82.私は女子高生モデルの瑛里。それ以上でもそれ以下でもない!
朝、彼氏と自分のお弁当を作る。
駅に着けば彼氏が迎えに来ていて、一緒に学校へ行く。
隣の席で一緒に授業を受け、
お昼休みは手作りのお弁当を食べる。
放課後は一緒に帰って、共通の趣味に没頭する。
家に帰っても、彼のことを考えながら眠りにつく。
……なんだか「彼氏」って呼ぶと、トクベツな感じがする。ふふふっ。
週二回のバイトは雑誌のモデル。たまに編集の手伝いもしたりして、凄く面白い。
家では弟の洸也とゲームを楽しみ、お母さんの手伝いやお父さんの肩もみをする。
ゆかりという親友までいて、毎日が本当に楽しい。
前世が四十代の男だったことなんて……もう忘れそうだ。
でも、瑛祐くんのおじいさん、アキラさんとの思い出だけは大切な宝物。これは忘れられないけれど。
――今の私は、女子高生モデルの瑛里。それ以下でも以上でもない!
なんて思ったり。
――私は、エイジではない。
なんて言い聞かせたり。
でも、たまに思うのだ。
――悔しいけど、僕は(元)男なんだな……。
瑛祐くんへの想いにブレーキをかけるのも、おじさんの記憶。
けれど、「好きなら仕方ない、行っちゃえ! 瑛祐くんも待ってるぞ」とアクセルを吹かして煽ってくるのも、おじさんの記憶だ。
なんたって、お祭りの時に『どうしたいんだよエイジ!』と自問自答した時にキスしちゃったしね。
……エイジさんは、この恋を進めたいらしい。
まぁ、いちいちロボットアニメのセリフを被せている時点で、普通の女子高生ではないのだが……。
.....。何か言った?
九月は、プラモ製作と体育祭だ。
プラモ製作は、順調そのもの。
「瑛里は手際がいいよな」
「まあね。料理の時と同じ感覚かなぁ」
なんて褒められて、嬉しくなったりする。
ゲート跡消し、素組み、下地コーティング、デカール貼り、そして基本的なウェザリング。一通りのことはできるようになったので、二人で協力してどんどん作業を進めていく。
「二人で協力して」というのがいい。楽しい。
教えてもらってばかりだった「過去の瑛里」ではないのだよ。人は成長するものだ。
「思った以上に任せられるね!」
「そうかな。だといいんだけど」
褒め言葉だよね?しっかり受け取らせてもらうよ。嬉しい。
「じゃあ、俺は……」
瑛祐くんは組み上がったプラモを机の上に置き、奥の部屋のさらに奥、仏壇のある部屋へ入っていった。
ちなみに、この家は3DK+アトリエ。一階はアトリエ、ダイニングキッチン、仏壇の部屋、瑛祐くんの部屋。二階にもう一部屋あるらしい。
エイジの時、たまに仏壇の部屋で仮眠させてもらったな。「恋人ごっこなら朝帰りしないと」なんて言いながら、結局夜通し飲んでいただけなんだけれど。
それはさておき、瑛祐くんが線香を持って戻ってきた。
「はんだごてを使うやり方もあるけど、俺はこっちの跡の方が好きなんだよな」
アトリエに線香の匂いが充満する。
「よし、このへんかな」
彼は、出来上がったアッガイの足の部分に、線香の火を押し当てた。
線香の香りは、プラスチックの焼ける独特の臭いに上書きされていく。
せっかく作ったプラモを……!
「えっ、何やってるの!?」
「いいから見てて」
いくつか穴を開け、さっとゴミを払う。すると……。
「ほら。何かで撃ち抜かれた跡みたいだろ!」
……私のハートは、もうアナタの何かに撃ち抜かれていますが。
「ホントだ……すごい」
「これに、仕上げで色をつけていくと……」
瑛祐くんは綿棒やスポンジを器用に使い、様々な色の塗料を擦り付け重ねるように仕上げていく。
「すごい、すごい……」
手際が良くて、本当に綺麗だ。
「よし、これで弾痕に見えるだろ!」
「ダンコン……あ、本当に撃たれた跡みたい!」
瑛祐くんのドヤ顔すら、可愛くて愛おしい。
……「弾痕」。漢字が一瞬だけ「男根」に脳内変換されたのは、内緒。
こんな不純な(元)おじさんの発想、純粋な少年の彼女としてふさわしくないもん……。
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