ニートな僕がいつの間にか魔王になってる件

　ある日、僕は夢を見た。
　いや、当然夢なんかは皆見るものだし、特に珍しいことでも無いのだけれど、そこを強調したのだから、その夢は少々特殊なことは察して欲しい。
　なんだか妙に現実味のある夢で『ソイツ』が出てくるまで、僕はそれが夢だなんて思ってもみなかった。
　なんだか妙にハイテンションで、五月蠅くて、こっちの話を聴かない『ソイツ』は、異世界だの、魔王だの、神だのなんだのと、現実離れした事ばかりまくしたてて、僕の右腕に金の腕輪なんか付けて、さらばと手を振った。
　途端に辺りを焼くような閃光が放たれて、思わず目を瞑り、数瞬の後に目を開いた僕の視界には、犬耳のジジィがいて、僕に向かってこう叫びやがった。

「魔王様ぁーーーーーーーーーーーッッ！！！！」

　余りの声量に、耳を痛めた僕は、そこで気付く。

　あれ。これって、夢じゃない。