70.さらにできるようになった!
ご飯を食べて、作業を再開。
たまに「ここ、どうやるのが良い?」「ここは、こうかな」なんてやり取りをしながら。
ヅゴッグは腕と脚が節みたいになっていて、今までとちょっと勝手が違う。向きとかが大事なんだよね。
あと、頭がデカくてカワイイ。
このへんの感じ方が、以前と違う気がする。格好良いと言うより、カワイイって思っちゃう。可愛いは正義よ!
楽しい時間はすぐに過ぎる。気がつくと薄暗くなってきた。
「じゃあ、帰るね」
座っている瑛祐くんに言うと、顔を上げる彼にそっと近づいて、
チュッ、と。
「おっと、ビックリしたよ……。送っていくよ」
キスしやすいように唇を作っておいて、ビックリとは何だよ。
「外だと、誰が見てるか分からないからね」
身内には、もう見られたくない……。
「……だ、大丈夫だった?」
「ん? 何が?」
「いや、なんでも無いんだけど……」
改札で手だけ合わせて、「じゃあね。明日もまた来ていい?」「うん、良いよ!」と言い合って電車に乗った。
手を合わせるだけでも、幸せだなと思った。
*
次の日。
一旦、ヅゴッグの素組みが完成した。
うん。このままでもいい感じ。カワイイのができた。
さらに、できるようになったな、エリ!
「お、できたね。早い」
「ふふふ。なんてお上手なんでしょう」
組み上がったヅゴッグを真剣な眼差しで見つめる瑛祐くん。
あんまりちゃんと見られると、ランナー跡を消したところとかの「エイっ」てやっちゃった所、アラが見えちゃう……。
仕方ないので、ほっぺにチュッ、と。
「うぉ……」
ビックリしてこっちに顔を向けたので、そのまま唇と唇を。
今回は長めに、きゅうっと。
ちょっと息が苦しい⋯。息してもいいのかなぁ⋯。
「えっと……もういいかしら」
声がして、バッと離れる二人。
か、楓さん……!
私の父親に続いて、今度は彼氏の母親に……。キスしているところを見られるなんて。
もう、終わった……。二度目の人生、短かったな……。
「なんだよ。何の用?」
お、瑛祐くんが開き直って怒っている。
「用がなきゃ来ちゃダメなのかしら?」
「そんなことはないけど」
この場面で、私には顔を上げる勇気がない。
「今日、お墓参りに行くって言ってたじゃないの」
「あ……」
「まあ、彼女に浮かれて、育ててくれたパパのことを忘れるなんて。そんなコに育てた覚えはないんだけど」
「ご、ごめん。ホントにごめん」
「まあ、あなたは瑛里ちゃんとイチャイチャするのに忙しいだろうから、私一人で行くけど……」
「だから、ごめんって……。あの、瑛里……」
こっちに向き直る瑛祐くん。
「あ、お墓参りか。仕方ないね……」
「ごめんな」
「大丈夫だよ、瑛祐くん。さっきから謝ってばかりだね」
『君は、謝ってばかりだな』
ふと、アキラさんの優しい声を思い出した。
「まあ、その優しいところが、エイジくんの良いところだけどね」
って、いつも言ってくれたなぁ。
「あのぅ……」
息子さんとキスしていたところを見られた後ろめたさと恥ずかしさはあるけれど、思い切って楓さんに話しかける。
「どうしたの? 瑛里ちゃん」
良かった。声が優しい。私には怒っていないみたい。
「私も、お墓参りについて行ってもいいですか?」
一度、しっかりと手を合わせておかないと。
そう思ったんだ。
お墓は、歩いていける距離にあるらしい。
三人で並んで歩く。……瑛祐くんと楓さんの間に私。
前のお寿司屋さんでも思ったけれど、二人で私を挟むのはやめて欲しい。
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