第四話 ア⚫️ルって言ったら、違うもんを想像するよな、フツー。
「うまいだろう?! ほら、アナルもうまいから!飲んでみな!」
……まだ前世の記憶が残っている俺としては、その名前は違うものを連想してしまう。
でもこの世界では、そんなことはないみたいで……
しかもこれは、多分人気のあるものらしい。おそらく店の人間だろう若いお姉さんが、「アナル一個おねがーーい!」なんていう声が、たびたび聞こえてくる。
木のコップに口をつけて、ビクビクしながら飲んでみた。
……おお、これは、いける。
オレンジジュースにさくらんぼとかパインとか入れたような……
でも不思議と香りはあまりしなくて、果汁30%のフルーツジュースみたいな、味がする。
「これ、うまいね。……あの、あ、あなるって、なに?」
そう聞くと、おばちゃんはジュースを勢いよく飲んでから、
「いいだろこれ?! すぐ売り切れるから、アンタいいときに来たよ! ちょっと見てみるかい?」
そう言われて、おばちゃんは、さっきの女の子に話しかけに行った。
戻っていたおばちゃん。それと、女の子。
女の子の手に握られた、紫色のスイカのような、まん丸い何か。多分、果物か?
「転生者さん、ですよね! わ〜、わたしも元々転生者だったんですよ〜! こっちの世界はどうですか??」
ニコッと笑って、ポニーテールにしたピンクの髪を揺らしている。
「アナルっていうのは、これなんです! おいしいですか??……このジュース、わたしが開発したんですよ〜!!」
「めっちゃうまいです! これ、前の世界でも人気出たかも!」
そう言うと、えへへ、と笑ってその子はピースをした。
「でもね、これ、生で食べたらダメですよ!……多分、一口で死んじゃう。運が良ければ、手足がなくなるくらいで済むかも。……あたし、こういうスキルがあって……毒性をなくす、っていうのかな?もし転生者さんが毒の魔法かけられたら、うちきてくださいね〜!」
そう言って、女の子は戻っていった。