83.思った以上に
これ、思った以上に密着するね。
二人三脚の練習中に、そんなことを思った。
肩に手を回されて、私の手は相手の腰。側面はべったりとくっついた感じ……。
瑛祐くんの息遣いがすぐそばで聞こえる。
それでいて、意識しすぎて上手く走れないや。
西野美佳さんと久野毅彦君は、幼馴染カップルらしくて息ぴったり。
ゆかりと佐伯君は……ゆかりがほぼ宙に浮いている。佐伯君のパワーでめちゃくちゃ速い。
これで勝てるな。
ゆかりが振り回されて、大丈夫かなって思ったけど、楽しそうでめっちゃ笑ってる。
問題は、私たちと「新規カップリング中」のあのペアだ。
「あ、ごめん。あんまり触れたくないよな」
渡瀬君が気を遣う。
「いえ。大丈夫です。渡瀬君なら、いいですよ……」
白川優香さん、真っ赤になって可愛すぎる。それに声が小さすぎるよ。
「うん、ありがとう。でも俺、汗臭いし……」
「そんなことないです……」
見ていてもどかしいけれど、なんだか良いものを見せてもらっているな。ドキドキがこちらまで伝わってきて……。白川さん、いつもはクールで隙がないのに、なんだかフニャッとしている。
「優香が可愛くて、なんか良いでしょ。まあ、瑛里たちも似たようなもんだけど……」
ゆかりが話しかけてきた。そういうあなたは、既に大人の階段を登って、熟年カップルみたいですけれど。
体育祭本番。午前中最後のプログラムが、二人三脚だった。
第一走者は、私たちの瑛里・瑛祐くんペア。なんとか息も合って、三位でタッチ。
密着具合にドキドキしっぱなしだったけれど、なんとか責任は果たしたかな。瑛祐くんも満足そうだ。
「まずまずうまく行ったね」
パチッとハイタッチ。うん、なんだか清々しい。
第二走者は、美佳と久野君。これは息ぴったりで、二位に順位を上げた。
練習の時に「私たち友達だもんねー」と眩しい笑顔を向けられて以来、名前で呼べるようになった。
優香からも「友達だから、呼び捨てしてくれると嬉しいです」と言われて、鼻血が出そうになってから、優香と呼べるようになった。
こんな美少女たちと友達になれるなんて、前世では考えられなかった。それだけでも、瑛里になってよかったな。
第三走者は、佐伯君が爆走。これじゃ二人三脚じゃないけれど、一位で戻ってきた。二位とは差がついている。これなら行けるかも。
第四走者は、渡瀬君と優香。二人はお互いに気を使いながらも、必死に走っている。
思わず「頑張れ」と叫びたくなる。こうなったら前世が何だとか言ってられない。おじさんは、少女になるのよ!
「優香〜! がんばれ〜!」
ゆかりと美佳と一緒に応援する。
二位のペアが迫ってくる。もうすぐゴールという時、優香が躓いてしまった。
「「「あっ!」」」
と思った瞬間、渡瀬君が片手で優香を支え、そのまま倒れ込みながらゴール。自分の体を下敷きにして優香を庇いきり、一位を守り抜いた。
百点満点だよ、渡瀬君。今だよ、告っちまえ!
「白川。大丈夫か? ごめん、支えきれなかった」
「あ、いえ。渡瀬君こそ。庇ってくれてありがとうございます」
立ち上がり、筋肉だるま(渡瀬君だよ)についた砂を甲斐甲斐しく払う美少女。
いい。すごく、いい!
お昼ご飯は、例によって私が作ったお弁当を二人で食べた。美味しかったね。
午後の応援合戦は、岸川紗友里さんが大活躍。ギャルなだけあって?、とにかく声が大きい。
三組のAチーム、体育祭でも大活躍である。
最後の選抜リレーで、盛り上がりは最高潮に達する。
第一走者は、瑛祐くん。ビリだったけれど、運動部に混じってよく頑張った。私だけは褒めてあげよう。
第二、第三走者の久野君と佐伯君はやっぱりめちゃくちゃ速かったけれど、僅差の二位でアンカーに。
今日の主役は、やっぱり渡瀬君だった。
筋肉でゴツくて見た目は遅そうなのに、ラグビー選手なだけあって速いんだよ。
おまけに、学年ナンバーワン美少女の「渡瀬君、がんばって〜!」という声は、他クラスの戦意を削ぐ。
男の子なら、誰も優香に嫌われたくないもんね。
でもな、お前ら。ここは死に物狂いで阻止する場面だったぜ。
なぜなら、勝った漢を止められるものはもういないんだから。
一位でゴールした渡瀬君は、そのままクラスの前まで爆走してきた。
しばらく皆で渡瀬君の筋肉をパチパチ叩いて遊んでいたのだけれど。
「はい、みんな道空けて〜」
ゆかりたちが交通整理を始めた。
見せてもらおうか、渡瀬君の告白とやらを⋯!
渡瀬君の前には、白川優香さん。
「あの……俺と、付き合ってくれますか?」
茶化す声は大きいが、真っ赤になって頷く美少女がそこにいた。
良いものを見せてもらいました。
っく、渡瀬君の○○○○はバケモノか!
ブックマーク登録や下側の「☆☆☆☆☆」をできるだけ★いっぱいにして頂けるとめっちゃ嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。




