はお前のことを信じてないんだからな」
「でも、お兄ちゃんは僕とちゃんと話してくれるね?状況証拠含め間違いなく僕が犯人なのに」
「それは......」俺は答えられなかったが直ぐに少女が付け加える。
「どんなに悪人ぶってもお兄ちゃんはいい人だもん。そんないい人だから僕はお兄ちゃんを選んだんだよ?」少女が挑む様にこちらを睨む。初めて見る顔だった。
「もういいよ。この状態のお兄ちゃんをいじるのもたまには楽しいけど。やっぱり僕は僕のこと知ってる時のお兄ちゃんがいいなぁ。リセットするね?」少女がそう言うと俺の意識が遠くなる。その最後の一瞬視界の端に見たことがない『生きている』男を見た気がした。
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リセットしようとお兄ちゃんを眠らせた途端、男が入ってきた。
「やっと見つけたぞ。ーーーーー。俺と一緒に来てもらおう。お前は我がーーの唯一のーなのだから」
「嫌だね!!僕はお兄ちゃんと一緒にずっと暮らすんだ!!」男を睨みつけ叫ぶ。
「その男のせいでお前は帰ってこないと言うのか......ならばその男がいなくなればいいのだな?」男が腕を振り上げるそして僕が止める暇もなく下ろす。するとお兄ちゃんが消えた。
もの凄い憎悪。即座に攻撃態勢に移行する。
「大丈夫だ。本人に自覚がない以上、断罪されるべきは彼ではなくお前だ。お前が無駄なことばかりするから元の世界には戻せんし、彼にはーーーーに行ってもらった。まぁ、そこで生き残れる保証はないがな」
その言葉を聞いた直後僕はーーーーへ飛んだ。ーーもなくあの世界に飛んだお兄ちゃんを一人にするわけにはいかない。すぐにいかなければ僕のお兄ちゃんは殺されてしまうかもしれない。
たとえそれが最大の禁忌であっても......
最後の瞬間男は笑っていた気がした。
今回はちょっと長くなったかもしれない。次からはさらに短くなる可能性あり。忙しいからね仕方がないね
最後のところは少女こと風音の目線です。あとーとなっているところは進行上明かせない単語などが含まれている場所が大半です。ご了承ください。(伏字のためのーと伸ばすためのーは別だよ?なんとか読み取って?)