46.遊園地デート
結論から言うと。
アトラクションは、凄すぎた。
入る前は心の中で、「見せてもらおうか、連邦の新しいアトラクションの性能とやらを」なんて余裕をぶっこいていたけれど。
……ええい、このアトラクションはバケモノか!
終わった後は、ただただ絶句してしまった。
「凄かったな……。」
「うん……。」
感動のあまり、二人して口数が減ってしまう。デートコースとしては盛り上がりに欠けるのかもしれないけれど、繋いだままの手からは、お互いの興奮がダイレクトに伝わってきた。
瑛祐くんはメカの解説パートで手に力が入り、私は原作の名セリフが流れるシーンで「おぉ……」と感極まる。
言葉にしなくても、繋いだ手で会話しているみたいで、なんだかすごく嬉しかった。
「……なんか食う? 腹減ったよな。」
「あ、ピクニック広場があったと思う。そこに行こう」
「うん。じゃあ、売店でハンバーガーかなんか買おうか」
「サンドイッチ、作ってきたよ。ポテトとかドリンクだけ買わない?」
今朝、楽しみすぎて早く目が覚めてしまい、居ても立ってもいられなくて「心を落ち着かせる儀式」として作ったやつだ。
小学生の遠足か、と自分にツッコミを入れたけれど……実際、当時の遠足とは比べものにならないほど楽しみだったんだから仕方ない。
「え、マジで……? すげぇ嬉しいんだけど!」
瑛祐くんが、今日一番じゃないかってくらいの笑顔を見せた。アトラクションよりテンション上がった?
「ははっ、喜んでくれて良かった。」
「いや……夏休みに入ってから瑛里の弁当が食えなくてさ。無性に瑛里の料理が恋しくなるんだよ。」
……嬉しいことを言ってくれるじゃない。
もう立派な『瑛里ちゃん弁当中毒』だね。私も、この笑顔を見ないと一日が物足りなく感じるようになってきているけど…。
「言ってくれたら、いつでも作っていくよ」
「ホントに!?」
広場は親子連れが多く、カップルは少なめだった。日除けの下のベンチに座り、サンドイッチと買ってきたポテトを広げる。
「美味い……! ポテトより断然こっちだな。」
「もう、ポテトも美味しいって。」
「いや、俺は瑛里が作ってくれたやつがいい!」
一生懸命サンドイッチを頬張る姿を見ていると、早起きして作った甲斐があったというものだね。
ふと、以前映画に行った時のことを思い出す。
「……あの時は、私が早口でまくしたてて失敗しちゃったよね。」
「え? 俺は楽しかったよ。『福原さんがバグってる』って感じで面白かったし。」
「ひど…。バグってるなんて面白がらないでよ!」
笑い合っていると、目の前にバドミントンのシャトルが飛んできた。近くで遊んでいた子供たちのものらしい。
「はい、これだね。」
瑛祐くんが拾って渡してあげると、そのまま子供たちに混ざって教え始めた。
教え方が上手いのは、弟の洸也への接し方を見ていればわかる。
子供たちにすぐ懐かれる彼を眺めていると、胸の奥がじんわりと温かくなる。なんか、良いなぁ。
……結局、私も混ざってダブルスみたいな試合になっちゃったけどね。楽しいです。
「ふぅ、楽しかったな。」
「でも、汗かいちゃったね。」
「まあ、夏だからしょうがないよ。」
……男子には「しょうがない」でも、今の私には死活問題。
「タオルと、制汗シートあるから使いなよ。」
「ありがと。……でも、不思議なんだよな。」
シートを受け取りながら、瑛祐くんがぼやいた。
「何が?」
「いや……あ、気にならないから大丈夫なんだけど、不思議だなって。」
汗の匂いのことかな…。実は私も同じことを思っていた。
お互いに、相手の匂いが不思議と不快じゃない?
……むしろ、ちょっと「いい匂い」だと思ってしまっている自分に戸惑う。
とはいえ、このままじゃ乙女のプライドが許さないよ。
「あ……これから、どうする?」
瑛祐くんが照れ隠しのように聞いてきた。
「せっかくだから、何か乗っていこうよ。……あ、あのお化け屋敷、面白そうじゃない?」
その瞬間、瑛祐くんの表情が一気に曇った。
「えっ……あ、オバケ……」
「あ、苦手だった? ごめん、じゃあ、別のところに――」
「いや! 瑛里が行きたいなら……俺、頑張るよ。」
……ああ、その優しさが裏目に出る予感しかしない。
建物の前には、禍々しい看板。
これ、ガムダンよりある意味「戦場」なんじゃないかな。
「瑛祐くん、無理は禁物だよ?」
「いや、大丈夫。軟弱者って言われないように頑張るよ。」
彼は震える足で一歩を踏み出した。
けど、コレ頑張るものじゃ無いんだけどな。
もう一息。頑張れ瑛祐!
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