プロローグ
「はい、次の人」
入園式を明日に控え、大講堂には多くの新入生が集められていた。
魔力測定の為である。
この測定によって各クラスの生徒が割り振られる事になるのだが、
「おお……! コレは……!」
測定の為のクリスタルが一際輝きを放つ者がいた。
「ほう、この歳でもうこれほどの魔力が有るのか!」
「名前は……シュース・クレイン……そうか、クレイン家の……」
驚いていた教師達であったが、少女の名前を確認すると、納得したように頷いた。
「うむ、これならば……」
基本的に、クラス分けは各クラスで差ができないように割り振られるのだが、この少女のように突出していると、どのクラスに入れても浮いてしまう可能性が高い。
何より、優秀な人材は特に力を入れて育てる必要が有るのだ。
故に、
「この子は特別教室で良いでしょう」
「ですな」
教師達は少女の特別教室入りを決めた。
(特別教室だって……)
(本当にいるんだ?)
(ちっ……)
その様子を見ていた周りの新入生達が軽くザワついた。
「いえ、私は──」
少女が何かを言いかけたその時、
パキィィン──────
澄んだ音が響き渡り、ザワついていた大講堂内が静寂に包まれた。
何処から……等と探すまでもない。
その音がした方向からは眩いまでの光が溢れていた。
「ば……馬鹿な……⁉」
測定をしていた教師は自分の目を疑った。
クリスタルに大きなヒビが入ってしまったのだ。
しかも、そのヒビは拡がり続けて──
ッパァァン──────‼
砕け散った。
同時に、辺りを照らしていた眩い光も消える。
さっきまでの光の対比もあって、大講堂内が一際暗くなったように感じた。
「「……………………………………………………」」
測定をしていた教師達だけではなく、見ていた生徒達も理解が追い付かず、声を出せなかった。
「む……無限だ……」
やがてポツリと……新入生の様子を見に来ていた予言者が呟いた。
「こ……この子供からは無限を感じる‼」
皆の視線の先には、しかし注目されている事など気にも留めない……金髪翠眼の無表情の少年がいた……