95.反省の夜
当然なんだけど、シア大佐によるアクシズ落としが敢行されるわけはなく。
敢行されたとて、サイコフレームが共鳴して、テンパのおじさんが無理やり止めてしまう。
だから私は、ヒートアップしたまま。
「瑛祐くん、これ見て!」
「うん。あ、ここ凄いな」
「あ、この辺『見掛け倒し』で『たいしたことないなぁ』って感じ?」
「ちょっと、見掛け倒しって……」
店長のサムズアップを見て、私はさらに加速する。
「このゾッッグはね、『見掛け倒し』って言われてるの。あとマッガイのパイロットのセリフで『たいしたことないなぁ』ってのがあるのよ!」
……私は、ずっとこの調子だったみたいだ。
気がついたら、駅で「バイバイ」ってして、家に帰って、お風呂に入っていて……そこでようやく、我に返った。
私、水に浸かって冷却されるなんて、本当に水陸両用だったんだ。お風呂だから温水なんだけど……。
って、違う。そもそも泳ぐのそんなに得意じゃない。
って、そういう意味じゃねえ!
水陸両用といえば、ヅゴッグになってシア様に操縦されたい……。
って、ちがーう!
瑛祐くん、違うの。これは浮気じゃないのよ、推し活だから。
もう一度、湯船にしっかり浸かって冷却よ!
……瑛祐くん、怒ってなかったらいいけど。
脱衣所に脱ぎ置かれている、無駄になった「一軍下着」にも、なんだか申し訳ない気がした。
次回ね……いや、もう少し待ってほしいかな。
湯船を出ると、鏡に自分の姿が映し出される。
……大人の魅力はまだまだだけど、綺麗だよね? 胸だって無いわけじゃないし、脚も……。
『見掛け倒し』とか『たいしたことないなぁ〜』って思われたら泣いちゃう。
お風呂を上がると、洸也がゲームをしていた。
「洸也。宿題とか終わってるの?」
「うん、昼間にやった。ねーちゃんゲームやろ!」
「おっしゃ。負けないよ」
瑛祐くんにメッセージを送るべきだとは思ったけれど、ちょっとだけ現実逃避させて……。
数十分後。
「なんか今日のねーちゃん弱い。集中してよ」
「ごめん。やっぱ用事済ませてくる。今日はおしまい」
「はーい。またやろうな」
『……あの、今日は楽しかったね。それと、ごめんね。』
メッセージを送って、しばらくすると、返信が来た。
『俺も楽しかったよ。ジオラマ凄かったね。で、なんで謝るの?』
『あ、いや……なんか私、ずっと喋り倒してた気がして』
『いやいや。それが瑛里だから。わかってるよ』
『……本当にごめん。瑛祐くんが何したいかとか、ちゃんと聞けなかったし』
『まあまあ。そういう瑛里も好きになっちゃったからね』
……うぅ、優しい。
『うん、ありがと。私も大好きだよ』
『じゃあ、この話は終わり。俺もさ、なんか悔しいから、今、初代のテレビ版を最初から観てるよ。映画三部作だけだと、全然ついていけないんだな』
えっ。
『うわ〜、話数めっちゃあるから長いよ!?』
『うん。だから時間かかるけど、待ってて』
『待ってるけど、長い戦いになるよ。ZとZZとνまで見て、ユニコーンか。あと外伝も欲しいな、第08小隊にポケ戦、スターダストまでかな。ブルーとかイグルーまでは……あ、でもブルーのEXAMシステムは知っておいてほしいかも!』
『……えっと。本気っすか……』
あ。またやってる。しかもメッセージだから証拠が残ってしまっている……!
『ごめん! 初代のやつだけでいいです! 期末テストもあるし! ……あ、でも来年クスィーの二部が公開されるから、一部は観ておいてほしいというか。あ、一緒に観よう! 二部は一緒に行きたいもん』
『お、おう。それなら何とかしよう』
『本当に無理しないでね。これで成績落ちたらダメだよ』
『まあ、瑛里と付き合えるんだから、これくらいはね。アニメ見て瑛里と付き合えるなら、クラスの奴らみんな全部見るだろうし』
『瑛祐くんはそんなことしなくても、充分カッコよくて、大好きだから大丈夫だよ』
『カッコいいって言ってくれるの、瑛里だけだけどね』
『そんなことないって! 期末テスト終わったら、クリスマスだね』
『そうだね。クリスマスは前に言ったように、二人でケーキ作るんだよな』
『うん。あと今日の埋め合わせじゃないけど……』
『今日の? ……あんまり、その、イチャイチャできなかったから?』
『うん、まあ、楽しみにしててよ』
これ以上は約束できないよ……。
と言いつつ、意識は引き出しの可愛い下着ラインナップと、以前お母さんからもらった「0.01」の箱に⋯
億が一が、万が一……いや、千が一くらいにはなっちゃった、かも。
個人的には、スターダストメモリー結構好き。
「なろう小説よ。私は帰ってきたー」
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