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1. 街道でやっと人に出会いました

 街から街へと続く街道をトテトテと旅装束の子供が一人で歩いている。


 明らかに成人していない年齢の子供がたった一人で歩いている姿は異様だ。

 ふつうこの年齢の子供は庇護されるべきで、危険な旅に出すことは滅多にない。

 事情があって旅するとしても、普通は保護者となる大人がついている筈だ。

 そもそも、大人でも一人旅などするものは少ない。

 よっぽど旅慣れた腕に自信のある冒険者ぐらいのものだ。 


「なかなか街が見えないねー。っていうか、誰にも会わないねー」

 そう口にしたのは森で暮らしていたセイだ。

 森を出てから五日程たつが、獣は見かけても人を見かけていない。


 ピヨ


 のんびりと子供が口にすると、小さく返事するような鳴き声が。

 よく見ると、頭に被っているフードの上に黄色いフワフワのモノが乗っている。


 ピィピィ


「ん? 何か来るの」


 子供の纏っている茶色いローブのポケットからも鳴き声がしている。


 ポケットから顔を出したのはこれまた黄色いヒヨコ。

 そのヒヨコの視線が子供が通ってきた後方を見ていたので振り返ると、遠くに土煙が見える。

 あの分では、追いついてくるのはまだ先だろうと、子供は再びトテトテ歩き出した。


 暫くすると、ガラガラと大きな音が近づいてきたので、セイは足を止めて後ろを見た。

 すると、二頭立ての馬車が二台とそれを守る護衛が乗っている馬が三頭見えた。


 セイは邪魔になるといけないと思い、街道の隅へよける。


 セイに気づいたのか、一頭の馬が一行から外れてこちらに向かってきた。


「……子供?」

 大柄な冒険者風の男が馬上から訝しげに声をかけてきた。

「坊主、一人か?」

 キョロキョロとあたりを見回しながら男が訊ねる。


「はい」

「親は?」

「親はいません」

「はぐれたのか?」

 男はぎょっとしながら、馬から降りて訊いてくる。

 まさか盗賊か魔物に襲われたのかと心配したのだ。


「ぼく一人で旅してます」

「おいおい、こんな子供が一人で・・・。坊主、どっから来たんだ?」


 どう説明したものかと、セイは首を傾げた。


「おい、どうしたー」

 一人だけ先に先行して危険がないか確認していた男が戻ってこないのに焦れたのか、もう一人の護衛らしき男が近づいてきた。

 

「ああ、いや。この子供が一人旅をしているというんでな。親はいないのかと訊いてたんだ」

「えぇ? まだほんのガキじゃないか。ちょっくら説明してくらぁ」


 明らかな子供の姿に危険はないと判断した男は馬車の方へ戻って依頼人に説明する。

 程なく馬車と共に近づいてきた。


「ちょっと、わたしより小さいじゃない」

 そう言って、馬車から降りてきたのは栗色の髪の十代半ばの少女だ。


「きみ名前は? 私はエリナ」

「セイ」


 ピヨ!

 セイが名乗った後に直ぐ頭の上でヒヨコが名乗りを上げる。


「か・・・・かわいい!

 キャー! カワイイこの子」

 そう言って思わずエリナはそのヒヨコを自分の腕に抱きかかえる。


「エリナ・・・すまないね。この子は可愛いものに目がないんだ。

 ああ、私はこの子の父親のザイル。この先のビスレイン王国の王都で商会の代表をしているんだ。

 いまは行商の帰りなんだが、君はどこに行くんだい?」


 いつの間にかエリナの後ろに立っていた男がセイに声をかけた。


「この先の街に行こうと思ってました」

「たった一人で歩いてかい?」

「はい。でもこの子たちも一緒です」

 そう言ってセイはエリナが抱いているヒヨコを指さす。


「子供の一人旅は危ないよ。良ければ一緒に行かないかい?」

 ザイルは自分の娘より小さい子供がたった一人で旅しているのを心配し、そう申し出た。

 ヒヨコでは単なるペットで護衛にもならない。


「それがいいわ! 私も退屈してたし、この子たちも可愛いもの」

 エリナはセイの顔立ちがとても可愛いことに気付き、ヒヨコも一緒に愛でられるとご機嫌だ。


「ありがとうございます。では、お願いします」

 セイも誰にも会わず、周りの景色も変わり映えせずに退屈していたので、ザイルの好意に甘えることにした。


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