レッツ保健室
sideジロー
選択授業が終わり、教室に戻りながらぼんやりと昨日の事を思い出す。
『間宮永久……。』
「間宮永久。」
「お、それ誰の名前だよジロー。」
ガシッ、と肩を捕まれて、少し体がよろめいた。
自分より高い(ちなみに僕は男子校生にしては身長が低い)やつに肩を捕まれると誰でもよろめくだろう。
そのくせにこいつ、坂口陽(自称僕の親友)は弱っちいな~と言いながら、ゲラゲラ笑った。
「僕心のそこから人をこんなにウザいと思ったのは初めてかもしれない。」
「その相手が俺で光栄だろ?」
「心底ウザい。」
そう言って肩を掴んでいた手を払い除けると、陽はやだ、冷たいわジローくん、と気持ち悪い女言葉で話してきたので、思いきり引いた。これが世に言うドン引き。
「まぁそう引くなって。で、間宮永久ってだれだよ。」
こいつのポジティブさ、分けてほしいくらい。
「昨日の深夜保健室で会った真っ白い女の子。」
「え?あの白いお化け伝説調べにいったらがちで出た系?」
「いや、人間だった。」
「ごめん色々突っ込むところが多いけどまずなんで深夜に保健室行ったの?」
「美園が調べたいって言うから。」
昨日の教室のこと聞いてなかったの?と聞けば、俺せんせーに呼び出されてたし、と陽は昨日まで金髪だった茶髪の髪を弄った。
「てかいーなぁ、白石と二人きりとか、なんかあった?」
「ねーよ。というより何かある方がおかしくない?」
そんなことより間宮永久に会いたい、と言うと、陽はじゃあ保健室行こーぜ、と言ってきた。
「なんで?」
「昨日保健室で会ったんだろ?なら保健室にいるはずだぜ!」
そう言うと、陽は僕の腕を引っ張って、レッツ保健室!とぬかした。
でも心の中で確かに、と思ったのは秘密だ。