表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/97

74.セルフ式バーニア


今日で八月も終わり。夏休みも終わり。


「瑛里ちゃん、夏休みは来てくれてありがとう。モデルのお仕事もそうだけど、他にもいろいろ手伝ってくれて助かったわ」


編集のサクラさんがねぎらいの言葉をかけてくれた。

パッと見はイケメンのお兄さん。中身は私よりも断然乙女な、瑛祐くんの従兄弟⋯いや、従姉妹。


「いえ。勉強になるし、楽しかったです」

「それはそうと瑛里ちゃん、最近めっちゃ可愛くなっているわね。以前はクールな表情が良かったんだけど、表現が広がっていて使い甲斐があるわ。高評価よ」

「ありがとうございます」

「瑛祐とも順調みたいね。夏祭りの時の、瑛里ちゃんの恋する眼差し。良かったわよ。ほら、これプリズムのインスタに載せてるやつ」


例によって自分では別人に見えるけれど、確かに可愛く撮ってくれている。

「ちょっと恥ずかしいですね。あ……サクラさんに聞くのも変な話なんですが」

「ん? なに、答えられることなら何でも聞いて」

「瑛祐くんの誕生日って、もうすぐなんですか?」

「え? あの子、言ってないの。そうね、確か明日じゃなかったかしら。……あ、やっぱりそうだわ。一年で一番憂鬱な日。二学期が始まる日だったから憶えてるわ。それと⋯、いやそれは良いや。明日よ」

「明日……! 急だなぁ。でも、過ぎてなくて良かったです」

サクラさんのちょっと引っ掛かる言い方は気になったけど。今思えば、この時ちゃんと確認してれば良かったのか⋯。


プレゼント。何が良いのかな。


やっぱり「ア・タ・シ」が一番なんだろうけれど、まだそこまでの覚悟はできていないし。

うー、なるようになるのか?

この前お母さんにもらった「0.01」を差し出して、天井のシミでも数えていればいいのかな。でも、瑛祐くんだって初めてだろうし。上手くできないかもしれない⋯。


……ちょっと待とう。落ち着け。

ネタにされていただけで、瑛祐くんだってまだそんな気はないかもしれないし。


高一の時……もう五十年前になるのか、男だった俺と友達はみんな、……盛っていた。

いやいやいや、今の子はそんなんじゃない、よね?


ひとまず、帰り道におもちゃ屋でザフのキーホルダーを買った。自分の分も買ってお揃い。


私のは、当然シア専用の赤いザフ。

瑛祐くんには、量産型の緑のザフ。


ふふふ、気に入ってくれるといいな。

あとは、「ア・タ・シ」的な、何かをしてあげたいとは思うのだけれど……。


とりあえずケーキを焼く? でも持っていくのが難しいか。明日は始業式だけだからお弁当もないだろうし。

……クッキーでも作っていくか。



お菓子作りは、単純作業で余計なことを考えなくて済む。

家に帰り、晩ご飯の後にクッキーを焼いた。

「あ、ねーちゃんのクッキー! いただきー」

洸也につまみ食いされたけれど、いっぱい作ったから大丈夫。

「どう、洸也。おいしい?」

「ウマい! ねーちゃんのクッキーが不味かったことなんてないよ」

嬉しいねえ。洸也君大好き。

「あ、お父さんもお母さんもどうぞ」

「夜はあんまり食うと良くないんだが……美味い。瑛里、流石だな」

お父さんは上機嫌だったのに。

「明日、瑛祐くんに持って行くの?」

ってお母さんが聞くもんだから、

「うん。なんか誕生日らしい……あ」

お父さんのご機嫌がみるみる悪化する。


「ふーん。そうなんだ。親には祝ってくれたことないのに……」

何その「親にもぶたれたことないのに」みたいな口調。ていうか、いつもやってるじゃんね。

「なにそれ。いつもケーキ作ってるじゃん。もう作らないよ?」

「あ、ごめん。……って、なんで俺が謝ってるんだ。じゃあ……」

「うん。お父さんの誕生日は、もっと豪華なケーキにするからね」

「おぅ。楽しみにしておくよ」

……。ご機嫌が直った。これなんて言うの、チョロい?


クッキー作りで思考を先延ばしにしたけれど、お風呂に浸かったら、また考えが回りだした。

お風呂なので、当然、裸である。鏡に映る自分の姿を見る。キレイ…だよねぇ。変じゃないよね!


問題はいくつかある。まず、瑛祐くんがこの姿で興奮してくれるのか。

エイジである私が思う。男の子なら好きな女の子なら、どんなでも大丈夫だよ。


また、この身体が瑛祐くんを受け入れられるかどうか?

エイジである私が思う。……それは、知らん。

⋯⋯役立たずめ!


エイジの時は溜まるものがあって「日課」があったけれど。

瑛里になってから、やり方も分からなければ、気持ちいいとかも感じなくて……どうなんだろうね。


瑛祐くんの笑顔。繊細な手。そして、優しい声。

昨日、奥の部屋でしていたこと。

気持ちの良いキス。


ん? ちょっと……。あれ……?


瑛祐くんを想いながらだと、なんだかフワフワしてきた……。



その後の事は、ご想像にお任せします⋯。


ブックマーク登録や下側の「☆☆☆☆☆」をできるだけ★いっぱいにして頂けるとめっちゃ嬉しいです。


これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ