72.プレゼント選び
もうすぐ夏休みも終わり。
ヅゴッグの汚し塗装も順調に進んでる。塗料をさっと塗って、拭き取ると本当に土汚れがついたみたいになるんだよね。なんかプロっぽくて良い。
腕が上がってきたね!
でも、今年の夏休みは充実してたな。バイトにプラモ作り、遊園地、プールにも行ったし、夏祭りも。
初めての彼氏……。
初めてのキス……。
うわぁ~、自分で考えるだけで恥ずかし……!
そして今日は、ゆかりとデートです。
女子高生って、何して遊ぶのかな?
楓さんが、夏祭りのお礼に新作サンプルをゆかりにプレゼントして欲しいと言ってきたので連絡したら、ショッピングに誘ってくれた。
ショッピングモールの待ち合わせ場所に、ちょっとお洒落でカワイイ女子が。このコ、最近垢抜けてきて、どんどん可愛くなっていくな。
「ゆかり、おはよー」
「あ、瑛里〜。今日はありがと」
「うん。あ、これ」
楓さんから預かった包みを渡す。早速開けて中を見て、
「すごくカワイイ……。嬉しい」
「良かった。楓さんも喜ぶよ」
「亮くんがね、誕生日なんだ。プレゼント何にしようか考えてて」
あの百人斬り男か……。背の高いイケメン、一年生ながら剣道全国八位の実力。ただ、百人斬りの男。油断できない。プレゼントよりもゆかりの為に、男性用貞操帯が必要なんじゃないか。
「運動部だからねぇ。タオルとか?」
「うーん、どうしよ……」
ってか、こんな可愛い彼女がいるだけで十分だろうに。
あ、でも、ゆかり自身はインターハイのご褒美に頂かれちゃってるのか。百一人目として。
――誤解のないように言っておく。ゆかりの彼氏の佐伯君。百人斬りというのは、中学の時に絡んできた不良共を根こそぎやっつけたために尾ひれがついた噂で、女性経験はゆかりで二人目です。このバカ娘が、百人斬りと聞いて「中学で百人の女の子を抱いた」と勘違いしているだけなんです。
……何か言った?
天の声的な? まあいい。
「難しいな」
好きだからこそ、何をあげれば喜ばれるか気になるよね。でも、好きなら何でも嬉しいものだよ。
プレゼントは「ア・タ・シ」ってのが一番なんじゃないかねぇ。
って、また出てきたなオッサンよ。じゃあ聞くが、男の時、何をもらえば嬉しかった? やっぱ、
「ア・タ・シ、だよなぁ」
ヤバ、口に出ちゃった?
「ん? どうしたの?」
ゆかりが心配そうな顔で覗き込んでくる。セーフか。
結局、ゆかりはタオルとかの部活で使える小物を買った。
その後、二人で雑貨屋をぶらぶらして、お揃いの猫のキーホルダーを買った。
「これ、スクバに付けようよ!」
「あ、良いね」
こういう「お揃い」って、女子っぽくてなんだか照れるけど、すごく嬉しい。
それから「プリクラ」も撮った。
今のプリクラって、目がデカくなりすぎて別人に加工されるんだよね。画面の中でポーズを指定されて、あたふたしながらピースする。
「瑛里、もっとくっついて!」
「う、うん」
あ、ゆかりからいい匂いがする。くっつくと、柔らかくて気持ちいい。
プリントされたシールを見て二人で大笑い。加工されすぎて、私の顔がもはや宇宙人みたいになってる気がするけど、ゆかりはさらに可愛く写ってる。
めっちゃ楽しかった。あぁ、私、本当に女子高生やってるんだなぁ……。
カフェで休憩。
「あんまり、良いの選べなかったな」
「ごめん。私もセンスなくて……」
大体、あの百人斬り男が何が欲しいかなんてわからん。
「まあ、何かシテあげようかな」
シテあげるとは?
ゆかりは自分の胸を両手で寄せる仕草をして、
「挟んであげる……とか」
「ぶぅー! 変なこと言わないの」
とは言え、ゆかりは真面目な顔だ。
「もうちょっと(ボリュームが)あればな〜」
いや、私のよりデカいし、なんとかなるんじゃないかな。
「めっちゃ喜んではくれそうだけどね……」
としか言えない。男の夢が叶うんだ、嬉しいに決まってる。
「そうだよね。よし」
何が「よし」かはわからないが、決意を新たにするゆかり。
うん、胸でシテもらうのは男の夢だから、きっと大丈夫だよ。
「そういえばさ。藤井君もそろそろ誕生日なんじゃないの? 亮くん言ってたよ、俺と誕生日近いって……」
「へ?」
マジか。明日、聞いてみるか……。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誕生日プレゼントって、どうしようか迷いますよね。
そもそも、相手いなくて迷うことすらできないって説アリですが⋯
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これからもよろしくお願いします。




