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 フンフンフーン♪ フンフン フフフフーン♪


 森の中で7・8歳ぐらいの子供が楽しそうに鼻歌を歌いながら、山菜や茸を採取して籠に入れている。

 キラキラと太陽の光に透ける銀髪にシアンの瞳。


 こんな小さな子供が昼日中とはいえ、たった一人で森の中を恐れげもなく歩いているのは異常だ。

 だが見るものが見れば子供の周囲で小さな妖精や精霊たちが楽しそうに戯れているのが判る。

 妖精が指さすほうに茸があるのを見つけて、子供も嬉しそうに教えてくれた妖精に笑顔を向けている。

 この子供には妖精や精霊の姿が見えているようだ。


 手にした籠に山菜や茸が一杯になったところで、子供は家路についた。


 子供が向かった先は更に森の奥。

 切り立った崖の麓に向かっていった。


 断崖絶壁の崖の前に木の小屋が建っている。


 家の前で上半身裸の状態で大きな猪を解体していた初老の男に、子供は嬉しそうに駆け寄った。

 男は初老とはいえ、かなり鍛えた身体をしていた。

 灰色の頭髪はやや長めで、首後ろで紐でくくっている。

 鋭い目は深海の蒼。


「じーさまー、だだいまー」

「おお、おかえり。沢山採れたようだの」

「じーさまの方も今日はまた大きいね」

 解体中の猪を見て、子供は目を見張った。

「ああ、これで暫くは肉に困らん」

「うわーい」


 育ちだかりの子供は大喜びだ。

 鳥や兎などの小物は頻繁に食べれるが、猪や鹿などの大物は偶にしか食卓へ上らないのでかなり嬉しい。

 子供はルンルン気分で家の中に入っていった。


「ばーさまー、ただいまー」

「おかえり」


 竈の横の台で野菜を刻んでいる女性が子供を振り返った。

 背中まである白銀の髪を後ろで一つにくくり、目の色はアメジストのような淡い紫。

 とてもばーさまと呼ばれる年齢には見えない。子供の母親といっても通じる。


「今日も沢山採れたようね。晩御飯に使うから、洗ってきてね」

 言葉づかいも老人とは思えない。


「はーい」



 ここに住んでいるのはこの三人だけだ。

 じーさまのトーマ。

 ばーさまのリイナ。

 子供のセイ。



 セイはこの森を出たことはない。セイにとって、この森が世界のすべてだ。


 じーさまと、ばーさまと、精霊や妖精に守られて暮らしていた。

 外の世界を知らずに。


 10歳になるまでは・・・


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