不思議
side美園
「あー!!!やっちゃったー!!!」
昨日はせっかく二人きりになれるように、最近噂の保健室の幽霊の話持ちかけて、生徒会長の、まるで任務だという風に仕組んだのに!!!まさか本気で出るなんて!!!
「しかも30分寝坊したー!!!」
信じらんない!!!
ジローとの毎朝の登校に遅刻しちゃう!!!
急いで着替えて歯磨いて洗顔して、長い黒髪は寝癖が酷いからアイロンでなおしていく。
スカートを三段曲げて、気合い十分。
「行ってきまーす!!!」
母の朝御飯はー?って声にはダイエットー!と答えて、晴れた空に思いきり背を伸ばした。
そしてちょうど歩いてきたジローと鉢合わせ。
「おはよジロー!」
「おはよう。」
私は少し驚いた。
昨日は一人で逃げ帰ったから、てっきりジローは怒ってるのかと思っていたから。
だけどジローぜんぜん怒ってない。
むしろご機嫌?って感じ。
「昨日はごめんね、まさか本気で出るなんて……。」
「あぁ、あの子人間だよ。」
え、と下げていた顔をあげると、ジローは珍しく笑って、良かったね、と言った。
それはお化けがいなくて良かったね……なんだろうか。
私は疑問に思いながら、ジローと並んで登校した。