4/11
逃げられる
sideジロー
僕は今まで恋愛なんて興味が無かった。
女性に対して、何の感心も無かった。
……この人と会うまでは。
「……交際相手はいますか?」
「い、いませんけど……!」
わたわたとあわてふためく彼女を、初めて女性を可愛いと思いながら、では好きな人は?と聞いてみる。
彼女は小さくいません、と答えた。
「では、お名前は?」
「間宮永久……です。」
「とわ……。」
心の中で繰り返し、とわ、とわと呼んでみる。
うん。いい名前だ。
「あ、あなたは……。」
「はい。」
「私が怖くないの?」
怖い?怖い、怖い?
「なんで?だって人間でしょ?」
「そ、だけど……。」
「そんなことより、僕と付き合っていただけませんか?」
聞くと、彼女……間宮永久は顔を真っ赤にして、保健室から走り去っていった。
「……クラス聞くの忘れた。」
うん。しくじった。