98.イブIII
二人の、長い、長いキスが終わった。
床に横になったまま、私は瑛祐くんの腕に包まれている。
彼の全身で包み込まれると、なんだかホッとするというか、深い安心感がある。
けれど、密着した体からは瑛祐くんの鼓動がダイレクトに伝わってきて、触れているすべての場所から、私のドキドキも彼に伝わってしまっている気がした。
安心とドキドキ。相反するような感情を楽しむのも、悪くない。
悪くないどころか……いい。すごく、いいよ。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
もう一度、吸い寄せられるようにキスをした。やっぱり心地いい。
瑛祐くん、大好きだよ。
「ねぇ。瑛祐くん……」
「ん、どうした?」
「うん。あのね……」
「どうしたよ。どこか痛い?」
「ううん……瑛祐くんこそ、どこか痛くない?」
「いや……大丈夫だけど。……えっと、なんか、ごめん。当たってるよな」
ええ、当たっていますとも。
密着した太もものあたりに、不穏で力強い感触。
「うん、そうだね……。って、それもそうなんだけど、えっとね」
言いにくいことだけれど、伝えておきたい。
この先ずっと付き合っていくなら、きっと必要なことだと思うから。
「瑛祐くんがさ、『瑛里のペースで付き合っていこう』って言ってくれて、本当に嬉しかった。恋愛初心者の私だから、正直助かったんだ」
「うん。俺も、どうしていいかわからんからさ」
「こうやってくっついて、キスしたり、手を繋いだり。私は、今のままでも充分なんだけど……」
「そうだね。俺も……」
「それは、嘘というか……本心じゃないよね?」
瑛祐くんが、言葉を詰まらせた。
「瑛祐くん。前、『俺ばっかり好きになってる』とか、『自分のことばっかり』って言ってたけど。それは違うよ」
「そんなことないよ。俺は本当に瑛里が好きなんだ」
嬉しい。でも、その気持ちなら、私も決して負けていない。
「ううん。瑛祐くんが思っている以上に、私はあなたが好きなの」
「え……と? それは、嬉しいな」
「だからね。私のペースで付き合うんじゃなくて、『私達のペース』で付き合いたいんだよね」
「瑛里のペースじゃなくて、俺たちの……?」
「うん。私、瑛祐くんと付き合って、キス以上のことをしてもいいかなって考えて、気づいたんだよ」
「キス以上のことか……。確かに俺も、したかったな」
そうだよね。したかったよね。
「私が『してもいいかな』なんて考えるの、なんだかおかしいよね?」
「ん。別に変じゃないと思うけど」
「瑛祐くんが『したい』って言ったわけじゃないのに……」
「いや、でも……」
「瑛祐くん、いっぱい我慢してたでしょ?」
「我慢って……。そりゃ今でも、どうにかしたいって気持ちはあるけど、瑛里のこと考えたら、このままでもいいんだよ」
優しいから、まず第一に私の事を考えてくれる。やっぱり好き。
「うん。私は、まだ、そこまで覚悟できていないけれど……。でもね、瑛祐くんも『言って』いいんだよ」
「言っていい? 何を……」
「瑛祐くんがしたいこととか、希望とか」
「……でも、俺も、どうしていいかわからないし……」
「瑛祐くんは、多分ずっとキス以上のこと、したかったよね?」
「そんなことないって……今のままでも、俺は満足だよ」
でも、私の名前を呼びながら、一人で……ね。
「じゃあさ。瑛祐くんは『今』、どうしたい?」
私は彼の手をそっとほどき、起き上がって座った。瑛祐くんもそれに応じて起き上がる。
私たちは至近距離で、向かい合って座った。
「……このまま、時間が止まればいいのにって思ってたよ」
「嬉しい⋯。私もそう思ってたから。でも、別の瑛祐くんもいるよね?」
だって、男の子だもんね⋯。
「う……まあ、瑛里を抱きたい……めちゃくちゃにしたいとまでは思わないけど、その、もっとキスしたり、胸を触ったり、見たりしたいって……」
「うん。でも私、アレの日だし、めちゃくちゃにされるのは今はちょっと困るし、嫌かな」
「わかってる。だから、このままでいいんだ」
「うん。だからだよ……瑛祐くんがしたいこと、私が良いと思うこと。ちゃんと話していきたいと思ってるの」
結局、私は何が言いたかったのだろうか。
けれど、この後にした「大人のキス」は……っと、これ以上は、流石に内緒ね。
エイジの時は日課みたいなものだったから、上手く出来ると思っていたのだけれど。
……瑛祐くんの、瑛祐くんが、思った以上に大きい。
これはきっと、私の手が小さくなったせい……だよね?
「……デカい。○○○○じゃない、あれは……山だ! 山が動いてるんだ!」
(by 第08MS小隊 とある死神軍曹)
グフカスタムのキット買いました⋯。中古で、箱潰れだけど、定価以上した気がする。
組むのはいつになるやら⋯。
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