将来の夢は何ですか
大変長い間更新が途絶えてしまい申し訳ありませんでした。
結局春兄は再度起こしにいくことはせずに、そのまま寝かせておくことにした。
理由は残念トリオが持参した食料で人数比の量が十分になり取り置きしとけばいいやとなったことと、正直これ以上部屋の人口密度を増やしたくないという側面もある。
実際に要する実面積以上に存在自体が煩いしな、あの兄は。
もぐもぐむしゃむしゃごっくんと勢いよく目の前の食べ物が減っていく中、話題は何故か将来の夢へ。
「あー、とりあえず自活できればいいっすかね」
「俺はー、営業とか。事務はむいてないんで」
「俺は逆に経理とかがいいですね」
「福利厚生も考慮にいれるべきですよねー」
「やー、ボーナスとかちゃんと出るとこいいっすわ」
「俺体力には自信あるんで、体キツくてもいいんで頭使わなくていいとこがいいなあ」
兄の子分らは考えているようでそんなに考えてはいないんだろうな、ということをパラパラと口にする。
そしてその語尾には「休みの日は春先輩と遊びたいんでもちろんこの近辺で」という意味合いの言葉を付け加える子分たち。
春兄が進学や就職、もしくは放浪の旅などで遠くに行ったらどうすんだろこいつら、とちょっと思う。
もしや春兄の行く先へどこまでも追いかけていくのか、そしたらだいぶ周囲が静かになりそうでいいなそれ、とわりと本気で願う。
「あ、俺は将来は兄貴の役に立つことしたいんで、基本その方向で決めてくつもりっす」
と、胸を張って言い切る池上。
「ふ、そんな曖昧なことで本当に兄貴の役に立てると思うのか? 安心下さい、兄貴。私は兄貴が困った時に本当に役に立てるよう弁護士か医者になろうと思っています。」
と、真面目な顔して断言する篠倉。
「ええー、それってちょっと安易じゃない? 兄貴が弁護士必要になる困りごと起こすの考えにくいし、身体だってめちゃくちゃ丈夫じゃん。僕はもっと身近なところで兄貴においしいもの食べてもらったり、居心地いー環境を提供できるように頑張るよ。ねえ、あーにき?」
と、あざとく小首を傾げる小原。
三者の間でバチバチで見えない、ただ確かに肌で感じる火花が散る。
それと篠倉以外は実は将来何になるのかまったく言ってないじゃないか。
まさかの私任せか。
私の行くとこどこまでも追いかけてくるつもりか。
本気でウザイ。
そして重い。
別に怖いとまでは思わんが。
「ふふふ、春ちゃんと秋君抑えておけば役に立ちそうな下僕がいっぱい確保出来そうだね。会社立ち上げも宗教法人設立も思いのままだ。何でも言うことをきく犬がいっぱい……。選択肢いっぱいだなあ。はは、なかなかに楽しそうだ」
にこやかにほほ笑みながら外道なセリフをはく誉。
こいつは本気で怖いけどな!
次回最終話です。更新は5月5日予定です。




