表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/96

66.花火


Kaedeのイベントは無事完売になり、幕を閉じた。

が、完売になったことで裏方はその処理が大変である。ブースの撤去作業もあるし、夏祭りでの展示の片付けもある。


そう、仕事はこれからなのだ。


プリズムで編集の手伝いをしている私も、当然のように駆り出された。ゆかりはこれで終わり。羨ましいけど仕方ない。

「ゆかり、ありがとうね。後は佐伯くんと上手くやってね」

「うん。すごく楽しかった。また誘ってね」


上手くヤッてね……じゃないけれど。

でも、楓さんの思いとは裏腹に、着付けの手間が大幅に無くなっているこの浴衣なら、一度脱いでも大丈夫……?


ゆかりとアイコンタクトを交わす。


何が大丈夫かはわからないが、あんなイベントがあったんだ。まあ、仕方ないでしょ。きっと……いや、絶対にスルよね。若いんだし。


私と瑛祐くんは、アンケート等の書類整理。

「終わったら、あなたたちは、お祭りに行ってきてもいいわよ」

「あ、でも楓さん。撤去が大変なんじゃ」

「そうね。じゃあ花火が終わったら戻ってきてくれると助かるわ」

自然と顔がニヤけてしまう。隣を見ると、笑顔の瑛祐くんと目が合ってしまった。

「「はい!」」

花火が始まって終わるまで、あと2時間くらいか。

あんまり楽しめないかな……なんて思っていたんだけど。


「あ、瑛祐くん。焼きそば食べよ。たこ焼きのほうが良い?」

「うーん。どっちもいこう。バイト代もらったし」

右手に焼きそば、左手にたこ焼き。瑛祐くんには、リンゴ飴と焼きもろこしを持たせている。

これじゃあ手が繋げん。

「……一旦食べようか?」

「……うん」


「美味しいね」

屋台の味付けで、本当に味が美味いかと言えば、まあまあ。でも本当においしい。そうだね、料理って味とかじゃないんだよね。


「ウマいけど、俺はやっぱり瑛里のご飯の方が良いけどね」

体の内側がなんだかモゾモゾっとする。嬉しい限りですね。

「次何する?」

「まあ、瑛里と一緒ならなんでも良いけどね」

「じゃあ、お化け屋敷かな」

沈黙。

「マジか。そんなのあるのか?」

「冗談だよ、ごめんね」

「なんだよ〜。その冗談はシャレにならんから……」

「でも、私に抱きつけるチャンスだよ!」

そう言って笑い合う。

「ま、そんな事なしに抱きついてくれても良いんだけどね」

「ん? なんか言った?」

「なにも〜」

聞こえなかったみたいね。よかった。

「金魚すくいしよ?」

「じゃあ瑛里、やってみなよ」

お、金魚すくいのエーちゃんと言われた(自称)俺の腕を見せてやる。


ビリっ。あれ?

……エーちゃんの腕は、錆びついていました。

「お嬢さん。可愛いから一匹サービスだよ。どれでも選んで」

「え、じゃあ……これ」

当然、赤い金魚だよね。

「あ、でも持って帰れないか……」

「大丈夫だよ。俺も昔持って帰って、じーちゃんに飼ってもらったから。水槽とかあるよ」

おお。流石はアキラさんだ。


でも、やっぱり瑛祐くんは優しいね。


ドン、ドーン。

「花火が始まったみたいだね」

花火は、広場から見えるようになっていた。

「きれいだね」

「うん」

花火より君がキレイだ、とか言わんのかな。

でも本当にそんな事言う奴いたら、めっちゃ怪しいかもしれん。


ドーン。

ドドドド。

二人無言で花火を見る。

不思議な時間だけど、同じ時を生きているって実感が湧く。


エイジじゃ無くてエリが、アキラじゃなくエースケと生きてるんだよ。


典型的なラブコメだとキスしたりするのかな。

でもな〜。実際には、手を繋ぐので精一杯。キスもコツっとしたのが一回だけ。


繋いだ手の先を辿っていく。それは自分の一部のようだけれど、腕、肩、そして顔。

花火に照らされた君の横顔を見ていた。なんて小説の一文があったかもしれないけれど。

「ん……」

瑛祐くんの言葉が、花火の音で聞こえない。「キレイだね」とか言ったんだろうか。なら、私も言っても良いよね。耳元で。

「大好きだよ!」

と呟いた。


今まで、過去の記憶を邪魔だと思ったことは無かった。

40歳の男の記憶は、確かに私のもので、私の一部だったから。

「瑛里のペースで付き合っていこう」

と言ってくれたけど、すごくありがたくて助かったのは確かだ。


私のペース……。私の気持ちにブレーキをかけている、この記憶。

瑛祐くんの想いに応えたい気持ち。

私が瑛祐くんを求める気持ち。


エイジよ。俺はどうしたいんだよ……。

瑛里ちゃんのペースをアップさせたい方もこのまままったり楽しみたい方も、ブックマーク登録や下側の「☆☆☆☆☆」をできるだけ★いっぱいにして頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ