五月十五日
まず初めに作者は日本語が非常に不自由です。高校時代の現文の評価で1を取るぐらい不自由です。
今回は初執筆、初投稿となります。全くの素人の作品です。ダメな点も多くあります。それを気兼ねなく書いて私に教えてください!この作品を完成させたい、これが私の第一目標です。そして完成と言えるモノにするためには知識と経験が必要です、それを私に少しでも分けてください!お願いします。
では「トータルウォー」始まります
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「第一小隊シグナルロスト!」
オペレーターの叫びと共に通信が途切れたことを伝えるサイレンが流れた。戦場において通信が途切れるということは死を意味する。この作戦本部に居る人々は皆それを知っていた。
「くっ!第三小隊は後退し第二小隊と合流。右翼から攻撃を仕掛けろ」
――は状況を打開するため次の指示をだした。その声には焦りが混じっていた。上官の焦りは部下の指揮を下げることは分かっていたはずの者ですらこの状況を焦らずにはいられなかった。
「敵軍増援を確認!数も兵力も予想を大幅に上回っています!どうします指令!」
引き続き起こる予想外の状況に誰もが対応しきれていなかった。皆の頭の中に敗北の二文字が浮かんでいた。それがこの中の唯一の共通認識だった。
「寄せ集めの軍で正規軍が負けているだと!ありえんッ!」
誰にも聞こえないように指令は愚痴を漏らす。
「第五・第四小隊負傷者多数!撤退していきます!総隊長このままでは!」
「打つ手なしか…」
◆ ◆
国立八雲学園。
そこは未来の軍を担う者達が集う場所である。八雲学園は複数の学科で形成されている。それは多種多彩で生徒が一人しかいない科も存在する。
世界連合国の建国後軍の統一化を目的に建設された。ここには連合国で生まれ、連合国で育った者達がそれぞれの正義と理想を求め集う場所。初代校長はこう言った。
「全て世界は繋がった。後は全て人類を繋げるだけだ」
机の上の時計が六時を告げる金を鳴らした。その音で覚醒へと導かれ天宮イクマは目を覚ました。
「いつの間にか寝ていたか…」
静かな天宮家の一階から包丁の音が聞こえてきた。イクマはその音に誘われてイクマは音の元へと歩いて行く。音がしている部屋に近づくと包丁と同じリズムを刻む鼻歌も聞こえてきた。イクマは自分の頬を叩き意識をはっきりさせ、そして部屋のドアを開けた。
「おはようナツキ」
そこには制服の上からエプロンを掛けた銀髪の少女が立っていた。彼女の銀髪は一片の濁りもなく透き通っていた。その銀髪に朝日が反射してより少女の姿をより輝かせていた。
彼女の作っている料理から香ばしい臭いが漂ってきた。
「今日は何を作っているんだ?」
「おはよう兄さん。今日は庭で取れた野菜と熊を使った――」
「熊?」
「兄さん冗談。本当は馬」
この朝から理由のわからない冗談を言っている彼女は天宮ナツキ、イクマの妹だ。
彼女はイクマと同じ八雲学園の一年。学科は特殊技術開発科。ちなみにイクマは指揮科二年。指揮といってもオーケストラで指揮棒を振る指揮者ではない。軍の企画、組織、調整、統制を行う軍事指揮のことだ。例えるなら人間で言う脳だ。
「馬か…まだ現実味があるな」
「現実味ってなにさ…妹を信じられないの?」
ナツキは上目づかいでイクマを見ていた。
「少し前に兄に対して明らかな嘘を言った妹が何を言うか…」
「私が言ったものは全て本当になります。もしならなかったとしたらそれは世界が私に対する嫉妬の結果です」
ナツキは包丁で空に小さな円を描きながら無い胸を張りながら言ってきた。
「だとしたら俺は世界に未来永劫、嫉妬し続けてもらいたいね」
イクマは肩を落とし呆れた様に大きなため息をついた。話を逸らすかの如くナツキは「でさぁ、夜遅くまでなにをやってたの?」と言った。
――――馬は華麗にスルーか、馬は。
「あれか?あれはな、座学の授業で課題が出ていてな。それを急ぎでやっていたんだ。おかげで一応、完成はしたが。」
イクマは完成したレポートをナツキに見せた。
「そんなことしてるから、また単位を落としかけるよ?その所良く考えた方がいいよ?」
ナツキは呆れ顔でイクマに指を向けて言った。その声から本当は心配をしていることは分かった。
「ああ、わかってる」
イクマは去年の進級査定で限りなく黒に近いグレーゾーンに入ってしまったことがある。苦労して望みの科に入れたのは良いが、苦労して入っただけは有り、授業は高度で、イクマは後れを取っていたのだ。その時は、ある人物の尽力もあり二次査定はパスできた。しかし今でも綺麗な落ちこぼれだ。
――こいつには本当に心配させてばっかりだな。俺もこいつが誇れる兄にならないとな。
イクマはそう心の中で呟いた。
「今日の朝市ニュースはこちらです。昨日夕方ごろ、雲瓦町で強盗事件が起きた模様です。犯人は車で宝石店に乗り込みそのまま店内にあった商品を盗み逃走しました。一週間前に起きた谷島町の事件と犯行の手口が似ていることから警察は同一犯と視て調査を進めています。次は天気予報です」
――大胆過ぎるだろ犯行が
イクマは心の中でツッコミ入れた。
「雲瓦って言うと結構近いな。物騒なことが起きてるとは知らなかったな」
テレビから聞こえて来たニュースにイクマは驚き半分、呆れ半分の心境だった。
「兄さん知らなかったの?昨日学園から連絡あったみたいだけど、兄さん見てないの?」
ナツキはポケットから学園指定の携帯端末を取り出し一通のメールをイクマに見せた。そこには件名に警戒要請と書かれたメールが一通だけあった。
「学園側としても近くで起きた事件は見過ごせないわけか」
八雲学園の生徒は軍の予備役として軍に登録されている。実戦に参加することはほとんどなく、卒業するまで正式に指令が下ることは無い。しかし軍の使命でもある治安維持が近隣で必要になった場合、学園側から命令ではなく要請として伝達が来る。一般人よりある程度の知識のある生徒達の方が安全であり、色々な状況に対応できる。
「ナツキも気を付けろよ。何があっても無茶だけはするなよ」
「平気だよ。自分の技量を一番分かってるのは私だからね。無茶は成功できる時にしかしないよ」
ナツキは頭の回転も速く成績は学年トップクラスである。そのナツキが言うことは対外本当だ。しかし兄としてナツキには危険な目にはあって貰いたくないと思うイクマの気持ちがあった。
「そんなこと言って、前に野戦の授業で取ったワライダケを安全なキノコと勘違いして食べて笑死にかけたのは何所のどいつだ」
「うるさいなぁもう兄さんは。あの時は本当に死んじゃうって思ったんだから」
ナツキは頬を膨らませて可愛らしく怒った。本人自身もそのことを忘れたいらしい。顔を赤らめていることが分からないように顔を隠していた。
「早く食べないと学校遅刻するよ?私テストあるから先に行くからね。跡片付けよろしく兄さん」
ナツキはその場から逃げるように使った食器を洗面台に置き玄関に向かっていった。
「おいナツキ待て!弁当忘れてるぞ!」
ナツキはイクマの声を耳に入らなかった様でそのまま家を飛び出して行った。
――――ナツキのやつ俺に仕事を押しつけて行っちまったよ。アイツ本当に俺を心配しているのか?しかも弁当忘れるし
そんな疑問を抱いていたイクマは食事を続けた静かな天宮家には味噌汁を飲む音が響いた。
「んっ?」
イクマが学校への道を歩いていると後ろからの視線に気が付いた。後ろに振り向くと電信柱の陰に隠れる人影を見つけた。その影はこちらをチラチラと見ていた。
――さっきから見てるのはアイツか。それにしても古典的な尾行だな
この道路にはイクマ以外の人間は歩いておらずその視線の対象は必然的にイクマへのものだとわかっていた。
――俺には尾行される覚えがないぞ。あるとしたらナツキの方か
ナツキは学内でも有名人だった。容姿端麗、成績優秀と才色兼備である彼女を狙う男子生徒は多くいる。そしてそのナツキの兄であるイクマを妬ましく思っている者は多くいる。尾行ならまだしも誘拐・暗殺・狙撃と全ては未遂に終わったが、度々被害に会っていた。
――まぁいいか。今回は尾行程度で終わるみたいだし。
安全を確認したイクマはそのまま尾行を気にせず歩き始めた。
「危なかったです。危うく気付かれる所だったです」
少女の額に汗が滴っていた。少女は何ごとも無かった様に尾行を続けた。尾行していた本人はイクマが気付いていることを知らなかったのだ。少女は誰にも見つかっていないと思いこみ電信柱の陰に隠れているのだった。
余りにもあからさまの尾行は学校付近まで続いた。その道中、通行人からは奇妙な目で見られていた。その視線をイクマは学園まで耐え続けていたのだった。
八雲学園は東京ドームが千二百個分もの大きさの敷地を有している。その中に、生徒が座学で使う教室をまとめた、教室棟。教官達が待機している、教官棟。各委員会、生徒会の各本部がある、管理棟。各科に対応したものを取りそろえている、特別棟。の四つと、あと簡単な白兵戦ができるグラウンド。グラウンドの中には山、川、谷が存在する。一部では地下迷宮まであるとの噂もある。既にグラウンドとは言えない代物になっていた。
イクマが校門の前まで着くと森の中から白い煙が茂みの方から漂ってきた。
「冷たッ。なんだ、また特開か」
煙は真夏の茹る様な暑さを忘れさせるほどの冷たさだった。その不可解な現象にイクマは特開が原因だとわかった。この八雲学園で起きた不可解な事件は大抵「また特開か」の一言で片付いてしまう。
ナツキの所属する特殊技術開発科、通称特開はその名の通り、最先端の技術開発及びロストテクノロジー等の解明が基本的な目的である。しかしそう簡単に解明・開発ができるわけもなくそのため特殊技術開発科は用途を問わない開発をしている。結果的に歪な科に思われている。
イクマが覚えている中で印象的だったのはキャベツの自動キャベツ千切り機だった。それはキャベツを専用の卵型容器に入れ電源をいれる。すると、ものの二三秒で千切りが完成する。しかしその容器の中に刃は一切ない。最初は何かのトリックかと思って一度イクマが開発者であるナツキに仕組みを聞いたのだがナツキの説明はイクマには到底理解できなかった。ちなみにその自動キャベツ千切り機は天宮家で絶賛稼働中だ。
白い煙の中から一人のよく知っている顔の女生徒が現れた。
「ナツキ、今度は何のテストだ?」
「あ、兄さん。まだ試験段階なので発表は完成してからのお楽しみです」
いつもイクマが質問すると必ずこの返事が必ず返ってくる。
「お前家に弁当忘れて行っただろ」
イクマはカバンの中から花柄の袋で包まれた弁当を取り出した。
「ありがとう兄さん」
弁当を受け取ったナツキは恥ずかしそうに微笑んだ。
「今度から気をつけろよ。で、また何に使うかもわからない発明をしているのか?」
「なにを失敬な。発明にはそれなりの目的があって作られるものです。ちゃんと用途は決まっているんです。」
ナツキは頬を膨らませて怒った。
「ホウ。なら少し前に家に持ち帰って来きた電源をオンにした瞬間にオフにするロボット
はなんの用途があって開発されたんだぁ?」
「その…それはあのぉそんなロボットがあればいいなぁなんて」
「そうかなら――」。
イクマが文句を言おうとするとナツキがイクマの声に被せるように割り込んできた。
「そんな事より兄さん!早く教室に行ったらどうですか?遅刻しますよ。こちらとしても色々と忙しいので邪魔されてはたまらないのですがっ」
イクマは呆れた様に「まぁいいか。朝だから他の生徒達に迷惑にならないようにするんだぞ」と言い残し立ち去った。
「ナツキさま~。おはようございま~す」
校門の方から大きな声で一人の女生徒が大きな声で挨拶しながら近寄って来た。
「何、やってるの燈佳」
「あのゴミ虫が居ないかどうかの確認なのです。いかなる時でもナツキさんをお守りしなければならない義務を持っているのです」
と言いながら燈佳は周りを見渡していた。
「あなた何か罪でも犯したの?それと兄さんさっき行ったよ」
「そうなのですか。あのゴミ虫が目の前を歩いていたので何か企んでいるのではないかと思っていたのです」
彼女は警戒を解いた。イクマが登校中に感じた視線は燈佳のものだった。
「で、なんで今日は何で遅刻したのかしら?」
現在は八時二十五分。特開で予定されていた早朝新作テストの集合時間には大きく遅れていたのだ。
「それはですね…あれですあれ道端にタイムマシンが落ちていてですねそれを解体していたらサルモネラ星人が侵略を始めてですね」
意味不明言い訳を吐いている○○にナツキの怒りは最高潮に達していた。
「キョウノイケニエハ燈佳ダカラネェ?」
「そんなぁぁぁぁあぁぁ」
燈佳は膝を地面に付け体から気力が抜けきっていた。被験者とは特開で発明されたモノの人体実験が必要な場合もしくは安全性のテスト等に実験台にされる者を生け贄と言う。
「ほら機材を片付から手伝って」
「はいぃわかりました…ナツキさん」
二人は茂みに置いてあった機材を持つと特別棟の方へ歩いて行った。
その頃イクマは大きなため息をついていた。
それはイクマの平穏な日常を唯一脅かす存在が現われたからだ。
「おっ!またラブメールかぁ。天宮も大変だなぁ」
机の上には教官からの呼び出し書。通称ラブメールが乗っていた。それは教官から生徒への出頭命令書。出頭内容は様々だが大抵は各種注意・雑用・決闘だがイクマへ来たものはそれのどれにも当て填まらないものだった。
後ろからいきなり声をかけて来たのは。須藤正貴。イクマと同じ指揮科の生徒だ。こいつはイクマとは違い成績は上位で万年二位。万年二位と聞くと情けなく聞こえるが十二分に評価に値する成績ではある。指揮科には堅物が多く、ここまで脳天気な生徒は異彩を放っていた。
「よう、須藤これで何回目だろうなぁ…気が滅入るぜ…」
「そんなに心配スンなって。また松原教官だろ?」
「ああ」
「大丈夫だってまた弄られるだけだろ?」
「ただ弄られるだけならまだいいさ。あの人は俺を殺そうとしている様にしか見えん」
「そんなに酷いのか?」
「ああ一昨日なんて学校の警備システムのテストと託けて狙撃科の標的にさせられたたり、この前なんて放課後から朝まで仮面を付けた連中と鬼ごっこしたこともあるんだぜ?あれはマジで死ぬかもって思った」
「それはまた別のモノに巻き込まれてないか?」
イクマは過去の出来事を思い出した。その記憶は思い出す度に目から涙が溢れてくる。
――よく今まで生きてたな俺。よくやったと褒めてやりたいぐらいだ
「あの人、俺のことを弄るためだけに毎日ここに来ているんじゃないか?」
「あの教官ならあり得ない話ではないかな。まぁ検討を祈る!」
「同情するなら、平穏をくれ」
須藤は俺に向けて完全に崩れきった敬礼をしてきた。
「俺この戦いが終わったら妹と百合の庭園を作るんだ」
俺は何か立ててはいけないフラグ立てた気がした。
教官棟は真新しい教室棟とは違い古い日本建築だ。ココの初代校長が日本人なのが関係しているらしい。
教官棟の前まで来ると、そこにはジャージ姿の女性がイチゴ牛乳片手に仁王立ちで待ち構えていた。
「来たか天宮」
「今回は何の用ですか、松原教官?また俺に警備システムのテストをしろと言うのなら断固として拒否しますよ」
「安心しろ、あれはまだ完成していない。時期に完成する予定ではある。完成したら被害者になってもらうから首を洗ってまっていろ」
「安心できねぇよ!しかもあれ完成があるのかッ?それに今被害者って言ったよな!確実に被害出るようなテストなんだろ!」
――――一度に突っ込み所が多いんだよたく
イクマは心の中で小さな愚痴をいった。
「ターゲットに被害が出ない警備システムなど意味があるのか?」
「警備システムとしてはなんら問題ないが、それを生徒にやれと言うのは十分問題だ!」
「それも問題ない」
「?」
「私はお前の事を生徒なんて一度も思ったことはないからな」
「最低だ!この教官!」
松原雪野・性別女・年齢不明。好物イチゴ牛乳。服装常にジャージ。髪型ショートヘア。スリーサイズボン・キュ・ボン。特技人間を弄ぶこと。趣味・人間の弄ばれた顔を見ること。一説では彼女はSM帝国の女王様なのではないかとの説もある。何の縁か指揮科の担任でもある。
「では本題を話そう。本当はこれを頼みたいのだ」
雪野は大きな封筒を渡してきた。その封筒にはデカデカと極秘の印鑑が押されていた。
「またですか。いつも思うのですが、何が入っているんですかコレ?」
雪野がイクマを呼び出す理由は大きく二つに分けられる。一つは、俺をただ弄び、辱める場合ともう一つはこれだ。
「何度聞いても無駄だ。いい加減学習しろ天宮。お前はこれを指定の人間に届ければいいだけだ。今回はこの生徒に届けてくれ。」
そう言いながら届け先の人物を書いた紙を渡してきた。そこには長い黒髪の少女の写真と名前が書いてあった。
「八雲麗華…で間違いないか?あとクラスが書いてないが…」
「名前は間違いない。クラス?そんなもの自分で調べろ!では今日中までに頼むぞ。」
すると雪野は足早に教官棟の中に逃げて行った。
誰もいない教官棟の前で「わかりました」といつもの用に気だるそうに返事をする。なぜ毎回自分で届けないのか聞きたいが理由は教えてくれないだろう。しかも今回は不可解なことがある。いつもなら、男性だろうが女性だろうがスリーサイズから死亡推定日時まで詳細に書かれた依頼書を渡してくるのに今回に限って顔写真と名前しか乗っていない。
そんなことを思いながらイクマはクラスへと歩いて行った。
「ココテストに出るから覚えておけよ」
「ココって…。なんであんたの娘の写真がデカデカと教科書に載ってんだ!」
「そりゃ当り前だろ。俺の娘だぞ?教科書に載るぐらい当たり前だ。あと最低でも氏名・年齢・特技・マイブーム・好きなものぐらいは書けるようにしておけよ」
「わかるかそんなもん!」
「答えは授業中に言ったが天宮が分からんと言ってるからもう一度だけ言う。波川アリス六歳。特技肩叩き、マイブームお父さんを褒めること、好きなものお父さん!」
「だめだ、完全に親バカだ」
四限の終わりを知らせるチャイムが鳴った。それを聞くと波川教官は立ち上がり挨拶をすませると教室から出て行く。あれが授業、ましてや歴史の授業だとは誰も思わないだろう。
授業も滞りなく終り。昼休みになった。八雲学園は軍育成学校でありながら通常の高校としてのカリキュラムも実施している。週に一度の一日演習以外は午前に通常カリキュラムを午後には各科に別れたカリキュラムを行っている。
「天宮ぁ七限のレポート終わってるか」
「まさかお前忘れて来たんじゃないだろうな?」
「そのまさかさ」
須藤は負のオーラを纏っていた。それもそのはずだ、指揮科の七限の担当は雪野だからだ。雪野はドSの代名詞だ。その雪野の授業で課題を忘れるなんてことをしたらしばらくは学園でのあだ名は犯罪者良くて変態だ。そうなる原因も雪野が体罰としてやらせていることに問題がある。これが原因で学園に来なくなった者も数知れず。
「お前のことはきっと次に米を食べるまで忘れないぜ」
「うんわかった。高確率で忘れるんだな。しかも今日の弁当野菜炒めだろ確実に米入ってるよな」
「お前はエスパーか、なんで俺の弁当が分かった?」
「臭い」
「俺は間違っていた。お前はきっとブタだ」
「ん?なんか言ったか?」
イクマはバックから弁当を取り出そうとした時、バックの中から携帯端末のバイブレーションがなっていることに気が付いた。
「ナツキからメール?」
件名 時間空いてる?
本文 少し相談があるの。兄さん。よかったら昼休みに特別棟の特開の部屋まで来て。
「相談?」
ナツキがイクマに相談があることは珍しかった。彼女から今までに相談を受けたのはこの八雲学園に進学したいと言う相談のみだった。その相談も半分は意志表明の様なものだったので相談とは少し違っていた。そんなナツキが相談をしてきたのだ。イクマは少し動揺していた。
「とりあえず、返信するか。わかった。少し用事があるから遅れる。待っていてくれっとこれで良いな」
イクマはメールに本文を打ち込むと送信ボタンを押した。するとすぐに返信が来た。
件名 待ってる
と書かれただけのメールが返ってきた。
――そうとなれば早めに依頼を終わらすか。でもクラスが記載されてないからな…。クラスがわからんとなればバンクを使う必要があるな。となればまずは図書室か。
バンクとは八雲学園に通う生徒情報を一つに纏めた言わば生徒名簿のようなものだ。図書室にはそれにアクセスできる専用端末が置かれている。
「悪い、須藤」
「おい天宮、弁当も食べずにどこへ行くんだ?」
「色々と用事があってな」
「そうかわかった。先に食べているからな」
須藤に事情を説明した所で俺は図書室に向かった。
教室棟の最上階は全て図書室となっている。
図書室に到着したイクマは週番の図書委員に事情を説明し端末の使用許可を得た。
イクマガ端末の前までくると、端末は人が前に立ったことを感知し、スリープ状態だった端末が起動プロセスを開始した。
「わかっているのは顔と名前だけか…。名前を検索すれば出るだろ」
生徒の検索には何かしらの個人情報が必要になってくる。今、届け先の生徒情報でわかっているのは名前と顔写真だけだった。この端末は画像には対応しておらず、イクマはわかっている名前を入力して検索ボタンを押した。
するとすぐに検索結果が表示された。
――――検索結果[0件]
「え?」
バンクで調べればすぐにわかるだろうと考えていたイクマの予想は裏切られた。
――松原教官は確かに生徒だと言った。ならバンクに乗っていないはずがない。なら他の原因か?名前の入力ミスか?それともバンクの故障か?でも後者は最先端の技術スタッフを完備している、八雲学園なら故障にいち早く気づき迅速に治してしまうのでありえないと言ってもいい。ならもう一度検索してみるしかないか。
再び名前を入力する。今度は再度確認し間違っていないことを確認する。
「よし間違いないな」
イクマ再び検索ボタンを押した。
――――検索結果[0件]
その後、イクマは何度か試してみるものの結果は変わらなかった。
――もしかしてこれも松原教官の悪戯か?でもあの松原教官に限ってこんなくだらない悪戯を仕掛けるはずがない。やるならもっと壮大で性が悪いもののはずだ。ならなんでバンクから検索できない?
しかしここで悩んでいても進展はしないと判断したイクマは携帯端末を取り出し、松原教官に電話をかけようとした。
―――――その時
「ッ!?」
窓の外から雷の様な爆発音と地震の様な衝撃がイクマを襲った。
状況を理解できないイクマは爆発音のした方向の窓に向かい身を乗り出した。外を見ると特別棟の方から煙が上がっていることに気が付いた。
――音の原因はあの辺りか。
その時イクマはナツキとの約束を思い出していた。
「ナツキッ!」
イクマは図書室を飛び出した。
ナツキがまだ待っているとしたら、爆発に巻き込まれてはいないか?そんな疑問がイクマをかき立てていた。廊下にはイクマが走り抜けていく音だけが響いた。
「何もなければ良いんだが…」
イクマが息を乱して走りつくと特別棟の一部が破壊されていた。まわりには既に野次馬が群がっていた。その野次馬達を掻き分け進むと二人の少女が見えた。そのあたりには崩れた特別棟の瓦礫が散乱していた。しかし二人周りだけ瓦礫が一切無かった。
その二人は何人たりとも寄せ付けない空間を作り出していた。それは物理的なものではなく、何も言い表せないものだ。その何かを感じた者たちは近づいてはいけない、近づけないことに気が付いていた。それは危険を警告するものではない。それは自分が劣っていることを自覚させる、相手を自分より高位だと認めることを告げる警告だった。
微かに二人の話し声が聞こえた。
「―――あいつはどこだ」
「貴女誰?兄さんになんの用なの?」
そこに居たのは銃を突きつけられたナツキと――――銃を突きつけている
長い黒髪の少女だった。