幽霊
sideジロー
「幽霊?」
そう言って僕が本から顔をあげれば、幼馴染みの白石美園は大袈裟に頷いた。
「そうよ。幽霊。」
「それ、その幽霊ってどこに出るのさ。」
君の家?と聞くと、私の家に出てたまるもんですかと返事が返ってきたからどうやら違うらしい。
ではどこにでるのか。
それが問題だ。
別に興味も無いし、関係も無いけど。
「保健室にね、真っ白い女の子が出るって噂なのよ。」
まぁ、噂は噂なんだけど、と長い黒髪を弄りながら、美園は疑っている、という顔をした。
「じゃあ関係無いじゃん。」
「それが大有りなのよ。私ほら、一応風紀も守る生徒会長だし。」
一応確認して、騒ぐ奴等を黙らせなきゃ。
美園はそう言って、ジローも手伝うわよね?と睨みを効かせてきた。別にそう怖くはない。怖くないけど断ったら後々面倒そうだ。
「仕方ない。幼馴染みのよしみで付き合おう。」
「そうこなくちゃ、二人で奴等を黙らせるわよ!」
美園が大声でそう言うと、回りのクラスメイトが、美園うるせーぞ、や、なにー、なにするのー、などの声が聞こえてくる。
それに一々答えている美園はすごいなぁ、と変に感心しながらもう一度本に目を向ける。
面倒なことになりそうだ。