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75.誕生日


九月に入ったけれど、まだまだ暑い。


五十年前はこんなに暑くなかった気がするな。地球を冷却化するために、アクシズ落としを敢行せねば……。でも隕石が落ちたら、そもそも生きていられないか。粛清だもんね。


制服を着るのは久しぶりだ。


五十年前はセーラー服が多かった気がするけれど、今はシャツにリボンを付けてスカートというスタイル。これもまた、カワイイ。

セーラー服着てみたかったと思うけれど、セーラー服じゃないので、「脱がさないで」なんて歌わなくて済むな……。



駅に着くと、瑛祐くんが待っていた。

今日はお弁当がないよって言っておいたけれど、待っていてくれた。

最初の頃は、私じゃなくてお弁当を迎えに来ていたよね。なんて言って笑うと、

「そんなわけないだろ。俺は最初から瑛里を……」

「でもさ。推し投票は白川さんだったんだよね〜」

「っく、その話はもうしないでくれ……」

なんて言い合って笑う。誰だ、九月一日が一番憂鬱な日だなんて言ったのは?


……楽しいじゃないの。


「瑛里〜、おはよ」

ゆかりと佐伯くんに会う。

すっかり友達になれた。もう親友だよね。

ゆかりのカバンを見ると、あの時一緒に買った猫のキーホルダーが付いている。私も付けている。

「ふふっ、お揃いだね」

「うん、えへへ……」

私、もうボッチじゃない。


教室に入ると、

「おはよ〜、瑛里。久しぶり」

誰かから声をかけられた。西野美佳さんかな?

「夏休み、どうしてた?」

ん、なんと答えれば良いのかって思ってたら、ゆかりが、

「プール、一緒に行ったね」

って言ってくれた。

「ねー」

なんて次々に話しかけられた。上手く受け答えできているかは不安だけれど、適度にゆかりがフォローしてくれる。


瑛祐くんと付き合っているというのは、まあ、あえて言わなくてもいいかと思ったり。

始業式が終わり、教室でのホームルームの後、解散となった。


『一緒に帰る?』とメッセージを送ると、

『おぅ。駅まで行こうか』と返信。

あれ? 今日は「アトリエに来る?」とは言わないのかな。


瑛祐くんが教室を出ていくのに付いて出る。

ゆかりは他の友達と遊びに行くようで、出ていこうとする私に

「瑛里も……あ、いいか。じゃあね!」

「うん、このまま帰る。じゃあね」

自転車を挟んで歩く。朝は会話が弾んでいたのに。

「みんな久しぶりだったね」

「うん。まあ佐伯とか平川には会ってたけどな……」

「ははは。プールとか、夏祭りの時か……」

イマイチ盛り上がらない。

「今日は、何か用事あるの?」

聞いてみた。

「用事ってわけじゃないけど……」

「あれ? 今日は行かないほうがいいのかな。私は暇だったから、お昼ご飯を作りに行こうかなって……」

「……ごめん。なんか今日は、気分が……」

「あれ。調子悪かった? ごめん」

「いや、そういうわけじゃないんだけど……」


なんだか煮え切らない。でも、気持ちが落ち込む時ってあるよね。

彼女としては、そういう時こそ一緒にいてあげたいとは思うけれど……。

……「彼女」。自然と、自分のことを彼女だと思ってしまった。


じゃあ、カバンの中身は今渡そう。

「はい、これ」

「ん? なにこれ」

「クッキーとザフのアクセ。私のとお揃い。赤いほうもらっちゃったけどね!」

彼女としては、これくらいのワガママ可愛いでしょ?


「ありがとう。って、なに……」

「今日、誕生日だよね。誕プレだよ」

「……。あ、曜一朗サクラねーちゃんか。佐伯も知ってたかな……」

「ごめん。勝手に聞いちゃって」

あれ……。なんだろう、大好きな彼女から誕生日プレゼントをもらった顔じゃないよ。……大好きだよね?

なんだか、すごく辛そうだ。


瑛祐くんの手を取って握る。少し冷たい⋯

「嬉しいよ。うん……嬉しい。ありがと」

「何かあった?」

「いや、何でもなくて……。やっぱ、来る? ヅゴッグ、仕上げないとだね」

「いいの?」

「うん。俺の問題だと思ったから一人になろうと思ったけど、やっぱり瑛里には聞いてほしいかな」

「おう。何でも聞くぞ! じゃあさ、お昼ご飯の材料、買っていこう」

瑛祐くんの手の体温が少し上がった気がした。


お昼ご飯はチャーハンにした。

ご飯は炊いた時に余ったのを冷凍してあるので、具材をいくつか買ってアトリエに向かった。


「やっぱ、瑛里のご飯は美味いな。じーちゃんの味付けに似てるし……」

まあ料理に関しては、アキラさんはエイジの弟子だったからね。

「ありがと。って、え……」

瑛祐くん⋯泣いているの?


「今日は、俺の誕生日ではあるんだけど……」

涙を拭いて、瑛祐くんは話し始めた。

瑛祐くんの涙の理由⋯。

気になる方は、ブックマーク登録や下側の「☆☆☆☆☆」をできるだけ★いっぱいにして頂けるとめっちゃ嬉しいです。


これからもよろしくお願いします。

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