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あ、忘れてた

お待たせしました。

 無駄に疲れたような気がする。


 私は春兄の子分らを後ろに引き連れ溜息交じりに階下へ下りた。


「あ、兄貴! おはよーございまっす」


「兄貴、お邪魔してます」


「あーにき! 昨日振り! 寂しかったあ」


 そしたら更に疲れる展開が待っていた。


 人のことを兄貴呼ばわりする池上、篠倉、小原の残念イケメントリオがにこにこしながらリビングで寛いでいた。


「あー、秋さんの下僕君達だー。やっほー」


「今日も三人一緒に秋さんに侍ってるんだね。仲良いね」


「春先輩の取り巻きーズの皆さんじゃないっすか、どもっす」


「兄貴のおそばにいるのは当然のことですよ」


「僕らは兄貴を慕う同志ですからね。先輩達こそ金魚のフンご苦労様でーす」


「俺らも春ちゃん先輩好きッすからね」


「そーそー、労わってもらうこと何もないよな」


 ……何だろこの会話、お互いにディスってる気がしなくもないのに超満面の笑顔。


 雰囲気も非常に和やかなものだし。


 ……まあこいつらのことがよくわからんのは今に始まったことじゃないし、どーでもいいか。


「あらー、秋ちゃん。おはよう」


 そんな投げやり気分でいたら花が咲いたような声をあげながら母がキッチンから出てきた。


 どうやら二階にいる間に買い物から戻ってきていたらしい。


「おはよ」


 とりあえず母には三人衆にはしなかったおはようの挨拶を返す。返さないと返すまで食い下がってくるので面倒くさい。


 しかしうち普通の一般家庭の一戸建てなんだが……。


 兄の子分が六人に、イケメン三人衆、私に母に、母の後ろから顔を出した誉……。


 異常に人口密度高くないかおい。


 っていうか。


「昼ご飯足りる?」


 揃いも揃った男子高校生を甘くみてはいけない。


 食事の用意は人数分で数えてはいけない。


 一人に対して普通に通常の二~三人前は平らげる、それが青春の胃袋だ。


 そんな私の疑念に即座にイケメン三人衆が反応した。


「兄貴っ、僕バウンドケーキ焼いてきたんです。あとクッキーとスコーンも。ぜひ召し上がって下さい」


 と、頬を染めて乙女のようなリアクションをする小原。


 何かあざとい。


「あー、うちの母さんからお世話になってるんだから持ってけって言われた、から揚げと煮物もあるっす。十人前くらいの」


 と思い出したように言う池上。


 よく十人前も持たせたね、池上母。よくわかっていらっしゃる。


「安心して下さい、兄貴。こちらに来る前二階堂先輩に連絡して人数把握して寿司とピザの出前を頼んでいたのでもうすぐ届くと思いますよ」


 と、何故誉に連絡を取るんだの篠倉。


 だがそれより。


「その料金……」


「それもご安心を。支払いはカードで済んでますから」


 私の心配を察し、そう回答する資産家の息子篠倉。


 さすがである。


「あらあ、豪華な昼食ねー。パスタ作ることなかったかしらあ」


 にこにこ笑顔、しかしちょっと眉は垂れさがりという器用な表情をして見せる母に、誉はその手をそっと取り微笑んだ。


「僕は夢乃さんの作るパスタ、とても好きですよ。それにこれだけの人数がいるんです。きっとみんな平らげてしまいますよ。だから、そんなお顔なさらないで下さい」


「あら、そおかしら」


 ホスト顔負けの甘い声音で囁くようにそう言った誉に、母も嬉しそうに微笑んだ。


 うちの母誘惑するのやめて下さい高校生。


「そういえば秋君」


「はあ何ですか」


 辟易して見ていたらホスト誉の注意がこちらへ向いた。


「春ちゃんは?」






 あ、忘れてた。

また兄貴登場ならず。そしてそろそろこの話も終了予定。

話終了前に登場なるか春兄さん。

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